詩人はいない
2007.10.31 [Wed] 14:59

秋の新曲排卵期につき、歌詞を書いてます。相変わらず歌詞を書く作業にはいっとう時間がかかってしまう。こればっかりはなかなか手癖で作れないんですよね。小説と詩(詞)で較べたら、小説のほうが物理的な労力はかかると思うんですけど、詩のほうがかけなければならない集中力は甚大である気がします。長文を記すのは体力がいりますが、経験の問題でね、書きなれていれば手癖でつくれてしまうところもある。しかし詩はいつも一から書いてる気がしてならないです。前作までの経験がなかなか生かされない、というか、パラノ的な積み上げが一切役に立たない気がします。一度作品をあげてしまったら、スキゾ的に散らばった言葉の断片を一から探さなければならないというか(DBですね)。

短い言葉で伝えることは、長い言葉で伝えることより遥かに難しいといえるのではないでしょうか。

散文においては「補足する」ことで、その言葉の意味を多面的に照らし出すことができますが、短文は空白の余韻で「補完」しなければならない。というか、途切れ途切れの台詞の傍らに横たわる沈黙で、台詞の意味合いを重層的に伝えなければならない。その意味で詩は散文以上に崇高な芸術だと僕は思います。(しかしながら。詩ほど完成度の低い言語芸術の形式は無いとも感じています。何故か。有史以来、かような沈黙によって散文以上の意味の照射を「補完」された詩というものはほぼ存在しないと言っていいからです。従ってその意味で詩人と呼べる詩人が存在したこともないからです。)

詩とは最も原始的で、最も進歩した芸術形式であります。しかし本来的な意味における「詩」は一度だって書かれたことがないし、読まれたこともないのです。誰もが「詩人」を見たことはないし「詩」を読んだことはないのです。詩人とは架空の存在であります。

また言葉を尽くしてしまいました。凝縮して圧縮して、次回ライヴまでにはお目にかけましょう。

■東京エロ可愛fetinism 06(公式)
日時:2007年11月4日(日)
場所:StudioCube326 
開場:開演 16:30
前売:\2500 当日:\3000 (+1D)
■樂団■アーバンギャルド/東京やさぐれ女/MONT★SUCHT
■ファンキームーディーグルーヴィーショウ■新宿フォーク
■エロ可愛コケットショウ♪■デリシャスウィートス
■エロ可愛舞踊■コッペリア
■昭和歌謡演劇■Buri Cama
■エロ可愛少女團■吉田酢酸(情念)/花女(母檸檬)/Kimaira/玉虫ナヲキ/みやん/シロップ/真白/サイケデリ子/Hime [P.a born]/ruka/
■選樂員(DJ)■素股Q/ゅま
■展示・物販■未野/ちょこれーとちわわ/圭乃椿/仔鹿/THE DARK SIDE OF THE MOON/姫苺/
■模造牙作成■牙屋
■色占い■黄金咲ちひろ
■映像■コケカキイキイ
■瓦写真■未野/他

★エロカワ、次回はハロウィンスペシャルとのことです。
★ご予約はご希望のライヴ・お名前・枚数を明記し shinkiba10ma@hotmail.comまで。


★田町駅から会場まで無料で都営バスがスピン運行します!★
下車後、芝裏口を出て交番を左折した先で会場までの
専用バスに乗る事が出来ます。
運賃は無料ですので是非ご利用下さい。
・16:00〜18:00運行(乗車時間約5分)
・バス乗口 (BUS STOP)MAP(携帯可)→http://www.artism.jp/326mapbig2.jpg

(C)名鹿祥史

トラウマのススメ
2007.10.29 [Mon] 11:38


ハロウィンです。

小さい子を見ると、どうしてもトラウマを植えつけたくなってしまうのよね。幼少期に植えつけられたトラウマが、子供の想像力を大きくすると思うのよね。子供を表現者にしたければ、映画やマンガでたくさんトラウマを植えつければいいのではないだろうか。小さい子には楳図かずおとかデヴィッド・リンチとか公共広告機構のCMとかたくさん見せましょうね。

