「自然居士」を訪ねて

2007年12月07日(金) 2時09分
 明日の土曜日、「大阪観世会」で山本章弘が「自然居士」をつとめさせて頂きます。
 それに先立ち「自然居士」のゆかりの地を訪ねてきました。



 関西は、謡曲ゆかりの場所が沢山あります。
 檜書店さん等から、さまざまな「謡跡めぐり」の本が出版されていますが、群を抜いて関西が多いです。
 そして、謡を習われたり、能を鑑賞するのが大好きな方は、その曲への関心の深まりから、その曲にゆかりの地を訪れ、楽しまれます。 
 現在大都会になった大阪ですが、市街地にも「えっ、こんなところに?」と驚かれる位身近なところに、ぽつんと遺跡があったりします。
 普段から、近隣の地を調べておかれて、その近くに行かれるついでの時に、ちょっと足をのばしてみられるのも楽しいかもしれません。

 自然居士(じねんこじ)は謡曲「自然居士」の主人公の名前で、阪南市の自然田(じねんだ)というところの出身であると言い伝えられています。
 そしてその地には大阪府の天然記念物に指定された、高さ16m、直径1.2m、樹齢450年を数える、大きないちょうの木があり、古くから「自然居士の大いちょう」と呼ばれ、地元の方々に親しまれてきました。(なんでいちょうなのか?と疑問に思いましたが、自然居士の住まいがいちょうの木の傍らにあったらしいです)
  そして、この「大いちょう」のすぐ隣には、小さな祠があり、中には自然居士の像が祀られています。

 「自然居士」のあらすじは、1人の少女が、両親の供養のために供える小袖を買うため、人買いに身を売りとらえられますが、それを知った自然居士が人買いの跡を追って、舞いを舞ったりしてその少女を無事救い出す、というものです。
 自らを売ってまで両親の供養を願う少女と、最終日の説法を投げ出してまでも少女を救おうとする自然居士、それに人買いとのやりとりがからみ、胸のすくような痛快な能です。
 自然居士は正義感の強い、魅力に満ちた「ヒーロー」として描かれていますし、実際に15歳で京都に出て、禅僧大明国師の弟子になり、知恵が深く、徳の高い人物であったらしいので、地元では、その出身地として、代々誇りとして、皆に親しまれ、お祀りされてきました。

 それにしてもこの「大いちょう」の大きなこと!
 どこまでも天高くそびえています。
 ちょうど黄色く紅葉していて、その下から見上げると、黄金の輝きの中で、自然居士の崇高な精神に包まれているような、新たかな気分になりました。


 そして、その傍らの石碑には「おのずから 幾ももとせを経ぬるとも むかしわするな 山本の里」と記されています。

 自然居士は延慶2年(1309年)63歳で亡くなっていますが、そのお墓は伊丹市の梅林の片隅に「自然居士の墓」としてぽつんと残っています。

 謡跡をめぐる楽しさは、人それぞれですが、能の舞台と同じく、その謡曲からわきでるイメージを自分の中で想像し膨らます事にあるのではないかと思います。
 今回の「大いちょう」、そして写真にはありませんが自然居士の像は、私にとってイメージ通りで、ますます自然居士が好きになりました。

(とくい)
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大阪の谷町4丁目にある大阪で一番古い能楽堂です。
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詳しくは山本能楽堂公式ホームページをご覧ください。
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