ライターになるために必要なたった1つの資質

December 09 [Sun], 2012, 10:00
 なんかイケダハヤト氏のエントリーが話題になっているようだったので。

 未経験からフリーランスライターになる方法(ihayato.news)

 もう既にHagex氏が指摘しているように(参照)、このエントリーは実態からは大きくかけ離れている上に多くのひとに「ライターってこうやってなれるんだ!」とミスリードしている可能性が高い。

 Parsleyがライターをするきっかけになったのは、2004年にブログを開設して好きなことをエントリーに記しているうちに、いろいろな方と知り合いになれる機会があり、たまたまメディアウオッチの記事が注目されて、『メディア・イノベーションの衝撃』という本にコラムを寄稿させて頂いたこと。その後もさまざまな縁があって、いろいろなジャンルで記事や媒体からお話しを頂くことが出来るようになった。(Parsleyのお仕事に関してはこちらをご参照のこと)
 それで現在、複数のネット媒体を中心にひと月あたり60〜70本の記事を書くことが主な収入源となっている。月収は、案件によって前後するけれど平均すると約20万円ほどです。
 そんなこんなで。たぶん「ライターになるため」のTIPSについては、イケダ氏よりも知っているという自負があったりします。

 ■「フリーランスライター」のお仕事の実態

 ひとくちに「フリーランスライター」といっても、どんな媒体やテーマでお仕事をするかにより内容も違ってくるし、その難易度も変わってくる。
 今、一番ライターになるのに敷居が低いと思われるのが、iPhoneやAndroidのアプリレビュー。特に後者は媒体が多い上に日々新しいアプリがリリースされるので、どこも恒常的にライターを募集している。Parsleyも『andronavi』『TABLOID』でお仕事させて頂いています。
 もっというならば、通信会社やアプリ開発会社、端末メーカーなど、さまざまな会社が関わっている産業で、成長とイノベーションが日々進んでいる数少ない業界だから、お金が回っている。だから案件が多い。そんなわけでアプリレビューやスマホ端末の使い方などのブログで書いているようなひとならば、比較的ハードルは低くライターになれるはず。
 一方、イケダ氏がフィールドとされているウェブサービス情報はニッチコンテンツ。業界関係者や暇なウォッチャーしか市場がない。市場規模に対してプレイヤーが多いので、当然参入障壁も高くなっている。
 さらに、イケダ氏が想定されているであろうオピニオン系やライフハック的な記事は、それなりに名前が知られているひとでないと発注されないか、もしくはnanapiのように極端に原稿料が安い、または寄稿は出来るけれどお金は貰えないというサイトばかりなので、「ライター」といってもほとんど稼げない、というケースにもなり得る。そんなわけで、そこを目指すのはあんまりおすすめしません。
 さらに、インタビューとなるとさらに案件が少なくなる。これでも私は政治家から一般人までインタビュー記事を書いたことがあるけれど、会って話を聞く時間とそれをまとめる時間と比較して、記事一本あたりのお値段が見あってないことの方が多い。コスパが悪いので、私のようによっぽど好きというひとでない限りはやめておいた方がいいでしょう。
 ちなみに、インタビューの際に録音もせずテープ起こしもしない、という仕事術を梅木雄平氏が記事にしていたけれど(参照)、紙媒体や硬めのウェブ媒体では編集者が記事の前に起こしの提出を求める場合もあるので、お仕事によっては必要になることもあるということを指摘しておきたい。

 ■ライターになるのに文章力や専門知識は必要ない

 月に数十本もの記事を書くために、語彙が豊かであったり文章力があったりする必要はまったくなく、むしろそれが邪魔に働くケースさえある。難しい単語や横文字をむやみに駆使すると、その言葉を知らない読者にとっては何が書いているのか伝わらないし、伝わらないと意味がないので。
 必要なのは、書く媒体のテンプレに沿った記事が書けるか、ということ。例えばニュース記事ならば、最初の段落で要約をまとめ、次の段落で事実関係を列記、さらに事実を補強する情報を列記し、最後の段落で今後の展開に触れて締めるというのが、一般的な形になっている。ここで書く際、筆者の主観は可能な限り排除するべきなので、「思う」とか「感じる」とかで文章を終えるのはNG。そういった細かいお作法に沿う必要がある。
 一方で、ウェブ媒体ならば、ユーザーの共感を得るためにわざとユルい表現を使ったり、2ちゃん用語やネットスラングを織り交ぜたりしつつ書くことが求められたりする場合がある。
 また個人的に政治ネタからカルチャー情報まで、様々なジャンルで書いた経験からすると、専門的な知識はあるに越したことはないけれど、それが必須ということはない。むしろ必要なのは「ググる」能力だと断言できる。ネタになる情報をネット上で拾ってこれるテクニックを身につける方が、時間をかけて専門知識を勉強して蓄えるよりもよほどライターとして生きていくにあたって重要になってくる。そうしないと、幅広い案件を手がけることができないので。
 だから、文書力をつけるための努力というのは自己満足に過ぎません。ブログを書いて勉強するなんてとんでもない。むしろ「自分らしい文章」というものにヘンなこだわりを持ってしまう危険性の方が高いように感じるなー。
 同じように、お仕事のために専門知識を勉強する、というのもおすすめできない。そのジャンルが好きで教養として身につける、というなら有益だと個人的には思うけれど、得た専門知識は既にネット上にいくらでも転がっているケースの方が圧倒的なので、「ググる」力のあるひとが60〜90分くらいで調べたものと大して変わらなかったりすることがほとんど。それに、ひとつのテーマだけでライターとしてやっていけるのは各ジャンルで5名もいないので、既に席が埋まっているところに参入しようというのは蛮勇というものだ。

