オーナー会社における離婚は個人の問題ではすみません

June 14 [Fri], 2019, 7:00
オーナー会社における離婚は個人の問題ではすみません

親族会社の場合、夫が社長、
妻が副社長というケースがあります。
たとえば、夫婦で個人事業主として事業を開始し、
少しずつ大きくしていって、現在は、社員も数十人規模となり、
年商も数億まで成長した会社があるとします。
何十年も夫婦二人三脚で事業を行ってきましたが、
ここに来て経営方針が合わなくなり、親の介護などでもめ始め、
夫婦仲が悪くなってしまいました。
夫は、このままでは事業にも集中できず、
中途半端なままだと社員やお客様にも迷惑をかけると考え、
妻と離婚をすることを決意しました。
幸いにして、株式は全部夫名義となっているので、
株主総会を開催し、妻の取締役を解任しました。
そして、いざ妻に離婚を申し立てると、
妻から財産分与を要求するといわれました。

▼株式評価のリスク
会社は健全経営を心がけ、内部留保も多くあり、純資産額は
10億円近くになっていました。離婚における財産分与の対象は、
夫婦が双方の協力によって得た財産で、
誰の名義かは関係ありません。
このケースのように夫婦で一から会社を作ったような場合には、
株式の評価額相当が財産分与の対象となってしまいます。
仮に一般的な基準で、妻が財産形成に5割の寄与をした
ということであるとすると、5億円を財産分与として
分与しなければならなくなってしまいます。
もし、現金を用意出来ない場合には、株式である現物を
要求される場合もあります。
万一、5割の株式が離婚した妻に移った場合、
会社経営は大変不安定な状況となってしまい、
社員やお客様に多大な迷惑をかけてしまうことに成りかねません。

▼親から譲り受けた株式は財産分与の対象とはならない
「夫婦の一方が婚姻前から有する
財産及び婚姻中自己の名で得た財産」
は、特有財産として財産分与の対象にはなりません。
婚姻する前から持っていた預貯金、相続によって得た株式などは
特有財産といって、財産分与の対象になりません。
したがって、夫が会社の株100%を持っていても、
それが親からの相続によって得たものである場合は、
離婚の際に妻から要求されることはありません。
もっとも、婚姻した後に増資したような場合には、
その増資分については、財産分与の対象となり、
増資分の半分の株式の価格相当額は
財産分与の対象となってしまいます。


▼離婚は慎重に!
長年連れ添った夫婦であっても、様々な理由から今後一緒に
生きていけないというような選択をする場合もあるかもしれません。
夫婦の問題は個人の問題ですが、会社を経営していると
それだけでは済まないリスクがあります。
やむを得ず離婚を選択する場合には、様々な影響を考慮し、社員や
お客様に迷惑がかからないよう慎重に検討することが大切になります。

(学会 法務研究部会 常務理事 弁護士山田勝彦)
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坂本光司
人を大切にする経営学会会長 人を大切にする経営大学院塾長

元法政大学大学院政策創造研究科教授。 NPO法人オールしずおかベストコミュニティ理事長。 日本でいちばん大切にしたい会大賞」審査委員長。 他に国・県・市町・産業支援機関の公職多数。 専門は、小企業経営論・地域経済論・福祉産業論

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