ウデマクラ

July 09 [Sat], 2016, 16:22


ここ最近のブログでは

・将来のために種をまき散らしておく。
・強みは、お喋りと筆まめ。

ってなことを事あるごとに言い続けてましたが、今日から伏線の回収です!


タイトルにもある「ウデマクラ」というのは、10年前くらいに僕が書いた超短編小説。
当時組んでいた「路地ロジック」というバンドのベース、イッチーが結婚するにあたって、おふたりを題材にしたショートショートを書いたんですよ。

20代前半はバンドをしたりしながら物書きとかエッセイストみたいなのに憧れていたので、ちまちまとよく文章を書いてました。
当時はまだブログってなくって、BBSみたいなやつとかなんだけど。

あと、自主製作のフリーペーパーとか小冊子・豆本とかも流行っててね。
それを模して作ったのがこの小説。

こないだパソコンのファイルを整理してたら出てきたので、いつかのタイミングでリリースしてみようかと思ってまして。

それが、「いつやるの?」…、「今でしょ!!」ってことで今日。
なぜ今なのか自分でもわかってませんが、まぁ雨で店がヒマだったということやろね、たぶん。

最近は駄文ばっかりでフィクションは書いてませんが、またこういうのやりたいな。
もしどなたか、おもしろい企画とかアイデアあれば教えてください〜
ぜひぜひ、やりますので!!

ここに蒔いた種がいつか実になるといいんだけど!


喫茶やりながら畑を行き来し、コーヒー豆を焙煎した後にフライヤーをデザインし、工房取材とインタビューを記事にしながら夜な夜な小説を書く。
蒔いた種が全部実ったら、刈り取れるんか心配になります(笑)


それでは、全5編、お楽しみください☆
(なるべく毎日更新します!)

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「ウデマクラ」   上芝英司(2006.1-)


1:街の匂い

彼女は知らない街を歩くのが好きだ。
情報誌もガイドブックも持たずに、暇を見つけては僕を連れて歩きまくる。
たとえ見慣れた街でさえ、彼女に付いて歩いていくと、いつの間にか不慣れな風景に変わっている。

そして、彼女の勘は狙いを外さない。彼女のつま先が行く末にはいつも思い通りの場所がある。
ビルの2階の小さなカフェ、民家を改造した家具・古道具屋、駅の裏手の雑貨屋、ブランコのある公園。

そこには僕が知らなかった(おそらく彼女も知らなかった)風景が「お待ちしておりました。」と言わんばかりに出迎えてくれる。

昔、彼女に聞いたことがある。
「なぜ君が歩いていく方には素敵なお店やレストランがあるのかな?」
 
彼女は唇に指を当てて、少し考えてからこう言った。
「なんとなくね、匂いみたいなものがあるのよ。アニメみたいに色が付いていて、それを頼りに歩くの。」
「ふうん。きっと君にしか見えないんだろうな。僕にはそんなの、見えたことがないよ。」
 
だから今日も、彼女に付いて歩く。彼女の歩みを止める材料を僕はいつだって持ち合わせていなかった。
「ちょっと考え方を変えるだけでね、すぐに見えるようになるわよ。」と彼女は言うけれど。
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