感覚的

2005年05月18日(水) 8時45分
ホテルに着くと、複雑な気持ちだった。


『今日ね、昼間に彼と寝たの』

うつむくあたしに悠が振り向く。


『…愛は感じなかったか、そんな表情するってことは』

ややあって
『もう仕打ちなんだろうな、惚れた女にそこまでするか』
ソファに座って悠がため息をついた。

『そいつじゃないとだめなのか?』
声は出さずに頷くと、もっと深いため息を吐いて

『愛されたいか?』
と訊いてきた。


『愛されたい…かな。そう思うけど、今は自分が愛してるからそれしかない』
煙草に火をつけて
『理解してくれる奴とつきあえ。傷を癒してくれる相手とな』

それ以上、悠は何も言わなかった。

しばらくの間、悠とホテルに備えつけのゲームをする。

あたしは今夜、悠と寝るんだろうか−
永が好きなんだろうか−
自分の気持ちは何処にあるんだろう−

そんなことを考えていると
『風呂入ってくる』
と悠は立ち上がった。

ソファに座って待っているとバスルームから
『環も入るか?』
と悠に呼びかけられる。

『いい、後でシャワーだけ浴びるよ。』

疲れていた。
不安定になる、精神と身体−
痛みに慣れていく想い−

『いいから入っておいで』

強引じゃない強い口調で悠に言われ、あたしはバスルームに向かった。
服を脱いで、少し骨ばった身体を鏡に映す。
あたしは2週間で7キロも減っていた。

バランスの悪い身体−

深くため息をついて、あたしはバスルームに入る。
湿った、少しなま温かい空気の中で、昼間、永に抱かれた身体を洗い流した。


ちぎれそうな想いなのに涙が出ない−
泣きたいのに泣けない自分に、ぐっと唇をかむ−


長くは入っていられないあたしは、さっと流してバスルームを出た。
きつめに調節したエアコンが肌寒くてバスローブを慌てて着る。
ベッドまで行くと、悠は寝転がって煙草を吸っていた。
となりにぺたっと寝そべり、悠をながめた。


『心配すんな』

息がかかるほどの距離で悠が頬をなでる。
『感覚的−っていうのかな。いい女だよ、環は。』

ややあって
『あと2〜3年もすれば、うまく自分を扱えるようになるさ』


−ほっとした。

自分を必要としてなくても。
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