沖縄ニュース:米軍へ6000人抗議/地位協定の改定訴え 宮古・石垣でも600人 「米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会」

2008年03月24日(月) 15時33分
沖縄タイムス2008年3月24日(月) 朝刊 1面

米軍へ6000人抗議/地位協定の改定訴え
宮古・石垣でも600人 「米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会」(主催・同実行委員会)が二十三日、北谷町の北谷公園野球場前広場で開かれた。激しい雨の中、女性団体や教育関係、労組などの市民団体、地域住民ら六千人(主催者発表)が参加。続発する米兵犯罪や基地被害を厳しく批判し、日米地位協定の抜本改定などを求める大会決議を採択した。宮古島市、石垣市でも同時開催され、六百人が怒りの声を上げた。
 県民大会に呼応し、東京都内でもデモ行進などが行われ、米兵による事件・事故に抗議した。
 実行委員長の玉寄哲永県子ども会育成連絡協議会会長は「この大会は人権を保障させる運動の第一歩になる。沖縄の怒りを日米政府へぶつけよう」と呼び掛けた。
 二〇〇二年に神奈川県で米兵に暴行された被害女性が登壇。「被害者として黙っていられない。心の傷は残っているが、この場に来て私は一人じゃないと思えた」と語り掛けた。会場は静まり返った。
 開催地の野国昌春北谷町長、東門美津子沖縄市長、翁長雄志那覇市長ら本島中部を中心に十市町村長が出席したほか、国会議員や県議らも参加した。
 大会決議は、一九九五年の米兵暴行事件後に約束された再発防止や基地の整理・縮小が守られていないことを批判。日米両政府に(1)日米地位協定の抜本改正(2)米軍による県民の人権侵害を根絶するため政府が行動を起こすこと(3)米軍人への厳しい綱紀粛正と実効性ある再発防止策(4)基地の一層の整理・縮小と兵力削減―の四項目を要求した。
 実行委は、構成九十九団体の代表らに呼び掛け要請団を結成し、四月十日をめどに、首相官邸や衆参両院議長、外務省、防衛省、在日米大使館に要請行動する予定。

[ことば]

 地位協定改定要求 1995年11月、大田昌秀知事は10項目の地位協定見直しを政府に要求。その後、米軍が地位協定に基づく「施設間の移動」と主張していた民間地域での行軍を禁止、被害者補償に備え米兵の全マイカーを任意自動車保険に加入させることなどが実現したが、多くは稲嶺恵一、仲井真弘多知事の代へ持ち越された。

沖縄タイムス2008年3月24日(月) 朝刊 22・23面

「安心を返して」/「涙雨」静かな怒り 「沖縄に、安全で安心な暮らしを返してほしい」。二十三日、北谷町の北谷公園野球場前広場であった県民大会。県民が繰り返し訴え続けてきた願いを胸に、強い雨と風の中、約六千人(主催者発表)が集まった。米兵による犯罪の被害者らの怒りや悲しみを込めた訴えに会場は静まり、涙する人も。後を絶たない米兵の事件・事故と、防げない日米両政府に抗議と怒りが広がった。
 大会開会の一時間ほど前から勢いを増した雨に強い風。参加者は傘を差し、雨がっぱを着込んでも吹き込む雨や寒さに耐えながら、アスファルトの広場やぬかるんだ芝生、雨宿りした野球場の軒下から舞台に視線を注いだ。
 「県知事は地位協定の抜本的な改定を求め米国に行くのに、県民の声を反映させることもなく手ぶらで行くのか」。大会実行委の玉寄哲永委員長は、参加しなかった仲井真弘多知事や自民党県連の姿勢にいつになく怒りをあらわにした。
 翁長雄志那覇市長は穏やかな口調ながら、地位協定見直しに消極的な町村信孝官房長官や日本政府の対応に「どこの国の官房長官かと思う」などと、厳しい言葉を重ねた。
 高まる檀上のボルテージに拍手や指笛、「そうだ」の掛け声が飛んだ。
 神奈川県内で米海軍所属の米海軍所属の米兵に性的暴行を受けたオーストラリア出身のジェーンさん(仮名)が話し始めると、会場は静けさに覆われた。
 米兵に暴行を受け、心に一生の傷を負ったこと。「助けてくれる」と思った日本政府が捜査でも裁判でも助けてくれなかったことを語り、「私は性犯罪被害者です。私は恥ずかしくない。私は悪くないから」、「何も悪くない沖縄、何も悪くない私」と訴えた。
 率直に体験や気持ちを語るジェーンさんの言葉に、参加者はうつむいてじっと聴き入ったり、まぶたを手でぬぐったりした。
 「平和のための行動を進めていきましょう」。
 ジェーンさんの訴えに応じるように、地位協定の抜本的見直しや在沖米軍基地の整理・縮小の促進などを求める六千人の「ガンバロー」のこぶしが、雨空へ力強く突き上げられた。
     ◇     ◇     ◇     
勇気の訴え共鳴/性暴力被害者・ジェーンさん

