Una cadena〜連鎖する双つの心〜○第6話○

December 23 [Tue], 2008, 20:32
やー、二周目まわってきました!
段々話に肉付けされてきて、今後の展開にもwktkっすね。
第一話&第五話はメノのサイトplan B(http://yaplog.jp/tani-ken/)の『小説』カテゴリから、どぞ!
他はまぁ、順繰りに見てってくださいな
次は紅蛇だぜ!
graphiTe(http://graphitet.blog92.fc2.com/)の『リレー小説』カテゴリにて。

それでは第6話、どうぞ☆
今回長すぎます。ゲイル登場させたくて頑張っちゃった…めんご。
Una cadena〜連鎖する双つの心〜



第6話 〜compañía〜


「ここがゼロの部屋だよ!」
「…ほ、本当に、本当に俺の部屋?」
「うん?そうだよ。」

連れて来られた部屋はあまりにも質素な部屋だった。
最初に入った居間のような場所はシアの趣味なのか、可愛らしく装飾されていた。
それに比べると、この部屋はひどい有様だ。
別に俺の住んでた家の部屋がごてごて飾り付けられていたわけじゃない。
わけじゃないが。
これ程地味な部屋じゃなかった…と思う。
質素な造りの机と椅子、それと硬そうなベッドに数着しか服の入っていないクローゼット。
そこに置いてある服も無地だけだし、部屋の全体像も…

「俺じゃないみてぇ…。」

零の呟きを聞いたのか、シアはぷっと吹き出す。
不思議そうに零がシアを見ると、
「ふふっ、確かに全然違うね。」
「へ?何が?」
「性格もセンスも、ぜぇんぶ!ここまで完全に変わってるとは思わなかったなぁ。
それだけ政府が用心して記憶改ざんしたって事だろうけど…。」
にこにこ笑いながら言うシアは、しかし少し淋しげだった。
シアのそんな顔を見るのは、何だか辛い。
やっぱり前の俺と違うからか…?
シアの口調から想像するに、俺は懐かしいと思える位良い奴だったって事だよな。
零は両手を頭に乗せながら、

「俺ってさ、どんな奴だったの?」
「…えーっとねぇ…まず、無口。で、今のゼロよりがさつで乱暴。
でも、たま〜に優しいトコもあるって感じかな。」
「ふ、ふぅん…。」

まるっきり違うじゃないか。
懐かしむ程良い奴とも言えそうにないし…。
むしろ嫌な奴に近いんじゃ…?

でも。
それでも。

今までの仲間が一気に人格変わるって、凄く辛い事なのかもしれない。
記憶もないし、人格も違う。
はっきり言って他人だ。
ゼロはふぅっと溜息をついた。
俺はこれから本当に仲間として、やっていけ…

「ゼロ!!」
「は、はいぃっ?!」

突然シアが俺の目の前に顔を近づける。
端正な顔が真剣に俺を見つめる。
うわ、ちょっと待って、心の準備が…!
俺の無用な心配をよそに、シアは俺の両手をがしっとつかむ。
それを胸の前でシアの両手が覆う。

シアの表情を伺うと、今にも泣きそうな顔をしていた。

「え?」
「大丈夫だよ、ゼロ。」
「急になに…」

「怖い、よね。不安だよね。」

「…」
「急に環境が変わって、過去も変わって…でも、私達は何があっても仲間だから。」

ナニガアッテモナカマ?

心の中で反芻する言葉に違和感を感じる。
何があっても?
零の心がぐらりと揺れる。
本当に、何があっても?
今までまわりに騙されて、裏切られていたのに・・・?
俺は信じられるのか、その言葉を。
シアの、言葉を。
シアは本心で言ってるのか、その言葉を。
俺を仲間だという言葉を。

シアは零を見つめたまま、語りかける。
「…私達のメンバーは、ただの組織の構成員じゃない。
個人の志のもとに集まったけど、それだけじゃないんだよ?
友達で、仲間で…家族同然と思っていいんだから。」
「家族、同然…。」
言葉をかみ締めるように呟いた零にシアは嬉しそうに返す。
「そう、家族!家族だったら、記憶がなくなっただけでポイしちゃう?」
「…しないん、じゃないかな。」
「うんうん!それに家族なら、人格がちょいっと変わっただけでポイする事もない!
…ねぇ、だから安心してよ、零。」

