係争中の主体

2006年03月20日(月) 10時40分
 テクストに対する、十分な水準にある読解は、定量分析によってその正否を決定することができません。そのような複数の読解は、各々がそれなりの正しさを有しています。そのような素朴な意味で、真理は複数的であり、真理はその概念枠に対して相対的です。

(注 「十分な水準」もまた、経験則的に曖昧です。「大」か「犬」かは点一つの差ですが、明確にどちらと決められない場合があります。)

(注 複数的な真理という観念は成り立たないという議論があります。それは真理ではない、という主張です。)

 従って、意味は常に、読解と読解との間の葛藤の場において、見出されると言えます。複数の読解は、その間がほとんど交渉を持たない(共約不可能な)状態か、対立という交渉を持つ(係争中の)状態か、いずれかの関係に置かれます。意味は、共約不可能性、または係争の中にあります。

(注 「共約不可能性」については改めて書きます。)

 読解は、異なる主体間で係争中となりますが、一つの主体内部においても、またその読解の形成過程においても、係争中です。係争中であることが読解と意味の重要な属性をなし、かりそめに読解や意味を固定したとしても、それは次の振動へのプロセスに過ぎません。

 論述の強度は、この係争中の主体のあり方を、どのような様式によって表現するかによって決まります。それは結論の正しさではなく、論述じたいの様式によって評価される軸です。逆にそれは結論の正しさを、相対化する契機ともなります。

 それは、定量分析を受けつけない対象に対する、定量的ではない、むしろ本来的な処方と思われます。
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