魔法少女クラゲ2

May 19 [Tue], 2009, 23:10
EP2
クラゲとの生活


目次


 学校から帰宅すると、すぐに宅配便がやって来た。
「砂原さん。お届け物です」
 僕は、宅配便の運んで来た荷物の大きさに驚いた。棺桶でも届けに来たのか?と思ったが、すぐに、それが先日自分が注文したとんでもない物であるということに気づいた。
「ご、ご苦労様です・・・」
「ここに、サインか判子をお願いします」
「はい・・・」
 こうして、僕の家に魔法少女が届いた。

 僕は、魔法少女の入った大きな箱を、急いで居間まで運んだ。散々床に引きずりながら運んだ後、乱暴に床に倒した。

 だが、箱はピクリとも動かない。

「・・・・・慌てるなよ、僕」
 僕は考えた。大抵の人間は、この箱の包装紙をビリビリと破いた後、豪快に箱を開封してしまうだろう。だが、それは愚考というものである。なぜなら、箱の中の魔法少女が、どのような格好をしているのかが分からないからである。
 ダッチワイフを買ったような感覚のドスケベならいいが、僕のように“話し相手として”魔法少女を購入した者の場合、いきなり相手に裸で登場されたりしたら、非常に気まずいのである。
「大丈夫だとは思うが、一応服を用意しておくか」
 僕は、箱を開封する前に、まずは魔法少女の服を探すことにした。
「えーと、えーと・・・」
 隣の部屋のタンスを開け、女の子にも着られそうな服を探した。少々大きいかもしれないが、なんとか我慢してもらうことにしy・・・・・。

 パカッ

 え?パカッて何だ?何の音だ?何の音かって?決まっている。それは・・・・。
「自力で箱の外に出たのか?!」
 心臓の音が爆音の如く鳴った。いくら自分で注文したとはいえ、相手は初対面、未知の存在なのだ。緊張しない訳がない!
「だ、誰か居るんですか?」
 僕は、とりあえず相手に声をかけてみた。そうだ。声をかければいいのだ。何も、相手と接触するだけが人間のコミュニケーション手段ではないはずだ。我々人類には、言葉という心強いコミュニケーションアイテムがあるではないか!言葉を交わせばいいのだっ!
「つかぬことをお聞きしますが、あなたは服を着ていますか?それとも全裸ですか?」
「・・・・・・・・・・」
 しかし、相手は何も答えなかった。無言のまま、こちらへと近づいて来る。これは結構怖い。まるで幽霊ようである。僕は突然、背筋が冷たくなっていく感覚を覚えた。

 未知の存在が、こちらへ向かってくる!

「・・・ポカリスエットが飲みたい」
「え?」
 僕の前に現れたのは、灰色のロングヘアーが印象的な少女であった。服は着ているものの、微妙に湿っていて・・・・・磯臭かった。



 あまりにも磯臭かったので、僕は少女を風呂に入れさせた。衣服も全て洗濯した。そして今、僕の目の前で、僕のお古の服を着た少女がフルーツゼリーを食っている。
「うまっ。うまうまっっっ!」
「・・・随分と上手そうに食うな」
 フルーツゼリーを食う少女を見つめながら、僕は思った。1万9000円・・・。高いっ!これで1万9000円かよ!何か風呂に入っても磯臭いし、すっげー頭悪そうだし、期待していたのと全然違うじゃないか!!
「つーか、お前、体拭いたのかよ?まだ濡れてるじゃないか」
「仕方ないでしょ。クラゲは体が乾燥すると弱っちゃうんだから」
「ク、クラゲ?!」
「そう。クラゲ。クラゲというのはプランクトンの一種で、海中を浮遊している・・・」
「いや、それは知ってるから!で、そのクラゲが何だって?」
「だから、クラゲは体が乾燥すると弱っちゃうんだよ☆」
「・・・・・・・」
 さっきから、この子の言っていることがよく分からない。この子はまるで、自分がクラゲであるかのような口調で話している。
「あのー、君の名前は?」
「クラゲ。魔法少女クラゲだよん」
「・・・・・名前がグロいんだよっ!!!」
 なんちゅー名前だ!犬や猫ならまだ僕の許容範囲だが、クラゲは完全にアウトだ!クラゲという生き物は、世間から萌え要素として認められていない!
「じゃあ、さっきから磯臭いのはそのせいなのか?!お前がクラゲだから磯臭いのか!!?」
「クラゲの体は90%が水分でできていますから、こまめにお水を飲ませてね!あ、できれはポカリがいいな☆」
「無視すんなボケェ!!!つーか、何気にポカリ催促すんのやめろ!!!」
「いーじゃん!いーじゃん!ポカリすげーじゃん!」
 もう、いい加減に堪忍袋の緒がクライマックスジャンプしそうであった。もうやだ!コイツ、磯臭い上にワガママ過ぎる!こんなの、僕の望んでいた魔法少女じゃない。僕の望んでいたのは、もっと清潔感があっておしとやかで、髪の毛が揺れる度にシャンプーやリンスの香りが微かにふわふわと漂ってくるような、そんな美少女だったのに。こんな磯臭い奴、可能なら返品してやりたいと思った。
「・・・そうだ」
 その時、僕は思い出した。そうだ!この国にはクーリングオフという素晴らしい制度があるではないか!クーリングオフの有効な期間は、確か7〜8日だったと思う。その期間中にコイツを送り返せば、1万9000円を取り返せる上に、この魔法少女クラゲを追い出すことができる!
「あのー、喉乾いたんだけどー」
「冷蔵庫にコーラが入ってるから勝手に飲め!」
「はーい☆」
 見ていろよ、忌々しいクラゲめ。近い内に睡眠薬を買ってきて、ポカリに混ぜて飲ませてやる。そして、お前の眠っている間に、お前を箱に詰め直してメーカーに送り返してくれるわ!わっはっはっは!!!
「くげぇ!すぃびるぇるぅ〜!!」
 クラゲが、突然ケイレンを起こして倒れた。
「おい、大丈夫かよ・・・」
 クラゲって、コーラを飲むと痺れるのか?

続く
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