ファーストフード・ネイション

March 08 [Sat], 2008, 0:31
Fast Food Nation

ファーストフードは世界を食らう。国をも飲み込むファーストフード業界の内情を通して、現代社会の縮図を描き出す群像劇。

経営側、労働者、そして未来を担う学生。3つのエピソードを交錯させながら、俯瞰図からやがてそれぞれのパーソナルな落下点へ辿り着く。
リチャード・リンクレーターって、私にとっては新作が公開される度にチェックする監督の一人でメジャーな(?)存在なんだけど、この作品がレイトショー公開という扱いなのはナゼ?タイムリーな題材でもあるというのに。つーか、逆にだからですか?
と思ってたら、私が観に行った時は夜の上映回が増えていて、しかも立ち見も出ていた様子。普通に公開すればいいのにー。
群像劇だから登場人物が次から次へと出てくるわ×2だけど、結構多彩な顔ぶれなのにねー。

うーん。
これは観てしまったらファーストフード食べるのしばらくためらってしまいそうですねー。ま、元々そんなに1000%信頼してるわけじゃないけど、ここで描かれる辛辣な描写には現実のシビアさが降りかかって雨に晒される子犬ちゃん状態なのです。そしてファーストフード産業という「手っ取り早い」業界をモデルにしつつ、それが世界そのもの、更には様々な社会の縮図になぞらえられているような。
どんな社会構造にも存在する、使う者、使われる者、それにその在り方に疑問を呈する者。3者それぞれの視点から描かれるドラマは、社会問題的な重いテーマをも内包しながら、テンポ良く展開していく。
映画のトーンとしてはどよーんととことんシリアス、というよりはコミカルな要素も加味しつつ、見応えも充分な仕上がり。

全米で急成長するファーストフード・チェーン、「ミッキーズ」の幹部、ドン(グレッグ・キネア)は重大な自社食品の汚染事実を受け、食肉工場のあるコロラド州のド田舎町、コーディへと調査のため出向く。そこで交わるのは工場で酷使されるメキシコ移民の姉妹、そしてコーディ店でアルバイトする学生、アンバーを中心としたそれぞれの物語。

利潤を追求するあまりの会社の不当なやり方に気づきつつも、何もできない中間管理職の哀愁が漂うドン。夢見てアメリカへ渡ってきた姉妹の、対照的な姿。可愛い名前とは裏腹に、奔放でちゃっかり者の妹、ココとは対照的に誠実な姉シルヴィア(カタリナ・サンディノ・モレノ)が生活のため、どんどん辛い状況に追い込まれていく姿に胸が痛む。最後に彼女が見せた気丈な涙に、心動かされない人がいるだろうか。

そしていちばん共感し易かったのが、アンバー(アシュリー・ウィルソン)のエピソード。
ソーラ・バーチ(今元気?)とジュリエット・ルイスを足して2で割って健康的にしたような彼女は、聡明で正義感の強い女の子。やがて大学生たちと一緒に環境保護の活動に乗り出すようになる。過酷な現実でいっぱいのこの地球で、何か変えることができるだろうか?ちっぽけな自分は、まず自分でできることから始めないと。いつか町を出ることを夢見るアンバーの、自立への成長の道は誰にでも身に覚えのある想いではないかな。
アンバーに叔父のピート(イーサン・ホーク)が語る、'Listen to yourself.' という言葉はとても印象的だったのです。
この若者パートでは、アヴリルちゃんなんかも登場しますが、何気にインディーズばんざーい。なキャストになっておりまして、ポール・ダノ君(『リトル・ミス・サンシャイン』やルー・プッチ君(『サムサッカー』)などが顔を見せてます。

企業という巨大な傘下での不当な現状において見えてくる、動かすことの出来ない、大きな空の下で精一杯生きる人たちの姿が心に沁みる。逆らうことの出来ない大きな波に飲み込まれても、いつも自分自身の声に耳を傾けることを忘れずにいられたら、と思うのです。
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