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■名前■  大島義史
■地元■  広島県広島市
■職業■  サラリーマン&チャリダー
■趣味■  自転車の旅、筋トレ、格闘技、マラソン、水泳
■所属■  某プロジェクトでオーストラリア勤務
大学1年の時に、生まれて初めてのマウンテンバイクを購入し、自転車旅の虜に。
大学4年間で日本をはじめ北米、ヨーロッパ、アジア、オーストラリアなどで14カ国52,000kmを走る。
社会人になってからは有給休暇を利用して学生時代に走った場所を繋ぐサラリーマン自転車世界縦断プロジェクトを行う。2012年に10カ国10,000kmを走って終了。
その後、南極大陸を自転車で走る「サラリーマン自転車南極行」プロジェクトを開始し、2016年1月に南極点到達。
2018年8月に世界一暑いデスバレーを走行。
2018年現在、オーストラリアで働きながら大陸に眠る「恐るべき空白」を目指して日々精進中。
まだまだひよっこですが、どうぞよろしくお願いいたします。

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「恐るべき空白」第1期 11.砂嵐から豪雨へ / 2019年09月21日(土)
「恐るべき空白」第1期 11.砂嵐から豪雨へ


目の前を、茶色い塊が、すごい勢いで移動していく。

それは、竜巻のようでもあり、大きなトラックのようでもあった。

風には濃淡があり、その濃淡が吹き上げられた砂塵によって、ここまではっきりと表れる。






僕は、その塊から、ただ、ひたすら逃げていた。

後ろに迫ってくる、大きな、大きな、どすぐろい雲。

その雲の下に、まるでカーテンのように、藍色のレースのようなものが垂れ下がり、それが地面へ続いている。

あの雲の下で、大雨が降っているのだ。





砂嵐は、左右前後、様々な方向から吹き付けては、僕の自転車のバランスを崩す。

僕は、その都度、足をつきながら、それでも、走ることをやめなかった。




砂嵐も、ひどい。

風の固まりにあたれば、ひとたまりもない。



だが、あの、大雨はさらにひどい。

なぜなら、ほら、時々その藍色のカーテンを突き破るように、

金色の光が地面に向かって伸びていく、



―――雷だ。



ここは砂漠の真ん中、ヘタすると自分が一番高い存在になる。

ということはつまり、雷はまっすぐに僕に向かって飛んでくるはずだ。

「逃げ場がない」

それを考えると、逃げ出さずにはいられなかった。



「逃げ場がない・・・・・・!!」


いよいよ、雲の塊が背後に迫った時、僕はもう泣き出しそうな顔をしていたと思う。

そして、涙の代わりに、ババババババと、打ち付けるような大粒の雨にのまれていた。






















「いやぁ、ここまで雨が降ったのは、15年ぶりだよ」

次の日、バスの運転手から、そのような話を聞いた。

この日。南オーストラリアとノーザンテリトリーの国境は、地もひっくりかえるような、大雨、土砂降りで、砂漠には、みるみるうちに、大小の川がいくつもできた。


僕は、下着の奥底まで、ぐしょぐしょに抜けて、テントの中で、ガソリン火器の炎にあたって、凍えた自分の体を乾かした。



(次の日は、なんだかんだで昼前から晴れた)




























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「恐るべき空白」第1期 10.Mulga Park Road  / 2019年09月20日(金)
「恐るべき空白」第1期 10.Mulga Park Road







クルゲラでは、キャリアの修理をし直した。

(結局、クルゲラでもロープは手に入らなかったのでゴム紐の痛んでいない場所を使って、なんとか縛りなおした。)

これにより、ひとまず憂いはなくなったので、次の日から再び自転車にまたがって、今度はスチュアートハイウェイを挟んで、西側を走ることにした。

Mulga Park Road だ。







ここは、南オーストラリアとノーザンテリトリーの州境を這うように走る未舗装路だ。

ずっと先に行けば、ウルルに通じているらしい。

今回は、ウルルまで行く時間は勿論ない、しかし、少しでも未舗装路を走って、いろいろな道のコンディションを試しておきたいと考えた。






Mulga Park Road は、未舗装路といえども、実によく整備された道だった。

昨日まで走っていた、Finke Roadに比べれば、ずいぶんと大人しい道だ。

起伏はそこそこあるものの、道を覆う砂の量も少なく、気持ちのいい走りを楽しめた。












ただ、この日は、驚くほど寒く、天気もいいものではなかった。

特にどんどん強くなる向かい風が気にはなる。

そして、自分の向かう先には、どんよりとした重い雲。







やがて、更に冷たい、木枯らしのような風が、固まって吹き始めた。

嫌な予感がした―――



これはもしかすると―――


砂嵐が、やってくるのでは?