来週末は僕らもハロウィンを祝いますよ

■東京エロ可愛fetinism 06(公式)
日時:2007年11月4日(日)
場所:StudioCube326 
開場:開演 16:30
前売:\2500 当日:\3000 (+1D)
■樂団■アーバンギャルド/東京やさぐれ女/MONT★SUCHT
■ファンキームーディーグルーヴィーショウ■新宿フォーク
■エロ可愛コケットショウ♪■デリシャスウィートス
■エロ可愛舞踊■コッペリア
■昭和歌謡演劇■Buri Cama
■エロ可愛少女團■吉田酢酸(情念)/花女(母檸檬)/Kimaira/玉虫ナヲキ/みやん/シロップ/真白/サイケデリ子/Hime [P.a born]/ruka/
■選樂員(DJ)■素股Q/ゅま
■展示・物販■未野/ちょこれーとちわわ/圭乃椿/仔鹿/THE DARK SIDE OF THE MOON/姫苺/
■模造牙作成■牙屋
■色占い■黄金咲ちひろ
■映像■コケカキイキイ
■瓦写真■未野/他

★アーバンは19:55出演予定!
★ご予約はご希望のライヴ・お名前・枚数を明記し shinkiba10ma@hotmail.comまで。

今回のエロカワは裏ハロウィンスペシャルということで、いつにも増して出演者が沢山!デリシャスウィートスほか、出演者も豪華です。
更に更に、会場であるSTUDIOCUBEが駅から遠すぎる!という批判にお応えして(笑)
なんと!今回より駅から送迎バスが出るとのことです。

★田町駅から会場まで無料で都営バスがスピン運行します!★
下車後、芝裏口を出て交番を左折した先で会場までの
専用バスに乗る事が出来ます。
運賃は無料ですので是非ご利用下さい。
・16:00〜18:00運行(乗車時間約5分)
・バス乗口 (BUS STOP)MAP(携帯可)

最近は一回一回のライヴで演出を凝らしていこうと考えております。
何度も見に来てくださってる皆さんでも、アーバン初体験のお客様でも楽しめる内容にしたいと、社員一同工夫を凝らしております。
前回の日の丸一刀両断につづき、
次回のライヴでは妊婦が登場予定です。
こちらもお楽しみに。
フレンチでインダストリアルな新曲も演奏予定です。どんなだよ

追悼のざわめきはミツバチのささやき
2007.10.26 [Fri] 14:48


シアターイメージフォーラムにて松井良彦監督『追悼のざわめき』鑑賞。88年に今は亡き中野武蔵野ホールで上映されるや内容の過激さに賛否を引き起こしたといういわくつきの作品のデジタルリマスター版。

大阪・釜ヶ崎。若い女を次々に殺して子宮を切り取っては、マネキン人形の腹部にそれを埋め込む野良犬のような男。小人症の兄妹と美しい兄妹。街にたむろする傷痍軍人や浮浪者、奇形者たち。二組の兄妹がそれぞれ近親相姦の禁忌をおかすとき、マネキンの安置された廃ビルの屋上はあふれ出る妹の経血で満たされ、マネキンは生身の子を宿す。

いわゆる「エログロ」をはやし立てる宣伝文句とは裏腹に、とてもファンタジックな内容であるように感じた。上田現が今回のリマスターのため書き下ろした曲もメロウで、涙が出そうだ。楽器がクラシックピアノではなくエレピであったところも良かった。早川義夫の宅録なんかでも感じることだが、エレピって音に微妙な温もりがあるんだよね。クラシックピアノみたいにつけはなしたりしないし、悦に入らないところがいい。

小人の兄妹は妹が兄を、美しい兄妹は兄が妹をそれぞれ殺し、美しい妹に代わってマネキンが孕んだ赤ん坊を小人の妹が奪い去るという構図は、虚構に対する現実の勝利を意味するのか。即ち、美しい虚構(処女懐胎!)を醜い現実が搾取して、それにすがって、しかし汚らしく生きていくわけだ。この答えを導き出すことは作品そのものの大伽藍を脅かし、エンドロールに向かって収束せざるを得ない。いつまでも続いて欲しい恍惚の悪夢は、マネキン人形ごと焼き払われ、現実のなかへと不自然に露出させられる。小人の妹は赤ん坊の死骸を手に、書店へ、商店街へ、女子校の校庭へと繰り出し、奇異の目で見つめられ、逃げられる。

