「天使の代理人」

October 21 [Sat], 2006, 12:40


妊娠中絶の賛否両論を綴った作品。
こちらの作品は「モンガの独り言 読書日記通信」のモンガさんのオススメで読ませていただきました。

『助産婦だった桐山冬子が手にかけてきた多くの幼い命。後期中絶で生きて生まれてきてしまった赤ん坊の目を見て、中絶を手助けしている事に負い目を感じ、自費出版で刊行した中絶の実態を記した「天使の代理人」。この本をきっかけに、中絶しようとしている妊婦を「天子の代理人」と称し説得する団体が立ち上がった。それがすべての始まりだった。』

この物語の視点は冬子だけではありません。
同姓同名の妊婦と間違われて中絶させられてしまった佐藤有希恵、キャリアウーマンを貫いてきたが子供を産める機能を使わない手はないと精子バンクを利用して自己受精出産を試みる川口弥生、自ら中絶決行し、中絶擁護の為の掲示板を立ち上げる喜多川麻矢。
この4人の視点で語られています。
それぞれ話は進んでいくけれど、”中絶”を軸にして繋がっていきます。
病院側のミスで間違えて中絶させられた佐藤有希恵と、その相手佐藤雪絵の話は興味深く読みました。
中絶をキャンセルした雪絵に殺意を抱き、「天使の代理人」になりすまし雪絵に近付くけど、最終的には雪絵の赤ちゃんを産ませる手伝いをするんです。
この有希恵の気持ちってかなり複雑だと思うんですよね。
雪絵を殺そうと近付いたはずが、本当の「天子の代理人」になってしまう。
そして雪絵の今後の幸せの為に、自分が雪絵のせいで中絶させられた事を伏せておく・・・。
簡単にできる事ではないですよ。
それだけ有希恵が強かったのと、それだけ殺されてしまった赤ちゃんを愛していたからできる事なんだろうな。
その有希恵と麻矢の掲示板でのやりとりはすごかった。

中絶というか胎児が人であるか、いついつまでの中絶は認められるかって、難しいテーマだと思う。
法律で認められているから中絶は問題ないとは思ってほしくないですよね。
それぞれ事情があると思う。
それこそマーヤとゆきべーのように。
でも冬子のように中絶とはどういう行為なのかをきっちり認識してほしい。
残酷だけれどそれが現実だから。

個人的に冬子が「天使の代理人」の原稿を書き終えて本屋に置いてもらうまでのプロセスが妙にリアル感あって、おもしろかったです(笑)
冬子じゃないけど、他人の本の上に自分の本を載せる気持ちわからなくもない。

この本普通の量に見えるけど、中で2段構成になってるので結構ボリュームありました。
読み終わった後本屋さんでこの作品の文庫が上・下で出てたの見て、そりゃボリュームもあるわなと思いました(笑)
麻矢のその後だけ少し気になりました。

人から知らない本をオススメしていただいたのは初めてだったので嬉しかったです。
モンガさん、ありがとうございました!

「天使の代理人」
山田宗樹著 幻冬舎
  • URL:https://yaplog.jp/sanbun/archive/199
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