君の夢僕の思考 森博嗣

October 10 [Wed], 2007, 20:32
君の夢 僕の思考―You will dream while I think (PHP文庫)
君の夢 僕の思考―You will dream while I think (PHP文庫)森 博嗣

PHP研究所 2005-06
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おすすめ平均 star
star淡々とした写真と語り口;でも少し緊張感がほぐれます
star名台詞に森氏が撮った写真とショート・メッセージを添えた作品
starそして、犬がかわいい。

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出版社/著者からの内容紹介 人を嫌いになる人は優しい……写真と文章で綴る、切なく、そして心を揺り動かすメッセージブック。気づいていながら拾えなかった心の破片。
『すべてがFになる』から最新刊『朽ちる散る落ちる』までベストセラーを出し続ける森博嗣。巧みなプロットと言葉を自在に操る言い回し、そしてその深みのあるロマンチックでありながら哲学的な表現に酔いしれる数多くの読者。
本書では、著者撮影の写真と今までの著作から印象に残る言葉をピックアップし、その言葉に対してオリジナルメッセージを添える森著作においても初めての試みの本である。
夢、優しさ、大人、弱さと自由、孤独、愛、生と死、キス、自分……。気づいていながら拾えなかった心の破片が、心の琴線に突き刺さる。そのメッセージは、「人間は自分の生き様を見せること以外に、他人に教えることなど、何もないのだ」「わからない、なんて叫ぶのは人間だけ。これほど知的な鳴き声は他にない」など、森氏の思考、視点が伺える一冊である。人生に気づき、本当の視線を取り戻させてくれるメッセージブック。



何度も著者自身も書いているけど、森博嗣作品は小説よりエッセイのほうが重要なのかもしれない。とくに初期の日記シリーズ『すべてがEになる』などは今よりも若く、先鋭的で攻撃的な文章が読める。今もブログは書かれているが当時の方が明らかに過激で批判的なことが大胆に書かれていた、と思う。


『君の夢僕の思考』は森さんの著作から選りすぐりのアフォリズムを集めたフォトブック。役に立たないものこそ美しいと思うけれど、一方で文学は実践的に自分の血肉となり役に立つものであると思う。「使える」価値があるかどうか。どう使うかはご自由に。そういうものが好きだ。よってこの本はポエティックで非常に美しい本であると同時に、実用的な本でもある。

「先生、現実って何でしょう?」
 「現実とは何か、と考える瞬間にだけ人間の思考に現れる幻想だ。」
(すべてはFになるP.357)



これはノベルスの表紙のコピーでもある、犀川と萌絵の会話である。このコピーにやられたと、西尾維新は森さんとの対談の中で語っている。私もこういうくらっと来る言葉には弱い。


「先生は女性が社会に出て仕事をすることを、どう思われますか?」
 「どうも思わないね。そもそも、男女平等と職業とは無関係だ。つまり、男と対等になるために、仕事をするためにナンセンスだと思う。それでは仕事をしているものが偉いという、馬鹿な男が考えた言い訳を認めることになる。いいかい、仕事をしていても、遊んでいても、人間は平等だ。問題をすり替えてはいけない。」
(詩的私的ジャック P.72)

 
圧倒的に正しい。「社会に出ても、家庭の主婦でも、人間の偉さは同じ」という言葉も思い出した。問題のすり替えに気づくには固定観念から自由になり多面的に物事を捉えることが必要だ。


詩集の余白が目にしみる、というけれど、心がなにかぴたりとはまる言葉を探しているときにはこういう余白のある本が必要だと思う。余白が心を埋めてくれる。こういった326とか相田みつを的な自己啓発的なメッセージブックって感傷的過ぎて嫌いなんだけど、やっぱりどこかで必要とされているものだなと感じる。自分の今の気持を当てはめる言葉なんてないのかもしれない、だけどそうすることでみんな安心したいんだ、きっと。軽い言葉でも、重い言葉でも。
  • URL:https://yaplog.jp/peco0102/archive/91
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August 18 [Mon], 2014, 8:52