バイロイトのオランダ人

December 29 [Wed], 2004, 2:37
トリッキーな装置。装置は全編を通して一杯(ひとつ)だけです。ホテルの一室みたいなところですね。よく観ると、センターで分けて鏡対称になっている部屋だとわかります。この写真でわかるかな?上部はさかさまの世界なのです。椅子がひとつ。

これは冒頭の船乗りたちの場面。まるで妄想の中のドラマ仕立てです。たとえば、ゼンタは3人も出てきます。子供ゼンタ、大人ゼンタ、おばあさんゼンタ(ばあや役のマリーがゼンタとなる)と。

そしてダーラントは2人出てきます。ダーラントと、オランダ人。3つ目の写真は、ダーラントとオランダ人が出会った場面。まるで双子。ダーラントは夢なのか現実なのかわからなくなり、混乱してしまいます。
これは幽霊の合唱の場面。女声合唱はメイドさんの格好でダンスも踊ります。男性のダンスもよく稽古されていて、見ていてとても楽しい。

決定的なのは、最近よくある演出だそうですが、ラストでゼンタは救済できない(!)こと。これは観ていてやはりかなりショックです。ゼンタは救済しようと、この上部のドアに飛び込むのですが、ドアは「開かない(!)」。救済モチーフが鳴り響く場面で、ゼンタは絶望し崩れ落ちます。なかなか異化効果としては絶妙。

この演出は、意見が分かれるところでしょうね。やっぱり意味不明だし。私は、楽しめました。
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miharu
あぁ、なんだか演出の弱い点ばかり書いちゃってまずいかしら・・。
ただ、現代のオペラ演出の混沌状態は事実ですからね。私も大きな課題です。私の場合は、オーソドックス演出、現代演出、にしろ、演出の場合は必ずしも正統性が最重要視されない、と考えています。orthodoxとはもともと正統という意味ですが、オーソドックス演出と巷で言われているものは必ずしも正統ではないのが実情です。

オペラ演出というのは、これまでほとんど歌手やスタッフによって「適当に」作ってこられ、ないがしろにされてきた長い歴史があります。最初のオペラ演出家はワーグナーと言われています。そのワーグナーも稽古では迷いまくっていた。(演出家とは迷える生きものか・・)それでアシスタントが適当に彼をなだめてつけていた。それではなにが正統か、判断しがたいものも実際多いのです。原作に忠実、というのがわからない作品も。かといって現在の演出状況を全肯定はできないです、もちろん。今後のオペラ制作で大事なことは、優秀なドラマトゥルグ(時代考証、作品研究をする担当)の存在にかかっている、と私は思っています。演出家ももっともっと勉強しなきゃですね、ハイ。

私は、古楽器、モダン楽器へのアプローチと通じるものも多い、と私は思っています。たとえモダン楽器で大編成でフィガロの結婚序曲やシューベルトを演奏してもいい演奏はいい演奏ですし、古楽器で演奏したところでいい演奏とは限りません。演出もそんなもので、単純に<いいものはいい、面白くないものは面白くない>という気でいつも見ています。
January 02 [Sun], 2005, 10:15
miharu
オランダ人のラストの救済については、以前考えてみたことがあるのですが、難しいです。(前にオランダ人の演出依頼があったのですが、しかし現在の自分には無理な作品ということで残念ながらお断りしたことがあります。)ええと、それで続きですが、誤解を招く言い方になるかもしれませんが、救済されない、という解釈は演出家としてはもしかして楽なのでは、と思います。むしろこの短い音楽の中で救済されてしまうことに説明つけるのが難しい気がします。まず、ワーグナーのテクスト、舞台設定、装置指定には「実現不可能」なことが書かれているわけで、ワーグナーの語っていることは夢みたいなことです。映画ならいいけど、オペラ舞台としては。そんなわけで指環やオランダ人、パルジファルのラストなどはいろんな形で試行錯誤され続けてきています。私はオランダ人はよく知りませんが、指環のラストは本当にさまざまで、多くの演出家が「お手上げ」状態なんじゃないでしょうか。ト書きに書いてあることを実現させる(mise en scene)できないのですね。水とか火とか色々出てきますし・・・。グラーツでの演出は、「もうなにも言うことはない!」というワーグナーの言葉を幕に投影。これはある種演出家の逃げです。METやウィーンの演出ではもはや照明だけでなにもしません。コンビチュニーは客席照明まで付けてしまいました。クプファー、レーンホフなどは新たな解釈付けをして、納得しやすくしています。このように、オランダ人も難しいのではないか、と思います。技術的な問題だけではなく、この音符の中で救済を上手くみせられるか、ということでも。現代人には、救済できない方が理にかなっているのかもしれないですね・・・。

January 02 [Sun], 2005, 10:11
miharu
Dear まりあん
年始早々君と話せてしあわせだったよ!みはるさんなんてやめてくださいよぉ〜。今年もよろしくです。この舞台はバイロイトで8月に観たもののまとめなのだよ。年末はなにかと忙しく思っていたより観ることができなかったのだけれど、DVDなど楽しんでいます。

Dear しらいしさま
おめでとうございます。クライバーのこうもり最高ですよね!私も今度それで年越ししてみたいです。
私の年越しはウィーン市庁舎の前で花火の鳴り響く中でした。盛り上がってました!

January 02 [Sun], 2005, 9:39
まりあ
美晴さん、04年素晴らしい作品を最後に観れたようで。私には複雑がすぎますが。新しい年も、たくさん吸収して感性磨いてね!楽しめ、学べ。
January 01 [Sat], 2005, 15:04
しらいし
年末恒例行事で、シャンパンを呑みながら「こうもり」を
見ています。もちろんクライバー・バイエルンです。
今年最大の悲しいニュースでした。
(すみません、僕は耽美主義なので他のどのニュース
よりもこれです)

オランダ人の演出ですが、ここ5,6年はほとんど
ゼンタとオランダ人は救済されないようですよ。
むしろ大胆な読み替えは奨励されているようです。
これはこれでいいのですが、その演出をするからには
そこに必然を感じさせる展開をさせてもらわないと
見ている聴衆は困るのです。僕は原作の力を演出家が
凌駕することは非常に困難であるという原理主義者
なので厳しい見方ですが、でも数時間の間くらい首尾一貫
した論理を展開できないようでは、オトナ失格じゃない
でしょうか。
December 31 [Fri], 2004, 23:22
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