「いなかのせんきょ」藤谷治

2006年01月12日(木) 21時10分
いなかのせんきょ
藤谷 治
4396632568

四方を山に囲まれた鍵田原郡戸蔭村。町民数2千数人の鄙びた村で久しぶりに町長選挙が行われることになった。町長選に担ぎ出された深沢清春の物語。

あぁ、面白かった。なんだかドラマを見ているような気持ちになりました。「演者(わたくし)」という語り手が戸蔭村起こったことを語ってくれる物語のスタイルがますますドラマっぽい。落語家の語りが聞こえてくるようでした。

物語は鄙びた村で起こった「市町村統合見送り」「公共事業への投資」「多額の借金」などにより辞任することになった町長の後任を決める選挙。過疎化、老人化の進む村をよくしようと思う生真面目は深沢と本当は陰の実力者でいたかった助役の平井、二人が出馬することになった。個人の利権、小さい町だからこそ起こる仕事や親戚のしがらみ、人の噂話などに翻弄される候補者達。相手陣営は金に物言わせ、選挙事務所で連日ご馳走とお酒でもてなします。お金も権力もない深沢さんは自宅スーパーの裏の物置を急遽選挙事務所に仕立て上げ、出てくるのはお茶とお煎餅。こんな選挙ありそうです。母の田舎は島根の田舎なのですが、昔は選挙の時にはある党のマイクロバスが出て投票所に連れて行ってくれたそうです。そしてもちろん投票するのはその党の人。

金も権力もある相手陣営に比べ、深沢さんにあるのは家族と真正直な性格のみ。東京から帰郷している弟が、事務所でのお酒の振舞い、そして相手の賄賂をやめさせる為に考えた作戦。「刑事が選挙違反の内偵に来ている」といううわさを流し、隣町の友人に頼んで黒いスーツを着た男を数名雇い、何軒かに「選挙のアンケート」といって数軒を訪問する。噂が広まる様子が愉快でした。

場所の設定がどこなのかがちゃんとはわかりませんが、方言がすごくいいのです。「へば」とか「電話をぬく(かける)」とか。選挙が終わり、最終章がすごく悲しかった。もう少し、戸蔭村の人たちと一緒に居たかったなって思いました。
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