予感は的中した。もうまもなく、僕は、砂の風の波にのまれていた。







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「恐るべき空白」第1期 9.クルゲラに戻り、自転車を修理する / 2019年09月19日(木)
「恐るべき空白」第1期 9.クルゲラに戻り、自転車を修理する






Finke Roadの復路2日間は、追い風が吹いていた。

その風は、僕の罪悪感、劣等感を、より強く、大きなものにした。





こうして僕は、クルゲラの町に戻ってきた。

メカニックトラブルがあったとはいえ、当初の予定よりも早くクルゲラの町に戻ってきたことは、僕にとっては、少なからず、残念なことだった。












といっても、のんびりクルゲラの町で残りの時間を過ごすつもりもなかった。

ここで、切れかかっているゴム紐を交換し、タイヤの修理も行い、その他ガタついているチェーン回りも綺麗にする。

そのうえで、再び砂漠にでていく。

水・食料も十分にあるので、買い出しをする必要もない。

ルートも自分の中で決めていた。

当初はクルゲラから東を目指したが、今度は西を目指すのだ。

走ることができる日数は限られているので、例によっていけるところまでいって戻ってくる、という往復コースにこそなるが、新しい道を走ることができるチャンスでもある。
しかも、当初走る予定がなかったので、なんの下準備もしていないし情報もない、これは歓迎すべきことだろう。



クルゲラの町は暖かだった。

水を買ったときのことを覚えてくれていたらしく、砂まみれで汚れて帰ってきた僕を、ロードハウスの皆さんは優しく歓待してくれた。

暖かいシャワーも浴びることができた。

ゆっくりとテントを立てて、湿った寝袋を干すこともできた。

のんびりとした時間が、芝生の上で過ぎていった。

ここは安全地帯、だ。



昨日まで、獣の足音に怯えて夜を過ごしていた。

今日は、その恐れもない。

それは喜ばしく、残念で恥ずべき事でも、あった。


(ディンゴもさることながら、このあたりには放牧された牛が多い。
好奇心旺盛なこいつらは、夜になんどもテントに近づいてきた。
カンガルーより大きな巨体をもつ彼らである。
誤ってテントの上に覆いかぶさってきたら、と思うと、気が気でなかったのだ。)







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「恐るべき空白」第1期 8.何が僕をここまで弱くしたのか / 2019年09月18日(水)
「恐るべき空白」第1期 8.何が僕をここまで弱くしたのか







僕は、シンプソン砂漠、Finke Roadを自転車で走っていた。

自転車の応急処置の甲斐もあってか、キャリアの調子も、タイヤの調子も上々だ。

あたりの風景は、なにも変わらず、ただ、赤茶けた大地と、そこに生える背の低い木々が横をすり抜けていく。

道は、砂でさらさらになっており、決して走りやすい環境ではない。

100mに1回はタイヤをとられるし、1kmに1回はこけそうになる。

だが、道路の真ん中にある、車のタイヤで押し固められた、でこぼこの道に比べれば、まだ、砂が多いとはいえ、路肩を走っているほうが楽だ。






走っていると、いろいろなことを考えてしまう。




今、僕は、何が楽しくて、走っているのだろうか?




そんなことを考えてしまうと、もう、思考の無限ループのはじまりだ。

特別に美しい景色が流れていくわけでもない、

なにか素晴らしい人や動物に会えるわけでもない、

そこかで仕事に対する焦燥感がないわけでもない、




無駄極まりないことをやっている自分。




それでも、それをやめられない人間、好きで好きでしょうがない人間というのは、この世に存在するのだろう。

多くの「チャリダー」と呼ばれる類の人間は、間違いなく、それに該当するだろう。

僕も、自分を「チャリダー」だと思って、15年間、走り続けてきたはずだ。




―――だが、待てよ?




