そのよん

October 25 [Tue], 2005, 0:00
「そう、あの子のあの毛色が良いんですって。ふふ、ね?ほんとに、貴族って可笑しな人種よね。でもあたしには大助かり!嫁ぐって云うより丁稚奉公みたいなもんよ。あとは好きにしてくれるみたいだし…せいせいするわ!あんな前の男の子供。ケチで貧乏で…最悪な男!別れて正解だったわ。これであの子も片付くし…やっと、やっと貴方の所に行ける…」
そう言って、お母さんは嬉しそうに知らない男の人と抱き合っていた。
お母さんはあたしが今まで見たこともないようなきれいな笑顔だったけれど、あたしの名前さえ呼んでくれなかったことが悲しくて、あたしはこっそり泣いていた。





嗚呼、嫌な夢…
数日前、家を飛び出す直前の出来事を夢に見た。
あれからまた何日かして、いよいよお金がなくなってきたので、また野宿をしていた。一体、どこまで逃げられるのか…もはや答えは明白だった。でも、どうしても、帰る気にはなれない…あそこに帰るくらいなら、このまま飢え死ぬ方がましだ。

「どうしたの?」

あたしが起きたのに気づいて、少し離れていた鳴門が話しかけてきた。

「ううん…なんでもないよ。大丈夫。」

笑顔を繕ったつもりだったけど、たぶんばれてる。こいつはなんだかそういうことに鋭い。

「あんたこそ、珍しく少し眠ってたじゃない。どうしたの」

大体一週間くらい経っただろうか。鳴門と寝食ともにして、あたしはこいつの体のことを少し知った。
鳴門は幼い頃のことをあまり覚えていないらしい。ただ数年前までは山寺にいて、あまりの窮屈さに逃げ出し、今に至るというわけだ。その山寺で、鳴門の世話人であった人が教えてくれたそうだ。
鳴門の体の中には、とても強大な妖狐が封印されていること。そしてその力の一端が、封印の入れ物である鳴門の体の異常を引き起こしていること。
そしてもうひとつ。
眠らずにいること、食べずにいることで、その力を少しずつ、弱らせることができること。
本人曰わく、どんなに動き回っても疲れた覚えがないそうで、眠らずにいることはたいして苦痛ではなかったらしい。

「うん…なんか、いままでは眠ろうとして、眼をつむると、暗い向こうから…あいつの声が聞こえてきて…眠ったら、食われそうで…なかなか寝れなかったんだけど、最近はだんだん声が聞こえなくなってきたんだ。」

そう。なのに不思議なことにあたしと一緒に行動するようになってからは、時折浅い眠りに付くようになっていたのだ。

「桜のおかげだよ。桜が近くにいてくれたら、俺いままであいつに食われそうで眼をつむるの怖かったけど、もう全然平気!だって眼を開けたら桜がいるもん。怖くないよ。」

馬鹿みたいに嬉しそうな顔。そんな顔のあんたを見るのが、あたしにとってどれだけ嬉しいことかこいつは知ってるんだろうか?
家になんて帰らない。だって鳴門と離れたくないもの。これからのことなんかどうでも良い。だってあたしがいなくなったらこいつはどうやって眠るの?眼を開けてあたしがいなかったらこいつはどうするの?どんな顔をする?

そんなこと ゆるさない

腕を伸ばして鳴門の手を握った。ごろんと横になって、鳴門をじっと見る。草のにおい。鳴門と同じ。鳴門も横になって向かい合った。
鳴門は眠るのがもう怖くないって言ってたけど、あたしは今あんまり眠りたくないよ。こうして、ずっとこうしていたい。
眼を閉じたりなんて、勿体なくてできないよ。





…?足音…

「…桜?」

頭の中に響きわたる声。
眼を見開いて、反射的に起き上がって音の主を見やった。
闇に溶けそうな黒い髪、黒い瞳…月明かりでうっすら境界が光ってる。
驚いた顔。こんな顔初めて見る。


「佐助…君…」


ざわついた風が吹いた気がした。

そのさん

October 07 [Fri], 2005, 18:37
「うちは家跡継ぎにはきちんとしたそれ相応の嫁、次男の方には毛色の変わった見栄えの良いものを、というわけだ。その髪と眼の色に感謝することだな。」





「あれってさ、桜のお母さんだったの?」
団子を口に含んだまま鳴門が言った。

あたし達はあれから少し街道を西に歩いて、それから近くにあったお寺の軒下を借りて休んだ。正確には、休んだのはあたしだけで、鳴門はずっと起きてたみたいだけど。
一夜明けてからさらに進んで、いまは茶屋で休憩中。そういえばお互い自己紹介もしてなかったのに気づいて、少し話をしていた。