 「性暴力の被害者として、黙っていられない」。二〇〇四年に神奈川県内で米海軍横須賀基地所属の米兵に暴行されたジェーンさん(仮名、四十代)は、犯罪を問うため闘ってきた六年間の思いを語った。訴えは、六千人に染み入った。
 オーストラリア出身のジェーンさんは来日三十年で東京に在住。加害者の米兵相手に民事訴訟を提起、東京地裁は賠償金の支払いを命じたが、米兵は審理中に帰国し行方知れずに。
 「暴行されたとき、殺された方がましだと思った。何年たっても忘れられない」。帽子にサングラスで登壇したジェーンさん。時折叫ぶように語った。
 二月の暴行事件後のライス米国務長官来日に触れ「きちんと謝罪するというなら、加害者の米兵を日本に戻して」と訴えた。
 大会参加に葛藤もあった。自分に恥ずべきことはないとの信念と、顔や名前を隠して登壇することへの悩み。小学生の息子に「家族の名前を出していい? ママのことでいじめがあるかも知れないよ」と尋ねてみた。息子は「大丈夫。お母さんは何も悪くない。僕が守ってあげる」。涙が止まらなかったという。
ずっと一人で闘ってきたジェーンさんが、日米政府、警察から掛けてほしかった言葉だった。「悪いものは悪い、正しいものは正しい」。訴え続ける勇気になった。
 大会後、壇上のジェーンさんのもとに、女性が駆け寄り、握手を求めた。「自分もずっと苦しんできた」と打ち明け「今日から強く生きていきたい」と語ったという。「涙が出た。つないだ手を放したくなかった」「私たちの活動を世界が注目している。今日、私は一人ではないという気持ちになれた。一緒にやっていきましょう」。そう締めくくったジェーンさんを温かい拍手が包んだ。

「声上げ日米動かす」/宮古・八重山でも集会

 【宮古島・八重山】米兵による事件・事故に抗議する宮古集会と、八重山郡民大会が二十三日、宮古教育会館、石垣市役所前広場でそれぞれ開かれ、日米地位協定の抜本改正などを求める決議案を採択した。
 宮古集会(主催・同実行委)には二百八十人(主催者発表)が参加。実行委員長の伊志嶺亮宮古島市長は、一九九五年の県民大会以後も米兵による暴行事件が起こっているとし、「われわれの声を日米両政府に届けるよう、宮古からも訴えていきたい」と述べた。
 下地昌明多良間村長は強い憤りを示し「米軍の再発防止策は不十分だ」と批判。宮古島市婦人連合会の下地正子会長は「米軍基地を子や孫の世代に残してはいけない」と訴えた。
 八重山郡民大会(主催・同実行委員会主催)には約三百五十人が結集。実行委員長の本底充連合沖縄八重山地域協議会議長は「一人一人の怒りを大きなうねりに、日米両政府を動かそう」と強調。大浜長照石垣市長は「基地があるから米兵の事件・事故が起きる。根底から考える必要がある」、大盛武竹富町長は「日米両政府は再発防止の具体策を示すべきだ」と述べた。
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龍から
沖縄タイムス2008年3月23日(日) 朝刊 1・29面
「被害者名」記し批判/産経・世界日報にチラシ

 二十二日に県内で宅配された産経新聞と世界日報の折り込みチラシに、米兵による暴行事件の被害者の実名とも読める氏名を記載して被害者を批判する文書が含まれていたことが分かった。チラシの折り込みを依頼した国旗国歌推進県民会議の惠忠久会長は「氏名を記したのは軽率だったかもしれない」と話し、世界日報は販売店にチラシの回施CARR_EMO_437}命じた。
 チラシには被害者を批判する文章のほか、「県民大会を開かせるな、自民党、公明党は絶対に参加すべきではない」などとした惠会長の主張がA4紙二枚に記されている。
 惠会長は、数百部を同日の両紙朝刊に折り込むよう販売店に依頼したという。記載された名前は実名ではないが、惠会長は実名かどうか把握しておらず、「チラシはある文章を引用して作ったが、名前を記すことの意味はよく考えていなかった。被害者の人権を指摘されれば多少、軽率だったかもしれない」と述べた。
 沖縄タイムスの取材に対し、世界日報の黒木正博編集局長は「同日夕府CARR_EMO_437}イろ、沖縄の販売店から報告を受けた。不穏当な表現だと考え、すぐに回施CARR_EMO_437}命じた」と話した。
 産経新聞社大阪本社の広報担当は「折り込み広告は販売店が判断して入れている。公序良俗等に反するものは控えるよう販売店には言っている。内容の確認をしていないが、もし事実ななら遺憾に思う」としている。
 県人権協会の永吉盛元事務局長は「被害者である、という立場をまったく理解していない。本当に実名を出していたとしたら、甚だしい人権侵害で悪意に満ちた態度だ」と憤った。「言論の自由があると言うかもしれないが、私たちの社会で到底許されるものではない」と述べ、強い抗議が必要との認識を示した。

産経新聞最低
2008年03月24日(月) 15時38分
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