朝のテントの中、自転車の修理を控えて、僕はおいしくもない携帯食料と、ぶよぶよに伸び切ってしまったインスタントラーメンを食べていた。

あの時、僕は確かに思ったんだ。



「こんなの、やってらんない」と。




昔はそうじゃなかったのだろうか。いや、昔から、ほんとうはそうだったのだろうか。

僕に壮大な旅はできない。

壮大な旅ができないほどに、僕は、人恋しく、面倒なことが嫌いで、体力もつつましいほどにしかなく、

なにより、とにかく、弱っちい。



心がまるで葦のように、風がなびいただけで、はらはら、と折れて、動き、フラフラになるのだ。

昔から、ずっと、ずっと、弱かったんじゃないか。

弱かった自分を隠すために、こうやって見栄を張って、砂漠の中にひとりぽつんと、いるんじゃないか。




例えば、「これから、1か月、同じような旅が続くよ」って言われて、僕はわくわくしただろうか?

仕事とか、家族とか、そういった世の中の大切なことは全部おいておいて、

純粋に自転車旅だけできる状況になっていたとして、

僕は笑顔で「うれしい!」なんて言えるだろうか?




弱っちい僕は、きっと、きっと、言えないんだ。

言えないことを恐れて、「うれしい!」なんて、言うんだよ。







結局、ゴム紐がちぎれて、ゴム紐を構成している中の細いゴムがむき出しになるまでぼくは走り続けた。

もう、ゴム紐が殆ど切れて、どうしようもなくなって泣く泣く砂漠からクルゲラにもどってくるのは、その2日後のことだった。







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「恐るべき空白」第1期 7.応急処置 / 2019年09月17日(火)
「恐るべき空白」第1期 7.応急処置






朝。

僕は、起き抜けに、自転車の様子を確認しに行った。

自転車は倒れていた。

後輪の空気がすっかり抜けてしまって、バランスが崩れたのだ。

前輪は、辛うじて空気が残っており、指で押すと、ふよふよと、低反発枕のような弾力性を示した。





パンク修理は、しないことにした。

僕が今回もってきたパンク修理のパッチは、20枚。

だが、前輪のパンクだけで20か所は超えていると思われる。

空気が抜けている後輪に至っては、想像するのも怖い。





幸いにも、予備のチューブを2本持っていたので、後輪はチューブを交換することにした。

一方で、前輪は、そのまま使うことにした。

1日にでこれだけ空気が残っているのであれば、朝空気をしっかりと入れれば、その日中は、なんとか持ちこたえる、と考えたのだ。

(この予感は的中して、これから僕は旅の最後までパンク修理をしないまま走り続けることができる。但し、毎日空気圧を確認して、1日に何度か空気を入れなおしてやる必要はあったが)



