「喜劇王」(1999・香港)

May 08 [Sat], 2010, 21:00
チャウ・シンチー監督・主演映画「喜劇王」
(原題:喜劇之王 King of Comedy)を観ました。

この映画でヒロインに抜擢されたセシリア・チャンの映画デビュー作にして
ブレイクのきっかけとなった一本です。

この映画ではセシリアは可愛い顔ながら
持ち前のダミ声でギャイギャイ喋るホステスを演じてますが、
そのギャップを最大限に使う辺り、さすがシンチー、判ってらっしゃる。
それでいて彼女の可愛らしさを十分に引き出している辺りも
よく判ってらっしゃる(笑)

ただ、タイトルからイメージされるような爆笑コメディではないんだよね〜。
コメディ要素ありのほろ苦青春恋愛映画なのでした。
ちょっとその辺りは肩すかしを食らった感あり。

ストーリーはこんな感じです。

「俳優志望のワン(周星馳/チャウ・シンチー)は
 人気女優キュンイー(莫文蔚/カレン・モク)が出演する
 映画の撮影現場に通う。

 が、単なるエキストラ起用でも演技理論にこだわる彼は
 ヘマをしてキュンイーの機嫌を損ね、役をもらえなくなってしまうのだった。

 一方、”女子高生初恋の夜”のホステス、
 ピウピウ(張柏芝/セシリア・チャン)は
 セーラー服こそ着ているものの、
 店の売りの”女子高生”らしさがカケラもない。
 店のママに仲間ともども、無料演劇講師という触れ込みの
 ワンのところへ演技の勉強に行かされるのだった。

 完全にワンの事をバカにしていたピウピウだが、
 彼の言うとおりにしてみたところ見事売れっ子ホステスに。
 少しずつ惹かれ合うワンとピウピウ。

 そんな時、ワンは役者根性がついにキュンイーに認められ
 映画の主役に抜擢される。
 このまま成功への道が開けたように思えたのだが……」
冒頭、教会の中で激しいワイヤーアクションを繰り広げる
カレン・モクが映し出されます。

ステンドグラスから光が注ぐ中、黒いコートの裾をひらひらさせて
大立ち回りのカレン・モク。
囲まれても大勢の敵をなぎ倒し、
最後に残った敵と互いに銃を突きつけ合うメキシカン・スタンドオフ!

「こ、これは??」

そして、最後にダメ押しで白い鳩(笑)
どう見たってジョン・ウー映画のパロディだよ、こりゃ。
(※「男たちの挽歌」のパロディだそうです)
カレン姐さんは相変わらずかっこいい女です。

で、シンチーはと言えば
役者を夢見つつも、その実体は福祉公民館の管理人。

日々の生活ではホステスや街のチンピラに演技指導、
映画の撮影現場にしつこく通うも不採用で弁当すらもらえない、
それならと自分でブルース・リーも演じた「雷雨」の舞台を企画するが
共演者はやる気がないしそもそも客が来ない。

そんなトホホで貧乏な生活をしつつも、夢は揺らがずに
憧れの映画スターのポスターを壁に貼りまくった部屋の
狭いベッドで眠る毎日。

……なんか、このシンチー演じるワンの境遇が
リアル過ぎて笑うに笑えないんだよね〜。
売れない役者、売れないバンドとして実際に周りにいそうだから。

これで頑固者の父親が同居していたら
「役者なんて辞めちまえ!」と毎日怒鳴り合いになるよなあ。
この映画ではワンは一人暮らしだけど。

そんな彼が出会うホステス、ピウピウを演じるセシリアも悲惨です。
今やスレまくったホステスとなった彼女ですが、
この道に入ったきっかけは初恋の男にだまされたから。
先に希望なんて全く持っていない日々。

ワンに惹かれ、「養うよ!」と言われてもその場で頷けず
帰りのタクシーの中で号泣。
「恋をしたからホステスを辞める」といい、
その後に客に殴られまくる彼女がまた悲惨……。

で、カレン・モクがまた良い味を出してました。

彼女もワンに惹かれるものがあり彼の大抜擢を決めたんだけど、
その後でピウピウの存在に気付く。
で、多分それが原因で大抜擢をあっさり取り消し。

でも彼女の顔には隠せない疚しさがにじみ出ているのでした。
上手い、上手いよカレン姐さん。

ちゃんと笑える場面もあるんです。

ブルース・リーになりきりで
シンチーが「ドラゴン 怒りの鉄拳」舞台劇を演じるシーンとか、
大学出のチンピラ君(いかにも弱そう)が
シンチーの手助け付きでショバ代の取り立てに行って
ヤクザにボコられるシーンとか。
何故か裸の子供がうろうろするとか。

が、ギャグがあってもそれだけではカバーしきれない
シンチーの青春の悲惨さ。
この映画のワンはシンチー得意の
嫌味で口の上手さでガンガン世渡りしていくしぶといキャラクターでなく、
辛い状況に直面しても耐えて曖昧な笑みを浮かべる男。
その辺りもリアルなのよね……。

あとは、終盤で唐突にン・マンタの潜入捜査の話が入るので
シンチーもこの映画を作るにあたって
途中で何度か方向性がぶれちゃったのかな?って感じ。

「ヒロインが主人公と出会う事で本来の美しさを取り戻す」っていう
他のシンチー映画でも出てくるモチーフは
しっかり表現されているんですけどね。
(例:「少林サッカー」「食神」

それもあって、余計セシリアの可愛さが際立つのかなあ。
まあ、元々セシリアは可愛いんだけど。
ついでに、自分が演技指導をつけたセシリアの仕草に
キュンキュン来ちゃってるシンチーが可愛い(笑)

ん〜、方向性を筋の通ったものにしていたら
大傑作になったんだろうなあと思わせる一本です。
その辺りが惜しい。
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