【罪も報ひも後の世も忘れ果てて面白や「鵜飼」】

2019年05月21日(火) 21時13分

「鵜飼」のお能は能の中でも独特です。

「鵜飼」は、『古事記』『日本書紀』にも出てくるほど、歴史のある日本の漁法の1つです。
 昔は、実際に「鵜飼」で魚を捕獲していましたが、今はどちらかというと、「鵜飼」が夏の観光に使われていたりします。

「鵜呑みにする」という言葉は、人の言葉の真偽をよく考えず、そのまま相手の言葉を信じ込んでしまう意味ですが、それは鵜は口にした魚を噛まずに丸呑みにすることからきているそうです。

 鵜のこの習性を利用したのが「鵜飼」の漁です。
 かがり火で魚を集め、鵜に丸呑みにさせるのですが、鵜ののどには紐がしばってあって、そのまま呑み込めないようになっており、それを吐き出させて魚をとるのです。

 「鵜飼」でとった魚は体に傷がつかず、また鵜が呑みこむ時に魚が一瞬で気絶するため、鮮度が高いとされ、昔から献上品とされていました。
 
 しかし、生き物を殺して日の糧を得ること、即ち殺生は、日本では仏教的な罪とされてきていて、能のシテの老人も、「鵜飼」をやめるようにさとされます。
 でも、やめられない人間の性。

 「罪も報ひも後の世も忘れ果てて面白や」

 これは「鵜飼」の中の謡の一節ですが、やめたくてもやめられない気持ちが凝縮されて、描かれています。

 この「鵜飼」の中に描かれる世界は、能独特のものだと思いますが、能の中には他に「阿漕(あこぎ)」、「善知鳥(うとう)」という同じような主題の作品がります。
 どの作品も生き物の命を奪うことを生業としていた漁師(猟師)について描かれています。

能の中で三卑賤(さんぎせん)と呼ばれるこれらの作品ですが、6月1日のとくい能では、日本人も外国人もお楽しみ頂けるよう、英語対応で上演させて頂きます。

日本人独特の感性が、外国の方にどのように感じて頂けるか、楽しみです。






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