Una cadena〜連鎖する双つの心〜○第二話○

November 21 [Fri], 2008, 23:16
唐突ですが、リレー小説のメンバーに入れました。
私を含め、4人で繋げていきます。
特に私は小説書きが慣れてなくて迷惑かけそうですが、頑張りますぜ
ちなみに第二走者です♪
中々どうやって繋げようか悩みましたが…
こんな感じになりました。
第一話はこちら↓
http://yaplog.jp/tani-ken/archive/575
第三話はこちら↓
http://graphitet.blog92.fc2.com/blog-entry-15.html#more

ではでは、どうぞ〜!
Una cadena〜連鎖する双つの心〜

第二話〜Despertando〜




佇んでいたのは、すらりとした長身のスーツ姿の男。
黒い髪に深い緑色の瞳、女子が黄色い声をあげそうな容姿。
何の変哲もない人間の筈なのに…
…なんだ、この違和感…。
何でこんなに鳥肌が立つんだ?
零の発言を聞いても黙り続けていた男が無表情に話し始める。
「お前が…アカツカレイだな?」
「……正直に答えると思うか…?」
男の様子に警戒心をあらわにして零は答える。
やっぱりおかしい、この男。
違和感の正体は未だに掴めないが…ただ一つわかるのは
この男が殺意を持っていることだけだ。
男が別段怒った様子もなく、くっくっと喉で笑う。
「そうか、お前か…思ったより、弱そうだな。」
「何の事だ?…ちなみにセールスなら俺んチはお断りだからな…。」
俺の方こそ何を言ってるって話だ。
玄関から勝手に入ってきて、横柄に物を言うセールスマンなんかどこにいる?
冷静になれ、冷静に。
こいつは誰か考えなければ…
「俺の名はタイラ レン。お前を仕事で殺しに来た。」
わお、どんぴしゃ。
なんて冗談言ってる場合じゃない。
「り、理由はなんだよ?」
「仕事で、だといっただろう?アカツカレイ。」
「…誰に頼まれたんだ、そんな事…」
「誰でもいいだろう。どうせお前はここで死ぬ。」
誰かに殺される理由なんて思い浮かばない。
俺がしてきた悪行なんて、自転車を盗んだくらいだ。
…いや、重い罪なのか…?
短い沈黙のあと、タイラは動いた。
思わず身構えるが、男は服を脱ぐだけのようだった。
スーツをするりと脱ぐ。
元々スーツなど身にまとう性格ではなかったのか、どこかぎこちない。
いや、そんな事より。
「…!」
「ふふ、何だ。俺が銃か何かでお前を殺すと思ったのか。」
スーツの下に来ていたシャツを完全に脱ぎ去った男は言う。
鋼の体、とでも言うべきか。
筋肉のついていない場所は見つからないくらい、完全な肉体。
多少鍛えている零と比べても、その差は歴然だった。
零の額に冷や汗が浮かぶ。
こんな男から逃げ出すなんて、無理じゃないのか。
「銃などは結局体が伴っていなければ無意味なものだ。
ならば体のみを強化すれば、戦闘で勝てる。
特にお前みたいな奴なら容易にな。」
タイラはズボンがそのままのちぐはぐな格好をしているが、笑える状況じゃない。
まだ現実味はないが、俺は殺される。
理由もわからず。
まだ若いのに、とか何とか近所の山中さんには言われそうだ。
全くその通り、まだ若いのに。
「死ぬ覚悟はできたか。」
「そんな覚悟いつになってもできねえよ…!」
俺は玄関から居間の窓に向かって駆け出す。
すぐに背後から追いかけてくる気配があった。
構わず、必死で窓に駆け寄り…気付いた。
窓の外は見えなかった。
外側から木の板で頑丈に蓋をしてある。
嘘だろ…!!
「お前が帰ってくると聞いて、準備していた。」
「だれから…聞いた…?」
「…誰でもいいだろう、俺らの仲間はどこにでもいる。」
逃げ場はない。
二階の窓もきっと塞がれているに違いない。
混乱のあまり忘れていた右目の痛みがタイミング悪く再来した。
「…っかはっ…!」
「抵抗は無駄だ。」
タイラは体をかがめ、構えをとる。
逃げなきゃ、逃げなきゃ死んでしまう。

―――そう、あなたの母親のように―――

また、あんたか…。
痛みのあまり、ぼうっとした思考で考える。
俺の…母親…?
何言ってるんだ、俺の母親はこの家に…いるのに……。

―――本当の母親―――

本当の?
その時タイラからピピピッと電子音が鳴った。
タイラが俺を睨んだまま携帯に出る。
「俺だ。ああ、そうだ…ん?何?」
電話の相手に怒鳴る声だけが部屋に響く。
なんか、どうでもよくなってきた。
これから殺されるのも、もう…。

