ラスト、コーション

February 21 [Thu], 2008, 22:54
Lust, Caution

日本軍占領下の異国情緒溢れる香港と上海を舞台に、抗日運動に身を投じた女スパイの悲劇的な運命を辿るドラマ。

2作連続でベネチア映画祭金獅子賞を獲得した、アン・リーの最新作。あどけなさを残した少女は、やがて情念に身を焦がす女スパイへと変貌する。
『ラスト、コーション』の「ラスト」って、'last'じゃなくて、'lust'だったのね。
キリスト教の七つの大罪にも含まれる、「色欲」はこの言葉。普通には「欲望」ってことだろうけど。漢字での「色、戒」がまさにその通り、ですね。強い欲望が身を狂わせる。注意。

アン・リーの作品には好きなものが結構あるので、今回もそれほど内容的に惹かれるものはなかったんですけど、やはり観ておかないとかなーと。本来こういう物語って私にはくどいというか、濃すぎる感じなんですけどね。敵に近づく女スパイの禁じられた愛だなんて・・・いかにもメロドラマちっくだし、どうせ偽りが本物に変わっちゃうんでしょ?みたいな。
ちなみにアン・リー作品では先日亡くなったヒース・レジャーが素晴らしい演技を見せた『ブロークバック・マウンテン』ももちろんですが、『ウェディング・バンケット』や『いつか晴れた日に』も大好きな作品たち。初期の作品から、異文化(違う世界の人間、という意味でも)の出会いや交流、摩擦は主要なテーマとして描かれてきた気がします。そういう意味では、思想を異にする敵同士の2人の交わり、という今作のシチュエーションも重なるものがあるかも。

でも、観ていて気づくのは、これは完全な女性のドラマだということ。
ヒロインはワン・チアチー(タン・ウェイ)。キャリアの差のためか(?)、クレジットはトニー・レオンがトップだけれど、主人公は紛れもなく彼女。一人の女性の生き方、末路を描いたヒロイン映画といっていいくらい。
正直、トニー・レオンをめろめろんにする役にはどうなの?と最初は思ってたけど、映画が過去にプレイバックした瞬間、タン・ウェイで正解☆と感じました。
ほぼノーメイクで、まるで別人のような清純女学生っぷり。この少女がああなるの?化けすぎ!ってそのギャップに驚いちゃうもん。

映画の中では香港での学生時代のシーンがいちばん良かったんだよね。バスから身を乗り出して雨に濡れる、という映画的で印象的なシーンもあったし。
演劇仲間の延長で、抗日運動へと身を投じていく仲間たち。映画が好きで聡明な少女は、演劇を通して「別人を演じる」ことに目覚める。これが後のチアチーの下地となる部分。そして演じている自分の役が、いつしか本物の自分自身の感情の境界線を見失う。

だけど、やっぱりヒロインがいわゆる「女の業」で身を滅ぼすタイプの物語ってあんま好きになれないのです特にこの作品ではチアチーの政治的思想への目覚めや信念がいまいち迫ってこないため、女としての生々しい姿がより一層強調されちゃうっていうかね。でもこういうの、好きな人は好きそうだけど・・・。そのわりにギリギリのところに立つ二人だからこそ醸し出されるはずの、エロティックな感じはあんまりしないんだよね。ナゼ?

比べるのもおかしいけど、『ブロークバック・マウンテン』が静謐で多くを語らないのに想いが痛いほど伝わってくる映画だとしたら、華やかな映像美やドラマティックな物語を媒介にしていても、流れる想いを感じ取れない気がしたな。
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