「重力ピエロ」(2009・日)

July 07 [Wed], 2010, 20:46
伊坂幸太郎原作の映画「重力ピエロ」を観ました。
映画館でのリバイバル上映です。

未だ残っているオフィシャルサイトを見ると、
この原作も又「映像化不可能」って言われていたんですね。

うむむ、同じ伊坂作品の「アヒルと鴨のコインロッカー」についちゃ
「映像化不可能」のキャッチコピーはすごく納得いくんだけど。
これはどの辺りがそう言われたのだろう?
映画を観た後に軽く原作を立ち読み流し読みしただけでは
判別がつかなかったが。

ちなみに、私は伊坂作品はほとんど読んではおりません。
でもこれだけ短期間にいくつも映像化されているのはすごいですよね。

wikiを見ると、「これも伊坂原作だったの?」ってのがワンサカ。
しかも、いずれもここ数年の邦画話題作ばかりではないか。

「東野圭吾現象!」なんてつい言いたくなりますけど、
小説家としてのキャリアの長さが違うしなあ。
全く関係ないが、
この秋の米澤穂信の「インシテミル」映画化はどうなんだろう。
キャスト陣を見ると、原作通りにならない気もするけど。

さて、前置きが長くなりました。
この映画のあらすじは、ざっとこんな感じ。

「奥野泉水(加瀬亮)は大学院で遺伝子の研究をしている。
 弟の春(岡田将生)は、地味な泉水とは違って
 きれいな顔立ちをしており、かつ行動力もあって
 とある女の子からストーキングされ続けるくらいにモテモテ。
 内心、春への劣等感を持っている泉水なのだった。

 兄弟の父・正志(小日向文世)はしがない公務員だったが、
 美人モデルだった亡き母・梨江子(鈴木京香)を
 射止めた男でもある。
 二人が出会うきっかけとなった遭難事件の時に
 母に深刻な状況をほがらかに解説してみせた父は、
 自らのガンについても陽気に息子達に語るのだった。

 仲の良い家族。
 が、彼らは重い過去を抱えていた。

 二十四年前に仙台市内では三十件近くの連続レイプ事件が起きていた。
 兄弟の母はその事件の被害者であり、
 春はその事件がきっかけで生まれた子供なのである。

 話は現代に戻り。
 仙台では連続放火事件が起こっていた。
 グラフティアートを消す仕事をしている春は、
 常にグラフティアートの近くで放火が起こっている事に気付く。

 グラフティアートに秘められたメッセージを解こうと泉水に持ちかける春。
 しかし、放火事件を追ううちに
 兄弟は二十四年前の事件と向き合うことに……」


ストーリーについちゃ、あの終わらせ方はどーよ??と思う。

そして、あくまで映画の後に本をざっと立ち読みしただけなんですけれど
原作と映画は違う点がいくつかありまして、そこも引っかかる。

兄の一人称が違うのがまず???だし、
殺人シーンも映画みたく炎で華々しくするよりは
校庭でガツンガツン、の方が衝撃的だったと思うし
共通の”癖”の見せ方も原作程度の慎ましやかさで
十分だったと思う。
うーむ、ちゃんと原作を読んだファンの人なら
もっと違和感を感じるところがあったんじゃないかな。

でも、元レイプ犯を演じている渡部篤郎と
父を演じた小日向さんの演技が実に良かった!ので
その点は映像化を評価してしまうのです。
なんと言っても渡部篤郎!
上手いですよね。上手いとしか言いようがない。

あの役の人物の、本人の中でだけ成り立っている論理。
言ってる本人は大真面目で純粋にその論理を信じ込んでいるのが
こちらに伝わってきた時の、ぞわっと来るイヤ〜な感じ。

そりゃ、話がどこまでも平行線だと悟った加瀬亮が
涙目になってもしょうがない。
弟が兄の前で渡部篤郎と同じジンジャーエールを頼むシーンで、
私も何とも言えない重苦しい気分になりました。

しっかし、「アヒルと鴨」の時といい
伊坂幸太郎原作の「悪人」は毎回エグイなあ。
「アヒルと鴨」のペット殺し達もエグかった。精神的に。
あれは原作の方がよりイヤ〜な感じだったんですが、
この話でもそうなのかな。

小日向さんは、この父親役が無理なくはまっていた、という意味で
すごかったです。

これに出て来る兄弟の父親って、
演じることができる人ってなかなかいないと思うんですよ。
適度に力が抜けていて、でも内に強さも持っている人でないと無理。

そういう意味で、小日向さんは実に適任だった。
ヅラ被って、若き日の父を演じている姿も
比較的違和感なく見られましたし。

髪の毛が多いと小日向さんてば堺雅人に少し似てる??と思ったけど、
それ言ったらどっちのファンにより殴られるんだろう。うーむ。

若き日の小日向さんが、ベビーカーを支えながら
天の声を聞くシーンの表情がいいです。
「俺たちは最強の家族だ」ってシーンもいいです。
いいなあ、小日向さん。

兄が遺伝子研究に関わっているということで、
「人を作るのは遺伝か環境か?」なんて話も出てくるけれど、
映画の中では余計な要素っぽい雰囲気になっちゃってましたね。
そしてグラフティアートの謎解きが提示されても
「だから何?」とつい思っちゃったのだけれども、
原作ではその辺りがこなれて表現されているものなんだろうか。

まあ、役者さんを楽しむという意味ではこの映画はいいです。

映画のストーリーとしては。
悪くはないけれど、どうせなら
もっと「最強の家族」の絆が見たかった気もします。
  • URL:https://yaplog.jp/plum56/archive/1049
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遺伝か、環境か? 劇中でも語られていたように、ある人の人間性を形成するのは、遺伝
はらやんの映画徒然草  April 28 [Sun], 2013, 19:51
Comment
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<間諜X72さん
あれ、そんなシーンありましたっけ?
さすがに4年以上前に観た映画だと
残念ながら詳しい内容は覚えてないですねえ。
February 12 [Thu], 2015, 7:41
間諜X72
奥野泉水(加瀬亮)がまだ幼い頃、母親がああ言う目に遭う。
泣き続ける泉水。何とも残酷な場面でした。
兄弟が大きくなってから犯人を殺害する。
そして病に蝕まれた父・正志(小日向文世)が息子二人に「お前たちだろ?」と言う場面。
ちょっと笑顔だけど、怖い表情。小日向さん。素晴らしい演技でした!
February 11 [Wed], 2015, 21:05
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