質問の仕方、答え方

2009年04月14日(火) 17時10分
 発表の構築にも一定のやり方があるのと同様に、質問や応答の仕方にだって、それなりの方法があります。もちろん、演習や研究発表をまともに成立させることは、口頭発表に多くを負っていますが、質問や司会にも、かなりのウェイトがあることもまた事実です。

 1)発表が終わってから質問を考えるの?

 たいがいの研究発表は、発表30分・質疑10分とか、25分・5分とかです。学校の授業で、発表も質問もだらだらとやるのは、私は良くないやり方だと思っています。公式の場では、決してそんなことはありません。さて、短い質疑応答時間になってから考えたのでは、質問など出てこないのが当然です。聴衆は、発表中に質問を考えながら耳を傾けましょう。それ以前に、何も質問が出ないのは、わざわざ準備して発表する方に失礼です。もっとも、こんなの、質問もする気にならないよ、というような代物も、ないわけではないのですが……。

 2)明らかに答えられない質問はしない
 そのような質問の第一は、発表内容と無関係の質問であり、さらにその最たるものは、発表と関係のない質問者の意見の表明でしかない質問です。多くの場合、これには他の聴衆もゲンナリしますね。「あの人、ただ発言したかっただけなんじゃないの?」と言われます。時間のムダです。

 3)質問を予期して発表の準備を!
 それに対して、当然、出てくるであろう質問が寄せられても、発表者が答えられないのは、発表者の準備に問題があるとも言えます。時間的物理的制限のある研究発表では、すべてのカードを切ることはできないので、不十分なところは必ずあります。説明不足、省略した情報、発展しうる話題、そのような「要質問箇所」は、発表には必ず存在します。発表者は、発表時の質問の動向を予想して、発表原稿や資料を作りましょう。そのためには、時間的物理的に、やや余裕をもって準備を行うことが大事なのですが。

 4)構想に対する結果を問うこと
 質問と応答のやりとりで重要なのは、「言おうと思っていたこと」と、「現に言われたこと」との間の差異、つまり、その発表が目標としていた内容が、十分に達成されていたかということです。当然、そのような目標も達成も聴衆の受け取り方によって多様ですから、質疑応答は意想外の豊かな展開をはらみます。そこにこそ、このような場のおもしろさが成り立つのです。これに留意して行われるコミュニケーションは、参加者全員にとってメリットとなります。

 まあもちろん、言論は自由ですから、何をどのようにやりとりしたって構わないわけですけれど、勝手な意見の単純なぶつけ合いというのは、往々にして、終わった後に、「今のはいったい何だったんだ?」ということになりがちですね。

自説の主張を中心に(口頭発表の構築2)

2009年04月04日(土) 17時05分
 これもまた、論文でもほぼ同じことなのですが、聴衆が「この人、いったい何が言いたいのだろう?」と思うような発表がけっこうあります。しかし、多くの場合それは不勉強とか準備不足ではなく、全く逆に、資料豊富(あるいは資料過多)で、ついでに発表時間も豊富(時間超過)であることも少なくありません。資料は興味深く、聴衆にとっても価値のあるものです。けれども、やはり、発表者が何が言いたいのかは分かりません。

 「策におぼれる」という言葉がありますが、資料操作や先行研究批判におぼれると、分量的には十二分であっても、肝心の主張がなおざりになってしまうのです。そのような発表には、「よく勉強されているようですが、ご発表のテーマについてはあまり明確ではないようですね」というような質問が寄せられてしまいます。それは確かに、貴重な発表の機会に、手の内にある材料を全部出したいと思い、あるいは、他の見解との対立点を明瞭にしたいと考えるのは人情だとも言えますね。

 でも、しょせん、30分の発表や30枚の論文で、資料も批判も主張もぜんぶ出すというのは、かなり大変なことなのです。もちろん、資料紹介や研究批判がメインの発表ならば、自分の主張がなくても構わないのですが、そうでないとしたら、何よりも自説を中心として、それを質量ともに発表の中心に位置づけるように工夫をするべきでしょう。「量」というのは、多くの時間(字数)をそれに割く、ということです。「質」というのは、言葉をよく選び、文章に意を払い、そして、パフォーマンスもよく考えて、ということですね。あえて他の要素を犠牲にしても、これだけは前面に打ち出したいものです。

 特に、他説への批判は、論旨を明快にするのに効果が高い場合もありますし、何よりも、それによってその論の位置づけを論者自身が意識することは大事なことです。しかし、何事も、やり過ぎて本末転倒となるのはいけませんね。私は若い頃、かなり他説批判を意識して論を立てたことがありますが、この頃では、残された時間内にそんなことをするよりは、自分の言いたいことを言う方が得策だろうと思うようになりました。もちろん、だからといって唯我独尊たれ、と言うのではありません。これについては先行研究への対応に関するエントリをごらんください。

 自説の主張を中心に。当たり前すぎて、がっかりしますか? でも、これはほんとうに大切なことなのです。
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