多分ゲリラ撮影されたであろうこのシーンは、障害者を厭う健常者の眼差しがそのまま「フィルムが映画という虚構を飛び出し、現実に疎まれる」さまを描いている点で印象的だ。そう、奇形者や傷痍軍人といった彼ら「はみだしっこ」たちは、既にこの映画が撮影され上映された80年代においては見世物にもされず「暗い過去のもの」としてメディアの手の及ばない場所へ葬り去られていた。まだ生きている、そしてこれからも生きていくにも関わらず、だ。そう考えると80年代にしてモノクロフィルムで撮影されているというギャップも(80年代当時としても)いささか古めかしいアングラな設定も、全てこの「暗い過去」を掘り起こすための手段であったのではと飲み込める。いかにもポップな通天閣の広告や戦後すぐを思わせる軍人たち、上田現の「エレピ」、そしてモノクロという手法に「時代設定が曖昧」と感じた人々は、これがいわゆる「アングラ作品の記念碑」ではなく、既に喪われた「あの時代にたむけた挽歌」であることを知るべきだ。かくしてリマスターによって再生した本作品は、二度目の「懐かしさ」を獲得する。まだ見ぬ過激さはないが、古傷があえぐような痛み、やるせない思春期の頃の苛立ちを思い起こさせることだろう。少女が見たという、フランケンシュタインの映画みたいに。

アーバンギャルドの日本誕生
2007.10.25 [Thu] 19:07

今は昔、戦後余年のとある日に、一人のメンへラーがリストカットをしました。
リストカットは日本が米国に掲げていた白旗に赤く丸い血痕を残しました。
いわゆる日の丸の誕生です。

我々日本人が日の丸を掲げることは、愛国心というよりアイロニーです。
それはそもそも日の丸が薩摩藩の旗印であり正規のものとは言いがたい、
という歴史的事実以前に、
また愛国心という思想自体が欧米から近代に輸入したものである、
という思想史的事実以前に、
敗戦の象徴に自決の血を垂らしたマークであるからです。

我々にとって愛とはアイロニーでしかないのか。
自虐だけが自愛なのか。
リストカットでつながるメンタルヘルスなシンパシーを
新たなる「公」の発見であると解こう。
我々の内面は、既に戦争状態を迎えているのだ。
個々人の言葉をサーバー上で炎上させて、
空襲は既にはじまっているのだ。

ぐしゃ人間企画、出演してきました。
写真もアップしましたよ。HPを御覧あれ。
日の丸を蹴破ったり、刀振り回したり、縫いぐるみ引き裂いたり、お習字したりしましたよ。
面白いライヴとは何か。常に考えあぐねております。

ぐしゃ人間さんは、ジャンルは違えど、人間の「イタイ」部分をテーマにしている点で、アーバンに近いかなと思いました、と、共感してみたり。
とてもいいと思う。女子がデス声だったり、丸坊主だったり。萌えます。イタ萌え。


(C)名鹿祥史

詩のボクシング全国大会に出場しました
2007.10.24 [Wed] 16:53

第七回詩のボクシング全国大会に行ってきました。わたくし、観客として大会を楽しむつもりで来場したのですが、十周年ドリーム企画なる抽選で運をつかんでしまい、なんと!選手として大会に出場することに。ドリーム企画があることは勿論前もってしっていましたが、何十人もの中からくじ引きで選ばれるなんて思ってもいなかったので、心の準備もままならぬまま初めて全国のステージに上がったわけです。まず、もう一人選ばれた華奴選手とのドリームマッチに勝利し、本大会一回戦勝利選手の中からやはりくじ引きで選ばれた北海道チャンピオン・浦田俊哉選手に辛勝。そして三度目の試合となった香川チャンピオン・こうっし〜選手に一票差で負けてしまい、ベスト8の座にとどまりました。いやはや、唐突に決まった出場であったとはいえ、もう少し結果が出せればなと反省しております。やはり昔書いたテキストを使いまわすのはもうダメですね。今回ようやく全国の地に足を踏み入れたことを期に、次回出場の際は新作で勝負することをこの場で誓います。NHKデビューにもなりますが(詩のボクシング全国大会の模様は毎年末、NHK教育で放送されております)、わたくしの隠語や差別語の類はあえなく自主規制されてしまうのでしょうか。ここからは表現の自由が市民団体と内面のボクシングを始めるのでありましょう。