 ■ライターになるために必要なのは「好奇心」

 私は特に特筆すべき学歴も経歴もないし、専門分野もない。特に文章が上手なわけでも、コミュニケーション能力が高いわけでもない。それでも曲りなりにライターとして生きていけているのは、社会や文化全体に関心があるということ。ひとよりも少しだけ、好奇心が強かった。これだけなんじゃないかなぁと思うことがよくある。
 それで、さまざまなジャンルの案件を手がけて、クライアントや媒体、そして読者を満足させるだけのクオリティのある記事を書くのは、取材対象やコンテンツに対する興味関心がないと出来ない。
 多くのライター志望のひとに感じるのは、自分の考えや好きなジャンルについて書いてお仕事を貰うことにより、お金と承認欲求を得たいという動機が先走っているな、ということ。まぁ、好きなことならばブログで自分で書けばいいし、AmazonやGoogleのアフィリエイトで稼げるように頑張ればいいじゃんと思うわけなんですが。「ライター」という肩書きが欲しいならば自分の得意分野だけに特化していては務まらない。遊びではないのだから、いかに自分が出した記事によってできるだけ多くのひとを満たすことが出来るのか、という技術を磨くことが求められるのね。
 たぶん、イケダ氏のエントリーは承認欲求充足願望が強いライター志望のひとには耳障りよく聞こえるのだろうけれど、現実のところお仕事として成り立たせたいのならば、ジャンルとか選んでられない。お仕事を選べるようになるまでにはそれなりに時間がかかるはず。それまでの間に折れてしまう可能性が高いし、現にそういう方をたくさん見てきた。
 だから、世の中全般に興味がある、というひとならば「ライター」というお仕事はさまざまなひとに会えたりいろいろな所に行ったり本や映画などが観れたりするので収入はそれほどでなくてもきっと楽しくお仕事出来るだろう。でも、「これくだらない」と切って捨ててしまうような方の場合、はっきり言って向いていないし稼ぐことも出来ないので目指すのをやめた方が無難です。

 そんなこんなで。ここまで拙文を拝読頂いてそれでも「ライター」になりたい、という方がいらっしゃるのならば。ここでは書けないようなTIPSについてもおはなし出来ると思うので、私宛までメールするなりコーヒーミーティングでアポを頂ければお力になれるかもしれません。需要があるならば、「ほんとうのウェブライターの道」みたいな講座やってもいいけれどな。ないだろうな〜。
  • URL:https://yaplog.jp/parsleymood/archive/1121
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私もブログのおかげでライターの仕事をもらえるようになりました。まだまだこれからですが。それにしてもとても参考になる記事でした! やっぱり文章も分かりやすくて素晴らしいです。ありがとうございました。
April 22 [Fri], 2016, 0:31
Name
耳障りよくって何語ですか
May 03 [Sat], 2014, 7:19
くろだ
ライターになるのに文章力が必要ない??何言ってんだ、アンタは。そんなこと言ってるから、訳のわからない長文になってんだよ。あなたは、「ライター」って名乗ってはいけない人種だ。ネットだと、そんなあなたにも、情報が発信できてしまうから、困るんだよ。
April 25 [Thu], 2013, 15:38

profile
Name:Parsley
Birthday:1976/4/8
Point:首が長い。つまりエロい
Favorite:エイガにケイバ
タバコ:Davidoff GOLD
ウィスキー:アーリータイムズ
おしごと募集!!
カワサキシティーで布団と同化中
コメントは返したり返さなかったりです。
parsleymood@gmail.com
さらに詳しいことはこちら

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