「舞い落ちる薄紅の花弁と貴方の緋色の髪の毛と」3・子ヒノ弁・小説

September 30 [Fri], 2005, 17:16
さて、自分の記憶が正しければ、この子は随分と花見を楽しみにして、意気揚揚と準備を進めていたはずだけど――
帰ってくるには早すぎるし、それにしたら兄上達も帰ってくるはずだし・・・

何故だか急に帰ってきて、自分の机の上に並べてある書物に興味津々で見入るヒノエに鬼若は質問をぶつけた。

「ヒノエ、どうして帰ってきたのですか?君は随分花見を楽しみにしていたではありませんか」

するとヒノエは頬を膨らましながら答えた。

「・・・だっておねえちゃんがいないのはつまらないんだもん・・・オヤジにおねえちゃんは今日お花見に行かないって聞いたからさ、もういいやって思った」
「・・・そうですか」

全くこの子は

鬼若は頭を抱えたくなった。
だがそんな鬼若の心情などいざ知らず、ヒノエは鬼若が写している方の巻物を軽く突付いていた。

「ね、これ何?」
「・・・それはお経です。僕はそっちの巻物のお経をこの巻物に写すという作業をやっているのです」
「ふぅーん・・・あ、もしかしてこれをやるからお花見こなかったの?」
「そうですよ。ではヒノエ、僕はこれからこの続きをしますから邪魔をしないで下さいね。この部屋にいてもいいですから」

そういうと鬼若は筆をとり、巻物にそれを滑らせ始めた。
ヒノエは鬼若に言われた通りに大人しくして、鬼若の手元を眺めていた。
暫くは例の物音以外の音はしなかったが、鬼若はどうも誰かに見られているような気がしてそわそわし始めた。
少し視線をずらすと、やることがなくてつまらないのか、しかめっ面をしている甥の視線とぶつかった。

こいつか

目が合っても悪びれもせず、相変わらずしかめっ面で睨んでくるヒノエに鬼若は咎めるように声をかけた。

「ヒノエ、どうかしましたか?」

だがヒノエの口から出てきた言葉は鬼若の予想とは全く違ったものだった。

「おねえちゃん、それ、楽しい?」
「・・・え?」

不意を突かれて間抜けな声が出た。
わけがわからずヒノエを見つめ返すと、ヒノエは鬼若を気遣うような顔に変えてその視線に答えた。

「そのお経、写してて楽しい?」
・・・
幼い頃のヒノエは弁慶大好きでいてくれるといい、内心では弁慶は口が悪いといい、という私的願望丸出しですね・・・
やはり日曜日に「紅葉舞」の感想を書くのは無理そうです。書きたいのはやまやまなのですが、用事ができてしまいました・・・
土曜日にも学校があったり習い事があったりするので大きな時間は取れませんし・・・申し訳ありません。
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