「1円ライター」から抜け出すためのはじめの一歩

December 11 [Sun], 2016, 3:15
 『マガジン航』の記事が話題になっていたので、その感想をざざっと記しておきたい。

 1円ライターから見た、キュレーションサイト「炎上」の現場 (マガジン航[kɔː])

 私はもともとこのブログを目に留めてくれた編集者さんにお仕事を頂いた2006年からライターというお仕事をはじめている。それまでは「書く」ということで食べるということは思いもよらなかった。だが、2010年に広告企画会社を解雇になって、転職活動に失敗し、結果としてライターや編集のお仕事が本業になってしまったという裏街道を歩んでいる。だから、「とにかくライターになりたい」という気持ちでクラウドソーシングサービスでの案件に手を出して、結果的に今回のDeNAや各社のキュレーションメディアでの騒動に巻き込まれたひとたちのことは他人事と切って捨てるのは躊躇われる。

 だが、残念ながらこの「1円ライター」の記事を書いたひとが、他のメディアで通用するかと言われると、しないと思わざるを得ない。
 理由は2つ。まずは「私たちが1円の仕事を辞退すれば、高級ライターが仕事を回してくれるわけではありません」というくだりから、ライティングのお仕事が回ってくる「仕組み」に対して知識が浅いことが見て取れること。もうひとつは、クラウド会議室のことを「優しさが満ちています」と記していることだ。

 そういえば、今年の春先にこんな記事を書いた。

 1件「300円」の世界から抜け出せない?ライティング仕事の罠(Suzie)

 ここでは、クラウドソーシングサービスで募集されているライティングと、それ以外のライテイングでは「世界が違う」と指摘した。DeNAの各キュレーションメディアではSEOに関するマニュアルの存在が明るみになっている。その多くのケースでは内容自体が問われない。しかし、ネットメディア・紙媒体問わず、求められるのはその記事が読む人にとって「面白いか」「役立つか」ということで、「1円ライター」を続けていても各媒体によって書く上での約束事に合わせるスキルが磨かれない、と指摘した。私を含めて、これらのサイトで書いていたライターに発注をしたいと考える編集者が少数派だという所以でもある。

 また、ネットメディアで活躍する上でライターに必要なのは「筆力」ではない。むしろ要るのは、各媒体に合わせた「文体」を書ける柔軟性と、専門的なことを「ググる」力だ。これも以前にエントリーにした。

 ライターになるために必要なたった1つの資質

 だから、もしライターとしてのキャリアアップを図りたいと考えているのならば、「居心地の良い」クラウド会議室から早々に立ち去ること、これが「1円ライター」から抜け出すためのはじめの一歩になると思う。同じレベルのひとが集まる場所にいてもスキルアップに繋がらず、ただ馴れ合うだけで時間を消費している場合ではないからだ。
 そして、ネットメディアやニュースサイトの編集・ライターの募集に応募することにチャレンジしてみて欲しい。東京から離れた遠隔地でも、最近のメディアはメールやSkype、ChatWorkなどで編集・運営を行っているところも多いので、「書ける」ライターならばさほどハンデにはならない。自分の得意なジャンルがあるならば、それに見合ったメディアの「ライター募集」のページからメールを送ってみてもらいたい。
 
 とはいえ、「高級ライター」を目指す道を進むことは、あまりおすすめできない。まずメディアに関わる上で踏まえておくべき知識が広範に渡ること(これはこちらで書いた)。その上で努力が実を結ばないことが往々としてあるということ(PVを稼ぐということ=多くの人に読まれるということがどれだけ大変か!)。それでも自分の出した記事が情報環境に質していると何があっても信じられること。これらの資質がないと、この業界で生き残っていくのは難しい。
 つまるところ、「ライターとして生きていきたい」という願望ではなく、「この仕事でしか生きていけない」という覚悟が必要だ。それがないひとは、この世界ではやっていけない。

 あまり暗い話ばかりするのもアレなので、希望めいた話も。各メディアで活躍しているプレスラボの小川たまか女史は、メルマガのライティングからこの業界に入ったという。2004〜2006年当時、メルマガのライティングはとんでもなく安価だった。他にも、クラウドソーシングサービスでのライターから、勉強会に参加して知己を得て、大手紙のライターとして活躍している知り合いもいる。彼女たちに共通するのは、外へ出て良い編集者やメディア関係者と出会うところから、現在の活躍につながっているというところだ。
 だから、私は「クラウド会議室から出る」ということが現状を打破する一歩なのだと思う。もしその会議室にいるひとを救いたいと願うのならば、そのひとたちに「仕事を振れる」立場にまで成り上がってほしい。私も偉そうなことを書いていないでそうなれるようにもっと研鑽を積みたいと思っている。

  • URL:https://yaplog.jp/parsleymood/archive/1244
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