キャリアのほうは、なかなか、手ごわかった。

リアキャリアに載せる荷物の重量によってキャリアが後ろの引っ張られ、キャリアから自転車のサドル部に伸びる棒が、ひっこぬかれてしまうのだ。

元々、このキャリアは、今回の旅で使用するファットバイクのために作られたものではなかった。

ディスクブレーキ用のキャリアに、別のマウンテンバイク用のキャリアの接続具をとりつけて、なんとか自転車に載せているものだ。

なので、しっかりとキャリアがはまっているか、固定されているか、と聞かれれば、自信は全くない。

これは、後ろのキャリアに載せる荷物を軽くするか、あるいは、キャリアそのものを交換するしかない。



結局、僕は、金属の棒による固定の代わりに、自転車のゴム紐で、キャリアと自転車のサドル部とを固定することにした。

これ、ロープでもあれば、安心感がだいぶ違ったのだが、この時僕はロープをもっていなかった。

ああ、やっぱり、ロープは持ってくるべきだったな。




ゴム紐を何重にも巻き付けることで、なんとか、キャリアの体裁は整った。

といっても、このゴム紐は、やがて、ちぎれるだろう。

僕の旅は、そこで、終わるだろう。



僕は、キャリアを軽くするため、少しの荷物を、今日のテント場にデポしておくことにした。

具体的には、ここから、クルゲラまで戻る間に必要な最低限の水、3Lだ。

もし、デポしておいた水が、ディンゴ等の野生生物に襲われたら、僕は一巻の終わりである。

なので、苦し紛れだが、通常1日の走行に必要な6Lの水のうち、3Lのみを残しておくことにした。

残りの3Lは、念のためやはり自分で運ぶことにする。

3L軽くなったところで、自転車の荷物全体の重量に比べれば、微々たるものではあるが、

これもまぁ、気持ちの問題である。

ゴム紐が切れるまでの時間が10分、20分、増えるだけでも、走ることができる距離が変わってくる。






こうして、僕は、形だけの修理を終えて、テント場を後にした。

時間はもう、朝の10時を回っている。

今日もこれから、日が暮れるまで、走り続ける。










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「恐るべき空白」第1期 6.砂漠の中で、身動きもとれずに。 / 2019年09月16日(月)
「恐るべき空白」第1期 6.砂漠の中で、身動きもとれずに。








砂漠の日が暮れる。

シンプソン砂漠を走り出して、僅か1日目、僕は早くも「離脱」の危機に瀕していた。



タイヤの両輪に棘が刺さり、空気が抜けてきている状況。

(しかも、このテント場に来る間にも、数本棘が刺さってる)

リアキャリアは、キャリアと自転車のサドルの付け根(シートピラーっていうんだっけ?)を固定する部分が破断している状況。

要するに、これから旅をつづけるだけの、荷物と装備を載せて走ることが、そもそもできない状況。



困った



・・・・・・しかし、まぁ、落ち着こう。



砂地のうえにアルミシートを敷いて、MSRドラゴンフライ(火器)を、サクサクと組み立て、

マッチをつかって、ボッ!と火をつければ、あたりが、ぱあっ、と明るくなった。

ガソリンバーナーといえども、やはり、炎は炎だ。

じんわりと暖かいその火にあたっていると、どこか、気持ちが和んで、冷静に物事を考えられるようになる。

ついでに、お湯を沸かして、紅茶に砂糖をたっぷりと入れて飲んでみた。

これも、うまい。

うん、いける!









こうやって、全然目の前の問題に対処しないまま、夜を過ごすうちに、あたりはすっかり暗くなってしまった。

夜空に、星が、ぽつ。ぽつ。と表れ始め、やがて、日が暮れる前よりも明るいんじゃないかという程に、夜空は星で埋め尽くされた―――




きれいだ。

とてつもなく、圧倒的にきれいだ。

首をどんなにぐるぐる回しても、この一面の夜空は、視界に収まりきらない。

地平線のど真ん中でこそできる、最高の贅沢。




「思えば、初めて、アウトバックで野宿したときも、こんなだったな・・・」




15年前、情報もないままアウトバックに飛び出していった僕は、はっきりいって恐怖におののいていた。

はじめてのアウトバックでの野宿は震えが止まらなくて、寝袋に収まるも全く寝付けなかった。

だが、この星空の明かりをみて、僕は、どこか、この何もない砂漠の中で、うまくやっていけるような気がしたんだ。




「旅を続けよう」



この夜、僕が決めたことは、たったそれだけだった。

夜も暗いので、キャリアやタイヤの修理は明日の朝だ。

でも、それでいい。

一番大切なことだけは、決めて、この夜を迎えることができた。



「旅を、続けよう」







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Posted at 09:58 / 始まりの地、恐るべき空白。 / この記事のURL
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「恐るべき空白」第1期 5.突如の破損 / 2019年09月15日(日)
「恐るべき空白」第1期 5.突如の破損



タイヤ前輪、21か所の棘、貫通―――



これが、「恐るべき空白」の洗礼だった。

しかも、前輪のみで、後輪は後輪で、また数か所棘が刺さっている。

ひとまず、急いで棘を抜いてみる。

幸いにも、プシュー、と音を立てて空気が漏れるレベルではない。

よかった、スローパンクだ。

(徐々に空気が抜けていくタイプのパンク)