大会全体を通しての感想としては、毎年見てますが、例年稀にみるいい大会だったのではないかと。4対3、一票差の試合が頻発したということが、凌ぎを削る戦いであったことを証明しているのではないでしょうか。決勝に進んだ2人は、とりわけ素晴らしかったです。松永を破った香川のこうっし〜選手はラジオパーソナリティということもあり、滑舌がよく、きわめてクールに「出戻り」である自分を戯画化しているように思いました。対する晴居彗星選手は「〜じゃないですかあ?」みたいな若者言葉で「世界は存在しない」「我々はおにぎりである」「我々は人生という映画を撮られ続けている」といった断定をし、そこから哲学的な思考へ飛翔させるという、いそうでいなかったタイプの選手。ていうか、若者言葉を使って哲学を語るような詩人はポエトリーリーディング界にはわんさかいるのですが、彼ほど頭にキレがないので、大抵失敗してしまうのですよね。ところが彼は飄々と、この話法でまるまる三分間綱渡りをしてみせるのだから凄い。弱冠21歳ということなので、今後が楽しみです。R25世代として(笑)僕も頑張ります。

しかしながら、一ヶ月のうちに二回も全国規模の詩のボクシングに出場することになろうとは。運命に感謝しつつ、メークドラマできなかった自分を恥じます。どうやら僕の映画は、ハッピーエンドまでまだまだ遠そうです。


この写真は全国大会、ではなく6日の高知選抜大会の模様。セリザワケイコと脱衣した松永さん

きらっといきる
2007.10.19 [Fri] 16:25



先週ですが、障害者プロレス見に行きました。ドッグレッグスという団体、多分サブカル方面、プラスワン筋の方にとっては聞き覚えのある名前だと思うけども。障害者プロレスには前から興味があったのでようやく観戦できました。特にプロレスや格闘技が好きというわけでもないのですけどね。一緒に行った格闘技マニアからは「なぜ普通の格闘技ではなく、障害者プロレスに興味があるのか」を問われたのですが、そうだなあ。今では世相的にヤバイであろう見世物小屋的な興行を、障害者自身がやっているというところに非常に惹かれるものがあったのよね。コンプレックスを武器にしてるというか。いや、違うな。健常者が障害を「忌むべきもの」としてしか見ないことに対する怒りというか、皮肉というか。障害を「忌むべきもの」でも「愛すべきもの」でもなく、ごく普通の「運命」として受け止めている感じが潔いように思ったのだ。自分の存在に対して立脚している感じがしたのだ。

試合が行われたのは北沢タウンホール。こんなパブリックなスペースでアングラなイベントを打てることに驚き(さそり監督が区民会館で『魂のアソコ』を上映するため「精神障害者のドキュメンタリーを上映する」と申請したというエピソードを思い出します)始まった試合にも愕然とする。プロレスって普通「エンタメ」じゃないですか(この言葉、深い意味で)。なのにここで行われてる試合は、全部ガチなんだもの。勝ち負けどうこうだけの話ではない。脳性麻痺の選手と知的障害のある選手の試合では、お互い遠慮ができないのか、本物の喧嘩になってました。技を決めてもなかなかギブアップしないから、落ちるんじゃないの?という場面もいくつもあった。一応パンチはダメとかプロレスに準じたルールはあるけど、かなり見過ごされてたなあ。なんかお互い欠損した生を本気でぶつけ合ってるようで、いいもの見た感じがした。この試合で障害を更に重くする選手もいるそうなので、ほんとにガチなんですけど。
一心不乱に相手を殴りつけていた巨漢の選手が突然手を止め、思いたったようにリングを降り、そのまま退場していくさまは神々しくもありました。自由だな。
全力で生きたいとつくづく思いました。勇気をありがとう。

明後日のライヴでは大げさな演出が組まれていますよ。アーバン出演は20:40から。対バンも面白い。チケも普段よりお安くなってますので、是非。

(東京)
■ぐしゃ人間企画
日時:2007年10月21日(日)
場所:池袋手刀 
開場:18:00 開演 18:30
 前売:\1800 当日:\2300 (+1D)
出演:アーバンギャルド、ぐしゃ人間、DAZZLE VISION、マモノ
    ツージーズ、ZIG ZAG

★かわいくて怖くてオタなガーリーバンド、
 ぐしゃ人間の企画にお呼ばれです。
★ご予約はご希望のライヴ・お名前・枚数を明記し shinkiba10ma@hotmail.comまで。

