泣きっ面に蜂−2

November 20 [Tue], 2007, 14:49
望郷〔 起業編−9 〕泣きっ面に蜂−2

ゲーム機の開発は命懸けだった。
何しろこの仕事に賭ける以外に会社を再生する方法がない。
幕張の展示会に当社が開発したゲーム機が並べられて当日は大盛況だった。
苦労した開発が段落して客先に開発費6百万円の請求書を発送し、1ヵ月後の支払い指定日に銀行口座を確認したが入金がない。

昨年、食品機械の代金回収で苦労した経験があるからすぐに電話を入れたらちゃんと電話が繋がって一瞬安心した。
「エンドユーザーのゲーム機メーカーから開発費がまだ振り込まれないので数日待って欲しい」
年商3百億円の会社だから、逃げ隠れもしないだろうと思い、また事務処理にも初回取引だから手間取っているのだと思って数日待つことにした。
だが1週間たっても代金は入金されない。
仕方なく客先を訪ねて直接問い合わせることにした。
経理担当者の説明がどうも解せない。
エンドユーザーがゲーム機の仕様を満足しないから開発費を支払ってこないというのだ。
しかし当社はこの会社から受注し、仕様に通りの機械を納めたのでエンドユーザーの意向は当社に関係ない。
だから厳しい口調で支払いを迫った。
経理担当者は「代金は近日払います」と言うばかり。結局200万円だけが振り込まれ、残る400万円が払われないまま、量産の受注も進まないまま2ヶ月が流れた。

ある日、新聞の産業欄に目が釘付けになった。
あの年商300億円の会社が、負債380億円で倒産した。
食品機械で大きなダメージを食らい、続いてゲーム機で未収金を出して、とうとう会社は行き詰ってしまった。

借金して社員の給料だけはキチンと支払い続けていたが、技能不足で行き場が無いと思っていた技術者達も一挙に離散した。

明日、破産しても仕方が無いほど、打つ手も尽き果てた状態だった。
事務所は創業した日と同じ、私ひとりだけに戻ってしまった。
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