「あれ・・・これなら、ちょっとは走れるんじゃね?」





僕は、時計を見た。まだ、お昼になって時間はそんなに立っていない。

太陽は高い。

今から走れば、だいぶ進める―――




その誘惑は実に甘いものだった。

自転車乗りにとって、「走れるときに走っておく」ことこそ、魅力的なことはない。

誘惑、というよりは、義務感、のようなものすらある。




ゆえに僕は走ることにした、例え、途中で空気が抜けてしまったとしても―――。





クルゲラで、更に水を買い足した。

1.25Lを6本だ。

この1.25Lの水、なんと、1本6$もした。

6$、6$である。

高い、 高すぎる―――

だが、これが砂漠の水の値段。

血液より大切、金塊よりも高価と言われている、砂漠の水。

それはすなわち、命の値段、でもあるのだ。




Finke Roadは、迷うことすらできないほどの、見事な未舗装路だった。

もっと、砂漠の中に埋もれていくんじゃないか、って思っていた僕にとっては、ひょうしぬけするほどにわかりやすい道だった。














だが、走りやすさ、という点で言えば、お世辞にも走りやすいとは言えなかった。

道路そのものが、非常に凹凸が多く、でこぼこしているのだ。

自転車で走ろうと思うと、まるでシーソーに載っているかのように、ガタン、ガタン、とリズミカルに揺らされて、スピードが出ないうえに、荷物がどんどん崩れてくる。

それよりも、まだマシなのが、道路のわき1〜2m程度、不規則に続いている路肩だ。

こちらには風で飛ばされた砂が溜まっており、それが道路のでこぼこをいい感じで埋めてくれている。

砂の深さは、1〜2cmくらいだろうか。自転車で走るとタイヤをとられはするものの、走れないことも、ない。

(ただ、ファットバイクだからこそ、楽に走れたのかもしれない。マウンテンバイクだと、ちょっとタイヤが埋まってしまっていたかも)



なので僕は、この路肩を中心に走ることにした。

ここならば、車もやってこないし、安全だ。

ただ、先ほどの棘を持つ砂漠植物が路肩のすぐわきに迫っているので、ちょっと気は抜けないが―――。


(牛が多い)


(ディンゴの足跡もそこかしこにある)


(ブルアントの巣、と思われる。ブルアントは巨大なアリで、口から毒液を噴射してくる。超アブナイ)







走り始めて4時間くらい経ったろうか、

日も暮れ始めて、そろそろ、テントを張る場所を探そうかな、と思っていた時だった。

ここでまた、とんでもないトラブルに見舞われた。



ガタガタン!!

と大きな音共に、後ろの荷物が、一瞬で吹き飛んでなくなった。



なにがあった??


と思い後ろを振り返ると、なんと、リアキャリアが破損して、荷物が外れてしまっている。




「うそだろ?」

僕は、言葉を失った。

リアキャリアには、50kgくらいの荷物をガッツリ載せている。

このキャリアが、水やら、食料やら、テントから、寝袋まで、旅の荷物の大部分を支えている。

いわば、命綱。



その命綱であるキャリアが、1日目で、ぶっこわれる???



いや、どこかで、予感はしていたんだ。

このキャリアの耐重量が16kgだったこともわかっていた。

そして、事前に自転車に詳しい方から「このキャリアはやばい」というアドバイスまでいただいていた。




だが、僕は、結局、今回の旅のためにリアキャリアを新調しなかった。

―――金がなかったんだ。

(自転車のリアキャリアは、耐重量が増えるごとに、加速度的に値段があがっていく)





その金をケチったために、僕は、砂漠の真ん中で、荷物の搬送ができない、という苦境に立たされてしまった。

「おおお・・・」

「おおおおおおおお・・・」

とりあえず、ふらふらと、壊れたキャリアと、バラバラになった荷物をかき集めた。

そして、しばらくそこに体育座りをして、しょぼんとしていた。



「ど・・・どうしよ」



すぐに回答は出ない問題だった。

日も暮れかかっていた、

悪いことに、タイヤの空気も、抜けていた。

ここにきて、スローパンクにより前輪後輪の空気が抜け始めたのだ。



僕は、なすすべもなく、へなへな、と脇のブッシュに消えていった。

そのまま、テントを張って、ひとまず、一晩ここで考えてみることにした。




壊れたキャリアをどうするのか?