ローラ・ダーンはブレアの魔女か?
2007.10.18 [Thu] 15:18



8月初旬に見た『インランド・エンパイア』のレポートを今更書きます。恵比寿ガーデンシネマでの公開はもう終わろうとしてるので遅いかなとも思いましたが、下のピラフ君のコメントによればまだ公開されてない地域もあるようですね。なので書きます。あっ僕は「注!ここから先はネタバレを含みます」みたいな注釈が大嫌いなのでここから先はネタバレを含みますけどわざわざ警告しませんよ!って言ってるけど。

6年ぶりのデヴィッド・リンチ。今作品の宣伝では異世界への招待を謳っていますが、会場で細野晴臣氏をお見かけしたりした時点で僕のなかでの映画体験は既に始まっていたと言えるかもしれません。普段の恵比寿ガーデンシネマからは想像できないほどの混雑ぶりも、既に異世界。ようやく始まった映画もいつものリンチ映画に増してしょっぱなから異世界。ズームアップされたレコードの針、TVに向かって泣き続ける女性の導入部は、のっけからマニア以外の客をつき離しているかのようです。長編処女作である『イレイザー・ヘッド』の性交を示唆した冒頭を彷彿とさせます。ここで隣のおじさんは眠気に撃たれました。

往年の女優(ローラ・ダーン)が久しぶりに主演を勝ち取った映画はかつて撮影中に主演男女ふたりが殺され頓挫した映画のリメイクだった。女優は映画のストーリーで不倫関係になる男優と現実でも不倫関係になり、今まで築き上げてきたものを破滅させていく、彼女の意識も破滅していく、といった内容のストーリー。ハリウッドというショービジネスの怪物に翻弄され、憎悪と嫉妬に掻き毟られながら破滅していく女優という粗筋は前作『マルホランドドライヴ』でも取り上げられたテーマでしたが、今作では女優の「演技」という側面にスポットをあてることで、更に女優という生業を掘り下げています。

演技をするということは誰かの生を代わりに生きることであり「憑依する」といった例えにもあるように、演じる対象の生を巫女のように受け止めるという考え方ができると思います。今作の場合、オリジナルで死んだ女優の生を生きている女優がリメイクによって「生きなおす」ことで、死者の気持ちをカタルシスへといざなう過程が描かれている。死者を浄化するというテーマはリンチ最大のヒット作『ツインピークス』劇場版でも描かれていますが、ここでは更につきつめて、生の世界と死の世界を塞ぐ壁として用意されているのは「映画」という現象だったり、それこそ「スクリーン」そのものであったりする。映画館の客席からスクリーンの向こう側へと渡り、泣き女(死んだ女優)の魂を解放する過程は演技によって一線を越え、演じる対象そのものになろうとしている彼女を表しているし、スクリーンを乗り越えて観客の心に響こうとする作品そのものの力を表しているかもしれない。スクリーンは記録された(フィルムのなかで過去に閉じ込められた)死者たちと、生きている観客である我々をつなぐ死の壁であって、生と、死、二つの対になったピークが(twinpeaks!)互いを求め合ったとき、作品のアウラが光り輝き、作品は「名作」として記憶されるように思われる。そして「名作」には、世界の時間を止めてしまうほどの「美しさ」がいつだって隠されている。時よとまれ、お前は美しい。美しさだけが時間を止め、作者と客を、死者と生者を出会わせるのだ。

全然違う話をするようだけど、あそこまでガサツな原作だった『セカチュー』の映画版で不覚にも僕が感動してしまった所以も、シナリオを超えて映像の美しさが際立っていたからだ。岩井組の撮影監督としてある意味岩井俊二以上に「岩井美学」の担い手となっていた篠田昇氏の遺作となった『セカチュー』には、死者への想いが世界の美しさとシンクロするように描かれている。(篠田氏が亡くなって、岩井氏も劇映画が撮れなくなってしまった、のか?)