「たぶんね」

あたしが名前を教えてから、鳴門はやたらと嬉しそうにあたしの名前を呼ぶ。なんだかくすぐったい。とても同い年とは思えないほど幼くて、弟でもできたみたい。

「…なんで追っかけられてたの?」

「…あたしねえ」

鳴門から視線を外して続けた。

「今日、結婚式だったの。」

「…
けっこん、しき…」

たぶん、呆けた顔してるんだろうな。

「相手は、お母さんが勝手に決めた人で…まあ知ってる人なんだけど…とにかくそれが嫌で逃げてきたの。」

「その人のこと、嫌いだったの?」

「違うわ。そうじゃ…ない、むしろ好きだったわよ。でも…」

「好きなのに、嫌だったの?」

「その人は…あたしのことが好きで、結婚する訳じゃなかったみたい。誰も…誰も、別に…あたしのこと好きって訳じゃあなかったの。」
いまさらながら自分の身勝手さが情けなかった。そんなの、どうしようもないのに。よくあることなのに。誰も、悪くなんかないのに。

「俺は、桜のこと好きだよ」


「はじめて、桜にあったとき…すごく…泣きそうになってて、悲しそうで、つらそうだった。俺、難しいこととかよく分かんないけど、あのとき桜が助けてって言ってたのは分かったよ。」

鳴門の方を向いた。こいつの言葉はいつも優しくてあたしを甘やかしてくれる。

「…俺、桜を助けたい」

真っ直ぐ、こいつはあたしを離さない。
手を伸ばして鳴門の手を握った。

「さ、そろそろ行くわよ」

そう言って代金を置いて席を立った。鳴門は少し納得いかない様子であたしに引っ張られてた。はぐらかしたと思われたのかな。
不本意だから、背伸びして耳打ちしてやった。


「十分、助かってるよ。ありがとう。」

そのに

October 03 [Mon], 2005, 19:08
俺は親も親戚も家族もいない。友達もいない。家もない。学もない。鳴門という名前すらほんとうの名前かどうかわからない。
でもそんな俺にも一つ持ち物ができた。

それが君。




あいつはあたしを抱えて走った。あいつは信じられないような速さで、山犬みたいに林の中を駆け抜けた。神社がみるみるうちに小さくなる。たぶんあたしの足だったらすぐに追いつかれただろう。相手は大人だ。
追っ手はすぐに蒔くことができた。

そのあとも、あいつは走り続けた。崖も、斜面も、屋根も塀も関係なく飛び越えて走った。いままで感じたこともない風を体中に受けて、あたしはしがみつくので精一杯だった。
すこしも疲れた様子を見せないこいつを見て、あたしはこいつが人じゃないことを確信した。

街道沿いの道に出て、ようやく足が止まった。あたしを下ろして、こいつは言った。
「…此処まで来たらもう平気だろ」
そう言って後ろを振り返る。こいつが通ったところは、まるで強い風が吹いたあとみたいにざわざわしてる。

「じゃ、行くか」
そう言うとこいつはあたしの手をとった。

「…何処へ?」

「? 逃げるんだろ?」

「そう、だけど…」

「?」

「あんた、おかしいわよ。」

「だって、あっ…、あたし、あんたと、初めて喋ったんだよ。いま。そんな、知らない奴に…なんで?いいの?変よ」

一瞬でもこいつを恐ろしいと感じたからだろうか、あたしは急に頭が冷めて不安になってしまっていた。ばか、あたしが言い出したことなのに。
泣きそうになって下を向いた。手が震えてる。あいつの眼がみれない。


「…俺はさ、」

嗚呼、こいつの声、ほんとに幼い。

「家族も友達もいなくて…家もないし…頭も悪いし…いつも、一人だったから…だから、こうやって、誰かを手に入れれたのが、嬉しくてしかたないんだ」
左手は握ったまま、ひどく熱い。

「俺、今までは、名前以外なにもなかったけど、今、こうやって、誰かの…何かになれたのが、嬉しいんだ」


ようやく顔を上げると、少しはにかんだ笑顔見えた。あたしの手を強く握って、まっすぐあたしを見てる。


「…うん」

涙を拭ってあたしも見つめた。
空色の眼。
いまあたしのものになったんだ。
不安なんか、いつのまにか何処かへ吹き飛んでしまった。とてもいとしくてまた涙が出そうになってしまう。
あたしは鳴門の手を強く握りしめた。