空気の抜けたタイヤをどうするのか?



そして、これから、どうするのか? (まだ1日目っすよ・・・)







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Posted at 09:58 / 始まりの地、恐るべき空白。 / この記事のURL
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「恐るべき空白」第1期 4.クルゲラの洗礼 / 2019年09月14日(土)
「恐るべき空白」第1期 4.クルゲラの洗礼




今回、旅の出発点としたのは、ノーザンテリトリーと南オーストラリアとの国境にある、小さな町、クルゲラだ。

町といっても、ガソリンスタントと食堂、キャンプ場を兼ねた建屋がひとつあるだけの小さな町。

オーストラリアでは、これをロードハウス、という。




アリス・スプリングスから、グレイハウンドのバスに乗った僕は、この町を一路目指した。

ここから、シンプソン砂漠にアクセスをすることができるからだ。

(他にも、アリススプリングス空港の南から、あるいは南オーストラリア州のMarla、クーパーピディ等からもアクセスできる。)

グレイハウンドバスは、オーストラリアの主要都市を結ぶ巨大な長距離バスで、なんと、自転車も載せることができる。

この巨大さ、どれくらいかといえば、「自転車を寝かせずにトランクに載せることができるくらい」である。

つまり、自転車の輪行が不要なわけで、これほど楽で便利なことはない。

















アリス・スプリングスから、クルゲラまでは、3時間弱。

その間、バスに揺られながら、これから走り出す、Finke Roadのイメージトレーニングをしていた。

クルゲラからは、Finkeという町を目指す。

距離にして160km程度ではあるが、Finkeからの交通手段はないので、自転車旅行の場合は往復することになり、320kmだ。

道は全て未舗装路。1日、どれくらいの距離を進めるかわからない。

というか、今回の「恐るべき空白」第1期は、それを確かめるために来ているのだ。

シンプソン砂漠横断に必要なフル装備、100kg程度をもって、無補給・単独で走った場合、

1日にどれくらいの距離を走ることができるのか、

自転車にどのようなダメージ、損傷が発生するか、

自分の体にどのようなダメージ、疲れが蓄積されるか、

風の向きはどうか、水の消費量はどうか、テントを張る場所はどうか、野生生物の危険はどうか、

調べておきたいことを全てリストにして紙に印刷してきている。

これらの疑問の答えをみつけてくることが、今回の旅の本当の目的だ。




朝出発したグレイハウンドのバスがクルゲラに到着するのは、ちょうど昼時だ。

そのまま、クルゲラで簡単に非常食を食べて、すぐにでも走り出すつもりだ。




360度地平線の世界を走ること、3時間。

遠くにアンテナの先っぽが見えてきたかと思えば、やがて、ガソリンスタンドの建屋や、その周りの木々が見えてきた。

クルゲラ、だ。

砂漠のオアシスというのは、どんなに遠くからでも、すぐにわかる。

この赤い台地で、緑色のこんもりとした物体は、あまりにも目立つのだ。




バスは、ゆっくりとクルゲラに入っていく。

そして、ガソリンスタンドの横につけて、静かに停車をした。

僕は、ドライバーさんにお礼を言って、バスを降りた。

ドライバーさんも一緒に降りてくださって、バスのトランクを開けてくれる。

中には自転車と荷物が収まっている。

勢いよく自転車を取り出したが、やはり、かなりの重量だ。

よたよた、と。バランスを崩しながら、ひとまず、バスのわきにある縁石に立てかけた。




―――と、

このとき、僕は身震いするほどの戦慄を覚えた。






タイヤに―――大量の棘が刺さっていたのだ。

「どこで??」

と、あたりを見回せば、なんと、あたり一面に棘を持つ丸い種のようなものが大量に散らばっているではないか。

この種の主といえる植物はまるでめだたない、ただの草である。

この草、町のガソリンスタンドどころか、周りの砂漠、どこにでも生えている。












「え・・・?やばくね?」

ぱっ、と見、タイヤには20か所以上の棘が刺さっている。




「これはもう、パンクというレベルじゃなくね??」




まだ、バスから1m程度しか離れていない。

その1mで、既に21か所(あとから丁寧に数えた)、パンク!!