で、最後にこの画面の強さ(美しさ)という点で今回の『インランド・エンパイア』を見ると、非常に惜しい感じがした。理由は明白で、今回は作業の簡便さを優先してデジカムで全編を撮影してしまったためだ。それがリンチ映画の革命のようにも銘打たれていたけど、結果としては疑問符が残る。リンチ映画は決定的な画面の強さ、美しさがあったからこそ、どんなに不可解な内容であっても観客を黙らせることができたように思うのだけど、今回は劇場の大画面で見たせいもあってデジタルの粗いドットが興ざめ、せっかくの悪夢を現実に引き戻してしまった(おうちでDVDで観たら、別の感想を抱くかもしれないが)。もちろんデジカメ撮りでチープな夢を演出する作品というのもあるにはあるのだけど(石井輝男の遺作とか。TV版ツインピークスが映画版と全くタッチが違ったのも、媒体の違いを意識してのことではなかったのか)これはゴージャスな世界、ハリウッドを舞台にして、お金もかけて作られてる映画なんだから、フォーマットもねえ…と思いました。ブレアの魔女を探すドキュメントムービーのようなインディーっぽさはいらない。リンチ映画はメジャーでやりそうにないことをメジャーのフォーマットでやることが一つの快楽なんだから、お願いします。ゴージャスな悪夢見せてくれ。

耳をすませば2007
2007.10.11 [Thu] 01:41


RUIDO K4でライヴしてきましたよ。久しぶりの18時台、しかも平日ということでしたが、人気バンド多数出演のイベントということもあって会場は既に八割方埋まってました。オーディション後松永がすぐに高知へ飛んだため、色々と時間がないなかでの出演となりましたが、改めて出て良かったなあと思えたのは対バン相手の手練さをまじまじと観察することができたからで、今回はどちらかというとエンタメ系ロックバンドが多く出てた訳なんですが、どのバンドも非常に考えてライヴを構成している。楽曲のクオリティは勿論ですが、それ以上に目を見張ったのが何でもアリの演出、とにかく面白さを追求した演出で、とりわけオーディションでもご一緒したあのHUMPTYはまさに娯楽の殿堂をいっていて、とても楽しめました。とりあえず色々一段落したし、演出についても改めて考え直してみようと自省するに到る帰り道でありました。
そして唐突ではありますが、strawberry recordが本日、メジャーデビューCDをドロップしたとの報を受け、J-POPもまだまだ捨てたものではないなと一人ほくそ笑むわけですが、最近は(言えないけど)あのバンドもデビューするって言うし(あのバンドも)デビュー間近だって聞くし、確実に時間の流れを感じています。我々がいわゆるバンド活動を始めて2年とちょいのあいだ、知り合いのバンドの結成や活動休止、解散、メンバー脱退などを目の当たりにしてきて、自分たちもこのような受難を切り抜けてきたつもりではありますが、果たしてバンドや、ひいては表現活動を持続させるフィーリングというのは何処に託せばいいのだろうかと常々考えあぐねておりまして、こないだ自分のなかでは八年間に及ぶ詩のボクシング活動の総括ともいえる大会に参加している折にふと確信を得られたのですが、思うに、才能は枯渇しないよ。アイデアも枯渇しない。そしてモチベーションが磨り減ることも、ないのではないかな、と。

詩のボクシングは今年で開始から十年を数え、僕は高校生の頃から目をつけていたのですが、このような単純なルールのゲームが長いこと続けていける所以は、案外表現者ひとりひとりの才能ゆえではなく、時代の流れによるものではないかと思うのです。わたくしが考えるに、ひとりの表現者が持ちうるアイデアは有限であります。しかしながら、世界は広いし現代は常に次の時代へと変遷している。だから才能の枯渇、表現の限界を感じたときは、時代に耳をすますのが吉でしょう。詩のボクシングにおいて(勿論時事ネタとかいう単純なセオリーから、だけではなく)時代の言葉の移り変わりを敏感に感じとった選手が研ぎ澄まされた言葉を発する傾向にあるのではないか、という気がしています。だから十年前と今の「時代の」言葉はそれこそ全くの別物であって、そうなる理由は何より言葉が美術館に収蔵されたコレクションでも録音されたレコードでもなく、常に生きている人々のあいだで交わされている会話を基本に成り立っているから、ではないのか、と。翻って表現活動ぜんたいにもこれは言える。だから時代に耳をすませることを、表現者として怠らないことを心がけようと思うのです。思いました。あ、過去になった。

まあメディアとかマジョリティっていうものは、常に時代の空気を感じ取るのが1テンポ遅れてるので、ね。「いま」を描くことが、必ずしも得をするとは言い切れないわけですが(そこには資本主義の原理が関係している。必ず売れるものは常にセピアに滲んでおります)。

次回ライヴはぐしゃ人間企画!

