よくある質問:体外受精治療での卵巣刺激方法について

May 25 [Fri], 2018, 11:00
みなさま、こんにちは

体外受精ステップアップセミナーで、よくあるご質問についてお答えいたします。
今回の記事は、体外受精ステップアップセミナーでのご質問について:2017/12/9開催分から抜粋したものになります。

Q. 卵巣刺激方法はマイルド刺激法以外はないのか?たくさん採卵できるのであれば、1回でたくさん取って凍結したい
A. 院長朝倉です。大変重要なご質問をいただいたので、やや多めのスペースと資料で説明いたします。
時間と費用も小さくない体外受精では、一度の採卵でより多くの卵子を作って、受精卵ができれば数回の胚移植ができて効率が良いと考えられるのも理解できます。卵巣刺激法は、従来はゴナドトロピンというお薬を毎日注射することで、なるべく多くの卵胞を卵巣内に育てることを目標にしていました。しかしながら、その副作用として卵巣過剰刺激症候群(OHSS)が約1%の患者様に起こります(図1)。OHSSは腹水や胸水が増え、呼吸が困難、血管内の血栓症が発生しやすくなります。重症になると、入院して集中治療が必要となる場合があります。OHSSは、一旦、起こってしまうと、それを抑制することが困難という側面があります。

図1
他方、OHSSでは、採卵される卵子の質へも影響することが、最近分かってきています。図2に示されるように、卵子数は、ある数を超えると全体の質が低下するために、受精卵の子宮への着床能力(妊娠効率)が低下しはじめます。よって、卵子数が増えるほど、OHSSのリスクだけでなく、受精卵の質の低下につながる可能性が高まります。そのため、最近は、より多くの卵子数をめざすよりも、より安全に、より高い質の受精卵を数個造ることを、院長は目標にしています
図2
日本全体での結果(図3)を見ると、受精卵だけを比較すると、どの卵巣刺激法であっても胚移植あたりの妊娠率はほぼ同等です。当院の結果からは、マイルド刺激法は、毎日注射による通常刺激法に比べて、同等またはより高い妊娠効率があることがわかりました(図4)。当院で行うマイルド刺激法(図5)では、注射の投与回数と総量を減らす代わりに内服による卵巣刺激を併用するために、お薬にかかる費用を抑えられると共に、重い卵巣刺激症候群(OHSS)が起こる治療周期が、ほぼ無くなりました。OHSSが起こる可能性が少ないために、診察やホルモン検査の回数も少なくてすむ利点があります。卵子数も過剰に多くはないので、顕微授精や凍結保存にかかる費用も、予想以上に大きくなることを予防します。得られる受精卵の品質も通常刺激法と同等か、より良好であると考えます。よって、当院ではマイルド刺激を卵巣刺激の第一選択手段とさせていただいています。
図3
図4
図5
 但し、卵巣刺激法は、個人差がある卵巣の卵子の作りやすさや副作用(特にOHSS)の起こりやすさ、過去の体外受精結果など医学的な背景だけでなく、患者夫婦の経済的事情、通院のし易さ等も総合的に考慮して、できるだけ患者の希望に合った方法を選択いたします。治療の状況によっては、次の治療をマイルド刺激法から通常刺激法へ、または調節自然周期法へ変更することも多々あります。

図6に、当院で使い分ける主な卵巣刺激法の概要を示します。治療法の選択については、各方法の長所と欠点を理解して、積極的に医師と相談をいただければ幸いです。

図6

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