「…行こう」

「うん」

そう言ってあいつは笑った。どうしてあたしはこいつのことを怖いなんて思ったんだろう。
こんなに優しい笑顔の持ち主を。


丑三つ時の街道は真っ暗で薄気味悪かったけど、握りしめた左手があたしをひどく安心させた。
たったひとつ、世界中の何よりも大切に思えた。

連続携帯小説そのいち

October 02 [Sun], 2005, 18:19
あいつの名前は鳴門。親はいないらしい。
家族も親戚もいなくていつも一人だ。寺小屋にも通ってない。家もないみたいでいつも境内の下のとこで寝泊まりしてる。
あいつが何かを食ってるところは誰も見たことがない。眠るところでさえも。だからみんなあいつを気味悪がった。あいつの髪は薄い茶色で、狐みたいだったから大人達はみんなあいつは狐憑きだと言った。異人の多いこの街で、髪や眼の色が違うことはよくあったけど何故か大人達はそれを理由にあたしたちをあいつに近付けなかった。
だからあいつはいつも一人だった。
一度あたしはお母さんに聞いたことがある。どうしてあいつと話しちゃいけないのって。そしたらお母さんはこう言った。あの子は髪も眼も皆と違うでしょう?お父さんもお母さんもいないし、どんな子かわからないからでしょう?とっても悪い子かもしれないわ。あたしは言った。でもあたしも髪の色も眼の色もみんなと違うよ?そしたらお母さんはこう言った。いやあね、桜は良い子じゃない。
じゃああたしが良い子じゃなくなったらあいつと同じなの?そう思ったけれど口にはしなかった。



鼻緒が食い込んで足が痛い。そう遠くない距離なのに、心臓がどきどきいって息が苦しい。この長い階段を上りきれば、神社がある。
あたしはなんだか世の中のすべてを否定したいような気持ちで、ただこのさきにあいつがいることだけがあたしの足を動かしていた。
上りきって、眼の前に来てやっと足が止まった。
こんな夜更けにこいつを見るのは初めて。薄茶の髪が月の光でひかってる。ああ、ほんとうに狐みたい。

空色の瞳が見開いてあたしを見てる

いつもは誰に何を言われたって眉一つ動かさないくせに

あんたでもそんな顔することあるんだね


『ねえ鳴門、あたしを攫って』



返事を待ちながら、そういえばあたしはこいつの声も聞いたことないのに気づいた。あたし、こいつのこと何にも知らないんだ。


「桜!」

声を聞いて振り返ると階段の下の方に明かりが見えた。
もう追いつかれてしまった、そう思ったら急に左腕を強く引かれた。

「早く!」



初めて聞いたこいつの声は、少し幼い、よく通る声だった。

連続携帯小説

October 02 [Sun], 2005, 16:29
空色の瞳が見開いてあたしを見てる

いつもは誰に何を言われたって眉一つ動かさないくせに

あんたでもそんな顔することあるんだね


『ねえ鳴門、あたしを攫って』


気分に任せるまま文章でも書いてみようかなキャンペーン中。これでもナルサクですよ…!しかもパラレルですよ…!自己満足と書いて創作活動と読む勢いでお願いします。これ読んでる人が引かずについてきてくれることを願ってはいますが限りなく仮定法な気がします。(仮定法の訳の『〜だったらいいなあ』ってやたらせつなくないですか?)

これうまいこと写んないやろなー

October 01 [Sat], 2005, 23:55
BLの攻め男のようなサスケ。
どーもエロ方面でサスケをかっこよくしようとしたらBLぽくなる…
私の中のサスケのイメージがいっぱいいっぱい攻めだからなんだろうか…

フランうまー

October 01 [Sat], 2005, 22:15
(゜∀゜)

あらこんなところに

October 01 [Sat], 2005, 20:28
土山が。


みかんの国に行くと(主にパソ触れなくて)暇でやたら携帯日記更新してしまう…
今夜はいろいろ下書きたまってるんでペン入れ大会じゃー!!

あっちなみに写真はジャムプレボルーソンについてきた銀魂アニメポスター。近藤さんの股間のモザイクがやたらでかい…

サソサク連続小説

October 01 [Sat], 2005, 6:46
操り糸で脅し取った愛なんかで貴方は本当に満足なの?

『…だって』

『そうしないと、みんな俺を殺そうとするじゃないか』


そうよ、その涙が本物。
貴方のそういうところならあたしは好きよ



なんと数人の心優しい方々から御連絡いただきました。ので、続きを書いてみました。お仲間を得てもう妄想は止まらない…!
サソリはじつは小さい頃に色々あって親から虐待されてて、両親殺した後にカラクリにして自分を抱きしめさせたのは親への愛を求めか結果だったりしたらもうほんといいよね!!!(なにがだ
あ〜もう携帯で連続小説しようかしら。いやでもちゃんとしたストーリーにできるほど細部考えてないしな…
P R
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