え・・・


これから走ろうって時に、21か所も、パンク?????

どうすりゃいいんだ、というか、これからの砂漠の旅、どうなるんだ・・・・・・???





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Posted at 09:57 / 始まりの地、恐るべき空白。 / この記事のURL
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「恐るべき空白」第1期 3.辺境のオアシス、アリススプリングス / 2019年09月13日(金)

「恐るべき空白」第1期 3.辺境のオアシス、アリススプリングス




曇り空のメルボルンを飛びたった飛行機は、進路を北西へと変えた。

メルボルンの牧草地帯が過ぎ去り、南オーストラリアに入ると、あたりは赤茶けた大地が広がり始めた。


「恐るべき空白、だ・・・・・・」

僕の海外自転車旅行に引き込んだ一冊、「恐るべき空白」。

そこは、オーストラリア大陸において、南緯20度〜32度、東経115度〜140度の広大な地域を指す。
いわゆる、「アウトバック」と呼ばれている、オーストラリア大陸の砂漠地帯だ。







北に進めば、なんと、エア湖が見えてきた。

飛行機のアナウンスも、入る。
「皆様、機長です。左手に見えますのは、オーストラリア最大の湖、エア湖です・・・」

なかなか、機長もセンスがいい。日本でも富士山の近くを通過する際はアナウンスが入るが、あれと同じようなノリなのだろうか。

すごい。実際にこの目でみるのは初めてだ。
とても、広大で、なにより、水がまだ存在していることに驚いた。






更に進んで、いよいよ、ストーニー砂漠、そして、シンプソン砂漠へと入る。

巨大な砂の線が幾重にも続いている。これらが全て砂丘なのだ。

それは、もう、海といって差し支えないほどの風景だった。

大きな海に、強い波が立っている。

その波の高さは、数メートルから、数十メートル、

飛行機から見ても、はっきりとわかるほどに、巨大な波が、地平線まで続いている。



自分が走ろうとしているのは、この、大きな海なのだ。

海の上を、僕は走ろうとしている。

静かな緊張を感じた。

飛行機のエンジン音が、だんだんと、聞こえなくなっていく―――









乾燥した赤い土地、アウトバック

その中心にあるオアシス、アリス・スプリングスに来るのは、15年ぶりだった。




空港に降り立った僕は、自転車を丁寧に組み立て、町に向かって走り出した。

湿ったメルボルンとは、明らかに違う、砂漠の空気。

風に飛ばされて舞う、小さな赤い砂。

埃の多い、乾いた町。













僕は、この町に1日とどまり、宿とスーパーマーケットの間を、いったり、きたり。

買い出しのために3往復はしたと思う。

購入したのは、ひとりで持ちきれないほどの、食料。

ナッツ、チョコレート、栄養バー、スニッカーズ、ジュース、

なによりも、水。

そう、水だ。

この絶対的な「水の欠落」こそが、砂漠の冒険を、冒険たるものにしている。



あらゆる無補給において、水の無補給ほど、厳しいものはないからだ。










夜、宿にて、家内、子どもに出発前の最後の電話。

あれほど泣いて見送ってくれた子どもたちだが、まる1日経過して、すっかり元気になって、テレビを見ていた。

こちらは淋しくて電話をしているというのに、パパよりテレビを優先するとは、

ほっ、としたようでもあり、淋しくもあり。

そんなときに、この馬鹿な僕に付き合ってくれるのは、いつも家内だ。



家内との他愛もない会話、この日は、少し長かった。

時計の針がひとまわりするくらいにまで、僕が話したいことを話し終わるまで、家内は僕に付き合ってくれた。








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「恐るべき空白」第1期 2.僕はなにをもとめていたのかわからないまま、空に発つ / 2019年09月12日(木)