―――あなたはここで死ぬべきではない、ゼロ―――

ゼロ?本当の母親?
よくわからない。よくわからない事だらけだ。
俺の本当の名前がゼロで、母親が他にいるだって?
じゃあ俺の真実はどこにある?
「そんな事、関係ない。俺はもう決めた。今日の獲物はアカツカレイだ。」
ピッと携帯を切ると、タイラはにやっと笑った。
「またせたな。」
「…まって…ねぇよ…。」
タイラはさっと構えをとり直す。
「安心しろ。今日の俺の目標は…一発で華麗に殺す、だ。」
タイラが駆け出す。
まっすぐに俺に向かって。
母さん、今までありがとう。
榊もクラスの皆もありがとな。
俺はここで死ぬ…。

―――あなたの母国を、アンセルド帝国の誇りを思い出して―――

アンセルド帝国。
俺の中に亀裂が入る。
アンセルド帝国。本当の母親。ゼロ。
くるくると視界が回る。
「はがっ、が…ああああああぁぁぁっ!!!」
右目が今までにないくらい痛む。
痛い。熱い。痒い。
何か思い出せそうなのに、3つの言葉が頭の中をめぐる。
「…なんだ、発狂したのか。つまらんな。」
タイラは呟きながらも俺に突き進む。
もう1m手前というところでタイラは立ち止まり、右手を構える。
助走をするかのように右手を平行に引く動作が見える。
痛い。痛い。痛い。
叫び続ける俺に手は迫ってくる。

―――覚醒しなさい、ゼロ―――

途端、視界が真っ赤に、真っ黒に、真っ白に染まった。
「あああああああぁぁぁっ…!!!」
枷が外れたかのように俺は叫び続けた。
轟音が耳を支配する。
タイラの姿も声も確認できない。
やがて。
声が嗄れ、空気の抜けるような音が喉からし始めた頃。
ようやく零は我に返り、部屋を見渡す。
タイラは吹っ飛び、近くの壁に衝突して気絶していた。
俺が、やったのか…?
「はぁっ、はぁっ…なんだ、今の…」

―――まだ完璧ではないけど、及第点をあげるわ―――

「なっ、お前、本当に何なんだよ…!!」
クスクス、と笑い声を残し、声は去っていった。
タイラは目を覚ましそうにない。
零は短い溜息をこぼし、呟く。
「でも、少しだけ思い出した…。」
本当の母さんの事。
俺は日本を憎んでいて、復讐の為にここにいる事。
そして俺の本当の名前はゼロ。
アンセルド帝国の人間だ。



「…ったく、融通の効かない部下つれてきちゃって…。」
茶髪の少年は携帯を耳元にあて、イラついた様に吐き捨てる。
場所は零の通う高校、人通りの少ない廊下。
少ないとは言っても、授業中の為実質誰も通らない。
通話相手は渋い男の声で少年をたしなめる。
「仕方ないだろう、今日時間があったのはアイツくらいだったのだから。」
「はいはい、わかってますとも、九条大佐。
 うちらはいつも人員不足ですからねぇ。」
「口を慎め、仮にも私はお前の上司だぞ。」
「ははっ、気をつけます。
何にしても、あのタイラとかいう馬鹿が手違いで襲撃したのは大きなミスでしたが…
覚醒をリアルタイムで監視できたのはラッキーでしたよね。」
人知れず少年は爽やかに笑む。
腕につけてある時計をちらりと確認し、授業の終了が近いことを知る。
生徒が出てくるのは勿論都合が悪い。
「そうだな、だがこれからは更に厳しく監視を続けろ。」
「了解です。」
「力を…もう一度でも使えば本当に殺さねばならん。」
「…ええ、わかってますって。」
「あと、私は大佐ではなくてだな…」
「はい了解です!じゃ、また!」
ぷちっと通話を一方的に切ると、丁度終了の鐘が鳴った。
キーンコーンカーンコーン。
携帯をポケットにしまいながら、少年は独りごちる。
「きっかけを作ってしまえばすぐにアイツは飛んでっちゃうんですよ、九条さん。
俺らが殺そうとする前に、ね。」
淋しそうに、自嘲気味に笑う少年。
そして軽く頭を左右に降る.。
自分のクラスへ歩き始めると、クラスメイトの女子がかけよってくる。
保健室に行っていたと思い込んでるが故に心配そうな瞳で、
「具合大丈夫なの、榊君?」
「大丈夫大丈夫、回復したから。」
「心配してたんだよ、急に授業中出て行っちゃったから…」
「ごめんな〜。あ、と…次の授業は何だっけか?」
「古典だよ。」
「いっけね、借りてこなきゃ!」
慌てた風にクスクス笑う女子に背中を向ける。
だが、女子は知らない。
くるりと振り向いた榊の顔には焦った表情などなく、
ただただ硬い冷たさが貼り付いていた事を。
  • URL:https://yaplog.jp/rakia/archive/334
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ぷろふぃーる。
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■尊敬する漫画家様…九条キヨ、鈴木次郎、大暮維人、宮城とおこ(敬称略です)■基本雑食すぎるほど雑食なヲタクですが、今はちょいと自重中;■ニコ動をこよなく愛すニコ厨。たまに投稿してますが、ひどいのでここでは紹介できませぬ…っ。■(抱負)将来漫画だけのでかい本棚を持ちたいですw
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