(東京)
■ぐしゃ人間企画
日時:2007年10月21日(日)
場所:池袋手刀 
開場:18:00 開演 18:30
 前売:\1800 当日:\2300 (+1D)
出演:アーバンギャルド、ぐしゃ人間、DAZZLE VISION、マモノ
    ツージーズ、ZIG ZAG

★かわいくて怖くてオタなガーリーバンド、
 ぐしゃ人間の企画にお呼ばれです。
★ご予約はご希望のライヴ・お名前・枚数を明記し shinkiba10ma@hotmail.comまで。

「いい詩を書くにはいい耳を持て」と、恩師も言っておりました。表現者たちよ、時代に耳をすませば。

詩のボクシング選抜全国大会に出場してきました
2007.10.08 [Mon] 09:17

ブログをしばらく更新してなかったのは、感傷に浸ってたからではなくってよ。
しばらく東京を離れておりました。
センチメンタルジャーニーではなくってよ。
詩の朗読のオファーです。
オーディション翌日、わたくし松永は羽田から高知県へと飛び立ちました。
詩のボクシング選抜全国大会に出場選手として選ばれたのであります。

詩のボクシングとは、2人の朗読ボクサーがそれぞれ3分以内で自作詩を朗読、勝敗を競うという言葉の格闘技であります。
NHKでの特番が有名ですが、あれはあくまで映像記録であり、本来は「日本朗読ボクシング協会」主催のもと、全国津々浦々の会場で催されています。
詩の朗読とはいえ、その表現は演劇的なものあり、パフォーマティヴなものあり、しかし楽器類の使用はNGです。
M−1グランプリのアート的なものとして捉えると分かりやすいと思います。
聞けばM−1は詩のボクシングのルールを元に作られた、という話もございます。

松永は高校生の頃、00年から詩のボクシング出場を開始しました。わたくし個人の実質上「インディーズデビュー」の場はこの詩のボクシングであったといっても過言ではないでしょう。
はい、以下、目をつぶって下さいね。
00年の松永(ページ一番下)
01年の松永(ページ中ほど)
04年の松永
今回にむけての意気込み。

はい、目をつぶれましたか。
詩のボクシングはいつもできるだけ参加したいと考えているのですが、
わたくし松永は04年の選抜式全国大会(沖縄)で優勝してしまったため
いわば「殿堂入り」として、しばらく出場を控えられていたのです。が、
このたびこの「殿堂入り」を解除され、出場の依頼を協会側から頂くに到ったのでした。


連日ライヴや選挙の街宣などで忙しく、当日徹夜で完成させた朗読を携えながら、羽田へむかいました。飛行機を乗り過ごすというヘマをしつつも(オーディション後の心的外傷か?笑)なんとか夜には高知市に着。いくら日本人の好きな歴史人物第1位だからといって、竜馬空港という名前はいかがなものでしょうかと思いつつバスでとってもらってるホテルへ。チェックイン後他の出場選手が集う飲み会へ。やはり詩のボクシング国民大会チャンプであり、アーバンの二代目ヴォーカルでもある(04年)セリザワケイコとも再会し、お互いの近況などを交換。大会前日だったので、早めにホテルに戻って翌日に備えました。

で、大会初日。松永は服を脱いだり時間を遡ったり時計を壊したり、大わらわでございました。準優勝という好成績を残しました。しかしできることなら優勝したかった。松永を破ったのはささりんこと佐々木秀行選手。長距離ランナーとして活躍する経験を詩にしていました。走り、動き回りながらの朗読は、身体性と言葉の連関を忠実になぞらえる表現であったように思います。「健全な魂は健全な肉体に宿る」という諺や鍛えまくりの村上春樹、泳ぎまくりの大江健三郎のストイックさに通じる部分があると感じました。それに比べてわたくしなどまだまだだ。
初日でモチベーションを使い果たしたのか、同じメンバーで迎えた大会二日目はなんと一回戦で敗退。非常に悔しかったです。わたくしなどまだまだだ。
今回一番の収穫は、兼ねてから東京の詩ボク界隈では何かと比べられることの多かった、いわば好敵手であるセリザワケイコと試合としては初激突し、6対7の一点差で勝ったことでした。これはほんとに嬉しかった。いいセッションができたのではと思っています。
詩のボクシングは10月20日に東京で今年の全国大会もあるので、こちらももしよろしければおいで下さい。僕も多分会場にいます。