※大変遅ればせながら、「恐るべき空白」第2期をやっている間に、ひっそりと、第1期の記事をアップします。


「恐るべき空白」第1期 2.僕はなにをもとめていたのかわからないまま、空に発つ





怖いことに、ただ、まっすぐに向かっていくこと、

自分にとって、高い壁を乗り越えようと必死にあがくこと、

それが僕の中の「冒険」であるのであれば、何も自転車をこぐことにこだわらなくたっていい。

そんなことは、とっくの前に気づいていた。




今の僕にとっての「冒険」は、自転車旅行(それも日帰りなどの気楽なものではなく、なんとなく自分にとってできそうにないやつ)であることは勿論のこと、

家庭をもって家内と一緒に子ども達を育てて行くこともそうだし、

あるいは、会社に勤めて仕事をすることもそうだ。




どれも、僕にとって未知の体験で、怖くて、真剣に向き合ってもなお、失敗することが多い、いわゆる「やりがい」のあるものだ。




特に、最近は仕事の比重が大きくなってきている。

5月1日から自分の役職が変わり、仕事の内容も今までの業務に加えて、更に包括的に長期的な視点での判断が必要なものへと変わっていく。

業務時間の長さもさることながら、それでは全く不十分であると自分で痛感するほどに、仕事はやってもやっても、まだまだ、やるべきことがある、かなりの大きな壁となっている。

この巨大な壁を越えることが今の最大の目標であり、翻って、自転車旅行に拘る理由は、相対的になくなってきているように思える。





「冒険」的行為を、仕事に見いだせるのであれば、仕事の方がいいんじゃないか、って思えている。





なぜなら、仕事は世の中に役立つもの、より正確に言えば、世の中を動かしていく行為に他ならないからだ。

一方で、自転車旅行は、その世の中の流れの中で、漠然と漂う行為、あるいは、流れを止めにかかる行為といってもいいかもしれない。





両者は、矛盾、あるいは、相反している。





僕のような、趣味の延長で冒険旅行をやっているような中途半端な人間と違って、

真剣に冒険一本でやっているような人の本を読むと、あたかも、冒険に価値があるように書かれていることが多い。





「世の中に敷かれたレールから、敢えて抜け出す」

「世の中の流れに流されない」

といったポジティブな言葉が並ぶ。




僕自身、大学生の頃は、こういった本を読み漁って、このような言葉に勇気をたくさんもらってきた。

しかし、働き始めて、「これは少し違うな」ということがわかってきた。




世の中に、レールなんて、存在してはいない。

働いている幾多の人たちが、日々、一生懸命、レールをつくっていから、

あたかもずっとレールが続いているように感じるだけで。

しかし実際は、

後ろを振り返れば確かにレールはあれど、その一歩先には、なにもない。





深い暗闇が広がっているだけだ。





そこに電気を通し、電灯をつくり、鉄を溶かして、レールを敷いて、人々が前に進めるようにしている人たちが確かにいる。

それは世の中で働く、大人たちだ。




誰も何もしなけえれば、この世の中には、淀んだ水しか存在しない。

そこに途方も無い時間と労力を費やして、流れをつくっているのは、今の大人たち。

彼らが、万が一にでも、その努力を怠れば、水の流れはなくなり、淀んだ停滞した世界へと転落してしまうだろう。





だから、今の僕は、レールをつくり、懸命に水をかきませて流れをつくることをしながらも、

自転車旅行という娯楽によって、時にその流れに身を委ねる、

そんな状況にあるのだろうと思う。





そして、今、自分の中でプライオリティを置くべきと考えるのは、前者だ。




ならば、




ならば、自転車旅行にこだわる理由はなんだ?





そう聞かれれば、「ぶっちゃけ、ない」と答えざるを得ない。





かつて「大きな壁への挑戦」だった、自転車旅行は、同じような壁を別の場所に見つけたことによって、

ただ「自転車に乗って、風をきって進むのが気持ちいい」、その程度の拘りにとどまるものに変化してしまった、ということだ。






なのに僕は旅に出る。


なのに、僕は、




旅に出る。










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