私達はあなたを見捨てたりしないわ。

さっきまで浮かべていた笑みとは違う、大人びた微笑。
だからこそ零は安心する。
信じていいのだ、彼女を。
可愛くて、優しくて、仲間である…

まるで女神のような彼女を。


ズキッ。


女神というワードに反応するかのように右目が痛む。
身体を折る程の痛みに零は思わずシアにすがりついた。
「・・・っ!」
「ゼロっ?どうかしたの?!」
シアが零の肩を掴み、顔を覗き込んだ。
いつもより速い呼吸の音だけがその場に響く。
だが、右目の痛みは一過性のものらしく、すーっとひいていった。
「ゼロ…?」

「おいおい、こぉんなトコでいちゃついてんなよ、お二人さんよ?」

はっ、とシアと零二人の息が重なる。
いつの間に近づいたのか、入り口のドアには見知らぬ男がよりかかっていた。
これもまた珍しい髪色だな、と零はぼんやりと思う。
狼を彷彿とさせる灰色の髪と黒に近い紫の瞳。
タートルネックのセーターを肩口で切り落としたような服と
工事現場の作業員が着ていそうなズボン。
どっからどう見ても、怪しい。
なんか薄笑いしてるし。
零が警戒心もあらわに声をかけようとした刹那、

「あら〜?もう任務終わっちゃったの?」
「はっ、あんな雑魚任務、この俺がすぐ終わらせられなくてどうする?」
「ふーん、そー、良かったわね。」

明らかにさっきの零に対する態度とは全く違うシアの態度に零は戸惑う。
犬猿の仲、という形容が一番似合う雰囲気。
シアは冷ややかな声でその男に話し続ける。
でも敵ってわけでもないのか。
零はようやく気付く。
もしかして、こいつが・・・。
「あっ!いっけない、ゼロに紹介するの忘れてた!」
可愛らしい声に戻ったシアは零ににっこり笑いかける。
お、戻った戻った。
零が感心していると、シアはその男を不躾に指差し、

「この人も私達のメンバーの一人っ、ゲス=マーティンです!」

「ゲスって何だよ、シアたん。おい、ゼロ、ゲイルだ。ゲイル=マーティン。
 なんだよ、お前記憶なくしてんのか。」
「え、う、うん…。」
「ちょっと、ゲイル!ゼロに話しかけないで、ゲイル菌がうつるから。」
しっしっと払うシア。
ゲイルは相変わらず、にへらと笑っている。

零はさすがに疑問を感じる。
何故そんなに嫌うのか、と。
見たところ、ゲイルにそこまで問題点はなさそうなのに…。

ゲイルはすたすたシアの横まで歩いてきて、爽やかに笑う。
「じゃあ、俺のコトを教えないとな。俺様の事はゲイルって呼べ。
まぁ、少しお前より年上だが、気にすんな。」
「おっさん。」
シアがにこっと毒を吐くが、ゲイルは気にせず話を進める。
「魔法のコトはあとでまた鍛えなおしてやる。あとな、これは言っとく!」

一瞬の事だった。

シアも零もあっけにとられた顔をして固まる。
「俺の『好きなもの』は全世界中の女だ。」
にやっと笑うゲイルの手は…

シアの尻をしっかり握っていた。

ぷるぷる、と噴火直前の山のようにシアの肩が揺れる。
そして、

「こんの大バカゲス野朗〜〜〜〜っ!!!!!」

さっきまでのシアからは想像できない単語が部屋中に響いた後、
シアの一発がゲイルの頭を直撃した。
零はぽんっと手を打ち、呟く。

あぁ、これが問題点か。


「ゼロっ、リビング戻ろ?」
シアは軽やかな足取りで部屋をあとにする。
零はしばし躊躇した後、倒れたゲイルを無視して部屋を出た。

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■尊敬する漫画家様…九条キヨ、鈴木次郎、大暮維人、宮城とおこ(敬称略です)■基本雑食すぎるほど雑食なヲタクですが、今はちょいと自重中;■ニコ動をこよなく愛すニコ厨。たまに投稿してますが、ひどいのでここでは紹介できませぬ…っ。■(抱負)将来漫画だけのでかい本棚を持ちたいですw
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