プロローグ

November 30 [Sun], 2008, 13:10
今になっても、少なくとも3日に1度は考える。

“きっとあれは、いつか叶う恋だった“ と。

振り返るとまぶしすぎて眼を細めたくなるような青春の思い出とやらがあるという。

だけどこれは、そうではない。

だからいっそう簡単に心に舞い戻ってきては、じっと見つめなおす機会ばかり与えてくるのだ。

過去を振り返ることしか知らない僕に、ゆっくりと差し伸べられるハズの暖かな手は、もう無い。



その気持ちを「恋」と形容し始めたのは、あの人たちが消えてから。

甘えていたとか、強がっていたとか、寂しかっただけだとか・・・

そんな風に自分を正当化させられたのは最初のうちだけ。

意思とは裏腹に。ではなく、全くもって意思だけで、僕はあの日々を過ごしていたから。

言葉にするのは簡単だったし、本音を告げることも難しくはなかった。

あえてそれをしなかったのは、あの日々がいつまでも続くものだと思っていた所為。

いつまでも手の届くところに欲しいものが転がって散らばっていると信じていた所為。



そうやって、またいつものくだらない後悔を並べ立ててはあの人たちの残像に重ねて遊んでいた。

時間があればいつもそうだ。今日もそうだ。きっと明日からも。

そのはずだった。





久しぶりに。といってもたった1週間ぶりに足を運んでみた花屋の窓辺に、

ズドンとした銀のバケツが無造作に並ぶ。

そのひとつに真新しいカスミソウの束を見つけたとき、

“いつものくだらない後悔“は命を吹き込まれたように、僕の中でくるりくるりと漂い始めた。


・・・生まれたくるりくるりは、そのうちユックリとぐるりぐるりになり、さらには巨大な渦巻きとなって、

僕の中でどころか、僕自身をも飲み込んでしまいそうなほど育って行く。

この渦巻きは大切なものを失ったときの悲しみとよく似ているような気がしたけれど、

何故だか絶望に飲み込まれてしまわなかったのは、ずーーーっと先に僅かな「望み」が見え隠れしていたからだったろう。



踵を返すわけでもなく、その場にへたり込むわけでもなく、

傍から見れば僕は全く冷静に、懐かしい方角へと歩き出していた。

もう何年間も足が向かなかった、その方向へ・・・・・・

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