ぼくを葬る

May 26 [Fri], 2006, 3:38
Le Temps Qui Reste

Directed by Francois Ozon

死をテーマにした映画というのは、どうしても観るのが辛いものがある。いつか人が死ぬということを誰もが知りながら、普段それを自身にとって身近に考えることはない、目を向けたくない事実。いつかは誰にでも公平に訪れる死に向き合う主人公の心の過程を描いたこの映画、淡々とした描写が逆にリアルで、いつか主人公と同じ目線になっていくことに気づきます。

ロマン(メルヴィル・プポー)は最初いかにもギョーカイ人ぽくってやな感じなんだが。そんな彼が、ガンで余命三ヶ月という事実を知っても、騒ぎ立てるようなことはしない。家族にも恋人にも知らせず、むしろ自分から周囲を突き放してしまう。
残された時間が少ないことを知って、初めて気がつくこと、目に映る光景がある。その瞬間を収めようとカメラを向けるロマン。多分、それまでは目を向けることがなかったものだと思われます。
彼が真実を打ち明けたのは祖母のローラだけ。理由は自分と似ている=もうすぐ死ぬ、から。演じるジャンヌ・モローの年輪を感じさせる存在感はさすがです。
だんだんとロマンの心境は変わる。昔は仲が良かったはずの姉とは、いつからうまくいかなくなったのか。ロマンの子役が同じ黒の巻き毛で可愛いです〜。彼女と和解し、隠れて写真を撮るところなんて、胸に迫るものがありました。更に子供ができない女性に赤ちゃんを授ける。この辺、ちょっと「え?」っていう展開だったんですが(どうやって作るのかと・・・)、無事に子供は授かったんですね。

そして周囲のざわめきが潮騒へと変わる海辺でのラストシーン。やはり、海は全ての生きるものが還るところということでしょうか。
人は生き方と同時に、死に方をも選べることを示唆しているように感じられました。そして、どんな人間にもそれはひとつしか与えられなくて、決めるのは自分自身だということ。
『ぼくを葬る』という邦題・・・内容を的確に表していると思います。


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