「舞い落ちる薄紅の花弁と貴方の緋色の髪の毛と」6・子ヒノ弁・小説

October 04 [Tue], 2005, 19:41
あまりにヒノエが引っ張るので伸びかけた水干の袖を見て、鬼若は早足になった。
ヒノエはそれに気付いて自分の足をさらに速く動かす。
いつのまにか、二人は走り出していた。


想像以上の強風だった。
鬼若は何度も何度も吹き飛ばされかける外套を掴み、自分の体に引き寄せたがそれも虚しく、すぐに強風が外套を鬼若の手から逃がしてしまう。
また強い風が吹いて、外套がはためく。
暫く立ち止まってはためく外套をしっかり自分の体に巻きつける鬼若をヒノエはいわんこっちゃないといった風に見つめた。
そのような視線を気にしないようにしながら鬼若は足を速めた。

ヒノエの言う通りにしておけば良かった

心の中で小さく舌打ちをしながら鬼若は再び強風が吹き飛ばした外套を引き寄せた。

今日は後悔してばかりだ。後悔するような選択をしてしまう自分が憎い

外套を何度も吹き飛ばされるので、鬼若のイライラは募りそのイライラは自分に向けた。
ヒノエはそのような鬼若を気遣ってか、咎めるような視線は向けても、その言葉を口にすることはなかった。
数回目の外套の逃亡に鬼若は痺れを切らし、とうとう外套を脱いで手に持った。
ヒノエは安心したのかさらに足を速めて鬼若との距離を広げた。
置いていかれては適わないと鬼若もヒノエを追うようにして走った。
二人は無言のままだったが、顔は不思議と笑顔だった。

どのくらい走ったのだろうか。
二人の目の前に小高い丘が見えてきた。
ヒノエはそれを見つけるとより一層嬉しそうな顔でさらに早く走った。
あそこに桜があるのかと鬼若は悟った。
早くその場に行きたかったが、鬼若にはもうこれ以上速く走る力が残っていなかった。
仕方なく鬼若はそのままの速さで走った。
その間にもヒノエは小高い丘の頂上まで登り終えて、鬼若の方を振り返りながら叫んでいた。

「おねえちゃん、こっちこっち!」

その顔はとても嬉しそうにキラキラ輝いていて。
目の前にあるものの素晴らしさを伝えるには充分すぎるほどに。
鬼若は転びそうになりながら丘を走り上がった。
やっとのことで鬼若が頂上にたどり着いた瞬間、また強い風が吹いた。
今度は目も開けていられないほど。
鬼若は思わず目を閉じた。
風はすぐに通り過ぎた。
そこでゆっくりと目を開けた鬼若の目に映ったものは―――
・・・
BL小説ばかり更新して申し訳ありません。しかし明日から試験二週間前に入ってしまうのです・・・余計に更新はこればかりだと思われます。そろそろこれも終わるので、次は彰紋受けを載せます。
週末の気晴らしとして紅葉舞の感想を書けたら良いな、と思います。最近良く聞いているので。
それと先日の「陰陽師」あれ、あのかの有名な映画の原作だったのですね・・・今日クラスメイトに言われて初めて気付きました。
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