「くらやみの速さはどれくらい」エリザベス・ムーン

2006年01月02日(月) 21時25分
くらやみの速さはどれくらい
エリザベス ムーン Elizabeth Moon 小尾 芙佐
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舞台は幼児期における自閉症の治療が可能になった近未来。ルウは、その治療法が確立する前に生まれたため、障害を持ったまま大人になった最後の世代。だけど教育を受け仕事をし、腕の良いフェンシングの選手で、教会にも行っている。変化にはうまく対応できないけれど、本は読めるし、憧れの女性もいる。なのにある日会社の上司が、自閉症治療実験に参加しないと解雇すると言いだした。混乱するルウ。ルウが下した決断とは…

物語の殆どは自閉症のルウの視点で描かれています。実際の自閉症患者が物事をどのように考え、どのように感じているのか知るすべはいないので、これが本当の事なのかはわかりませんが、ルウがノーマルな人達の表情から相手の感情を注意深く読み取ろうとする様子、スラングに戸惑いながらも自分が記憶したその言葉の意味を考える様子、周りのすべての事を自分の頭の中でパターン化して理解していく過程などがすごく興味深かった。ルウのすっきりと統一された思考、積み上げられたパターンが心地よかったです。

すっかり入り込み、自分はルウの友達のような気持ちで、「治験なんて絶対にやめるべき」って思っていました。だけど、ラストを読んで「あぁ所詮私もノーマルな人なんだ」って思いました。ルウは人間関係を円滑に行うために、絶え間ない努力と苦労を、苦痛を味わっている。恋愛も出来ないし家族をつくる事も出来ない。ルウは本当の意味で「あるがまま」に生きているわけじゃない。そんなところを理解しないで、今の状態のルウがいなくなってしまう事を悲しむ。自閉症者とノーマルな人たちとの考え方の違いにハッとされられました。

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