会場である高知かるぽーと

詩のボクシングのステージ

一日目の優勝者、ささりん選手と。右手が心霊現象

朗読中の松永(C)池上宣久

打ち上げ、下から見るか?横から見るか?(同じです)

まあ帰ってきてすぐにナンですが、明日はライヴであります。あのHUMPTYとも対バンなので、是非おいでください。

(東京)
■COUNTER ACTION 2007-04〜エンタの肝〜
日時:2007年10月9日(火)
場所:RUIDO K4 
開場:18:00 開演 18:30
 前売:\2800 当日:\3300 (+1D)
出演:アーバンギャルド、あのHUMPTY、中国釣具店
MUSHA×KUSHA、夜叉、エレキ隊

★エンタメバンド集合イベント!オーディションで共闘したあのHUMPTYとも対バンです!
★アーバンは18:30に登場!
★ご予約はご希望のライヴ・お名前・枚数を明記し shinkiba10ma@hotmail.comまで。

あ、あと色々とメールいただいてるのになかなか返信できずすみません。追ってお返しいたします(私信)。

最終審査結果発表!!!!!!!!!!!!
2007.10.05 [Fri] 03:41

このたび、アーバンギャルドは
Yahoo!JAPANが主催する
【WHO'S NEXT?】オーディション最終審査にて、
ファイナリスト5バンドのうち、
5位となりました。

【投票結果】

昨夜21時からyahoo!ライヴトークで放送された公開結果発表を御覧いただいた方は既にご承知のことと思いますが、改めて、メジャーへの道は険しいということを痛感いたしました。

前回1位通過からの転落ぶりには目を見張るものがあり(笑)久しぶりに失恋のような胸の痛みを味わえました。

今回、三ヶ月の長きに渡りアーバンギャルドを応援して下さった皆さん、
本当にごめんなさい。
そして、本当に、本当にありがとうございました。
単に票を入れて下さったかどうかだけではありません。
皆さんの応援のお陰で、我々は生かされました。
人はパンのみによって生きるのではない。
言葉によっても生きるのであります。
皆さんの声援が、我々の代えがたき財産となったことを、
ここに明記しておきます。

今年もあと三ヶ月。新たな一手を模索するため、
我々は今後も走り続ける所存です。
応援いただければ、幸いです。
童貞は、捨てません(私信)。

10月9日のライヴは、新たなる革命の狼煙をあげる記念日にしたいと思います。

(東京)
■COUNTER ACTION 2007-04〜エンタの肝〜
日時:2007年10月9日(火)
場所:RUIDO K4 
開場:18:00 開演 18:30
 前売:\2800 当日:\3300 (+1D)
出演:アーバンギャルド、あのHUMPTY、中国釣具店
MUSHA×KUSHA、夜叉、エレキ隊

★エンタメバンド集合イベント!オーディションで共闘したあのHUMPTYとも対バンです!
★アーバンは18:30に登場!沢尻エリカも!
★ご予約はご希望のライヴ・お名前・枚数を明記し shinkiba10ma@hotmail.comまで。

では。わたくしは明日より、高知に参ります。
センチメンタルジャーニーではなく。
言葉で殴り合いに行くのです。

(おまけ)

Yahoo!JAPAN本社!東京ミッドタウンに童貞初上陸。

処女も初上陸。

同じくファイナリストに残ったあのHUMPTYさんと。

オーディション後のファミレスにて(わかってますわかってます)
P R



2007年10月



松永天馬(アーバンギャルド)


1982年、東京生まれテクノポップ育ち。同志社大学で神学を、早稲田大学でロシア文学を学ぶ。演劇活動を経て、アートEDにか患るがなんとか完治。現在ポップユニット・アーバンギャルドでヴォーカル、作詞作曲、アートワークなどを担当。詩の朗読や映像を盛り込んだパフォーマンスはポップにしてシニカル、 童貞的執着と処女的情熱に満ち満ちている。

また個人の活動では詩のボクシングへの出場(第一回選抜式全国大会チャンピオン)やヴィデオアート制作などがある。


★「傷だらけのマリア」PV



ニューアルバム 『少女都市計画』
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★着うた配信中!(09/12/20「少女都市計画」より全9曲追加)
(提供:オリコンME!



★「水玉病」無料配布中!


1stアルバム 『少女は二度死ぬ』
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