スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師

January 31 [Thu], 2008, 21:59
Sweeney Todd: The Demon Barber of Fleet Street

陰鬱な空の広がるロンドンで、黒い煙を吐き出す理髪師の悪魔の歌声が聴こえて来る。その階下の店で作り上げられるのは極上のミートパイ。

悲哀と愛情、皮肉を血で染め上げて、ティム・バートンが生み出したクラシックなゴシック・ホラー風ミュージカル。
ティム・バートンって、心優しいはみ出し者をいつも描いている気がする。
どんな奇想天外な寓話世界が展開されていても、そこに存在するのは道化のように怖いほど純粋なキャラクターへの優しい目線。
そしてそれが、ジョニー・デップという俳優にどんぴしゃはまってしまうということでしょうか。今回が6作目のコラボです。

基本的にバートン監督作は『ビートルジュース』辺りから好きな私ですが(あの頃のウィノナ・ライダーは可愛かったなー)、これほど趣味全開で映画を作っているのに尚且つハリウッド的なヒット作品を生み出すことを両立させている人っていないですよねー。うん。
ちなみにデップとのコラボ作では『シザーハンズ』と『スリーピー・ホロウ』が好き。『スリーピー〜』の捜査官なんてキャラ的には最高ですよねー。

さてさてこの『スウィーニー・トッド』は寓話というには残酷すぎるおどろおどろしい内容なのに普通にミュージカルなんですね。作詞・作曲はスティーヴン・ソンドハイム。ブロードウェイではトニー賞も受賞している作品です。
まあ、一般のミュージカルより陰影に富んだメロディの曲が多いというか、煌びやかに謳い上げるようなナンバーではなく、唄っていても台詞を聞いているような印象。でも若い恋人たちの歌とかは、いかにもミュージカル的な展開ではありますけれども。
そういえば、この作品何年か前にも映画化されませんでしたっけ?(未見だけど。)主演はベン・キングスレーだったような・・・ひぇー、こ、怖すぎるぞ・・・。

舞台となるロンドンの街は、世紀末ムード満点のゴシック・ホラーな世界。
モノクロかと見紛う様な色彩と絵画のような質感で構築された映像に、赤い血の色が映える。そしてまるで古い映画のワンシーンを切り取っているかのようなカットの数々が美しい。なんせ血が苦手なもので、血しぶきどばーっの場面の連続は正直ちょっと辛くはあったんだけど。
イメージとしてはちょっとサイレントのホラー映画とかを彷彿とさせる感じ。モノクロなのになぜか血だけが赤く見える錯覚を覚えるような。(この映画ではほんとに赤いですけど。)

愛する妻を奪われ、悪徳判事に無実の罪で投獄されたスウィーニーが15年ぶりに戻ってきたロンドンで、彼は理容師の剃刀を凶器にした殺人鬼と化す。そしてその死体の後始末に手を貸すのはこれまた夫を失い孤独なミス・ラヴェット(ヘレナ・ボナム・カーター)。
哀しみと孤独が人の心を狂気に変えてしまう、それは実はものすごく単純でシンプルな真理かもしれない。過去が美しければ美しいほど、狂気は膨らんでいくものであるのに、それでも空っぽな心にはたったひとつの純粋な想いだけが生きていた、ということを物語るラストが切ない。

ジョニー・デップ様はエドワード・シザーハンズが若干老けて邪悪になったような風情で歌もそのまんまの声でござんす。
それよりヘレナ・ボナム・カーターの歌がお上手なのには驚きましたよ。彼女、なんで最近いつもあんな人間離れした(?)感じなんでしょうね?昔はいかにもお嬢様で可愛かったのに・・・(遠い目)。
いやらしい中年判事役が似合いすぎなアラン・リックマン、どうしてあんなにいつも胡散臭いのでしょうか?なボラットことサシャ・バロン・コーエン他、役者も揃ってます。

ミュージカルでも、やっぱりティム・バートンの世界は変わらない。
殺人鬼の暗い影を見るとき、その向こうには小さな檻の中で異形としての人間のもがく姿が浮き彫りになるのだ。
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