「4時のオヤツ」杉浦日向子

2006年03月03日(金) 22時28分
4時のオヤツ
杉浦 日向子
4104259039

鯛焼き、豆かん、クリームパン、かき氷、大学芋、シベリア…懐かしい東京のオヤツがある33のショートストーリー。

表紙のシベリアとタイトルにつられて借りました。美味しいお菓子にまつわるエッセイなのかと思ってたら、美味しいお菓子がそこにある物語だったのでびっくりしました。

冒頭の文章が素敵です。「四時って、半端だ。午前にせよ、午後にせよ。深夜でも、明け方でもない。昼間でも夜でもない。夜明け前、そして、黄昏れ時。そんな、半端な時間に、ふと、口寂しくなる。…四時ときたら、てんで半端。ティータームでも食事でもない。三時を過ぎて、五時には間がある。オトナにもなりきれない。なんとなく何か食べたいのは、空腹だからからじゃない。ほんの少し、物足りないのは、たぶん、キモチ

33の物語は場所、登場人物の描写からはじまります。なんだか劇の台本を読んでいるような雰囲気。暗い舞台に明かりがついて始まった劇は、結末を見ることなくパチンと明かりが消えます。そして私は登場人物のそれからを考える。そんな事の繰り返し。

書かれたのは91年から94年。「ワープロ」「ワンレンにソバージュ」携帯電話も出てきません。懐かしい世界です。最後に33の物語に出てきたオヤツのお店一覧が載ってるのです。その中には6つの「残念ながら閉店」がありました。15年ってそういうことなんだなぁと思いました。

「容疑者Xの献身」東野圭吾

2006年02月04日(土) 21時40分
容疑者Xの献身
東野 圭吾
4163238603

東野さんを続けて(しかも評判のよい2冊)読んじゃうなんて、なんてもったいないことをしてしまったんだろう…すごかったです。読んだ後しばらく現実に戻れなかった。

天才的数学者で高校教師をしてる石神。隣に住む花園靖子に憧れ、彼女が働く弁当屋でお弁当を買う毎日。ある日、靖子が元夫を殺害してしまったことを知った石神は「助けたい」と申し出る。数日後、身元不明の死体が見つかり、靖子の元夫だと判明。事件を担当したのが草薙刑事だった。そして石神は湯川、草薙と同級生、湯川のよく知る人物だった。

「純愛」なんですよね?どうしてそこまでして靖子を守りたいかの理由、そして最後に残したメモを見ると、石神の純粋な気持ちはわかるんですが、そこまでされて平気で幸せになれる人はいない。そんな「愛」ってちょっと負担だって思いました。「紙と鉛筆さえあれば、いや頭の中で数式について考えることが出来ればそれで幸せ。」これからの石神の生活が見えるような気がします。そんな人生虚しいです。

湯川助教授、今回は積極的でした。いつもは淡々と事件の真相をあかすんだけど、今回は辛そうだった。だけど、苦渋の選択だったのかもしれないんだけど、最後の行動は好きじゃないなぁ。石神の気持ちがよくわかるんだったら、そっとしておいてあげるべきなんじゃないのかしら。結局幸せになれた人、誰もいなかったもの。

「予知夢」東野圭吾

2005年12月14日(水) 21時00分
予知夢
東野 圭吾
4163192905

草薙刑事と湯川教授が一見、「超常現象」と思えるような事件を解決する、連作ミステリー第二弾。

「容疑者Xの献身」を図書館で予約して、私の手元に来るまでにシリーズ物を読んじゃおう!という作戦です。「容疑者X…」まだ順番がまわってきません。「このミステリーが…」で1位になってたし、人気あるんでしょうね。

前作を読んだ後、色んなブログにお邪魔して感じたのは「探偵ガリレオ」に比べると評価が低いなぁって事でした。だから何となく手に取るのが遅くなりました。だけど、私は十分楽しみました。「探偵ガリレオ」のような工学的な難しい装置なんかが毎回出てくるわけではないのですが、一つの「不思議な」事件を別の視点から見て、その裏にある真実を見つける湯川助教授。いいじゃないですか。

「予知る・しる」はER流体とかいう、普通の人には全く未知のものが出てきました。なんとなく、これが一番「探偵ガリレオ」に近かったかな。そして、この物語の終わらせ方が一番好きです。

「騒霊る・さわぐ」のポルターガイストの真相。これは昔ニュース番組の特集で見ました。実際にそんな家が立川にあって、調べたらそういうことだったって。

「浮気」が不思議な事件の発端になってる話が3つもありました。人を「殺す」ほどの恋、しちゃいけません。

「酔って言いたい夜もある」角田光代

2005年11月30日(水) 21時57分
酔って言いたい夜もある
角田 光代
4872339762

角田さんが魅力的だと思う同年代の女の人とお酒を飲みながらの対談集。

すごい、すごい。久しぶりに会った仲良しの内輪話をそのまま文字にしてしまったというのでしょうか、「男を切らしたことがない」だの「送ってもらったら家にあげないと失礼」「しかもやらないと失礼」だとか。だけど角田さんを含め5名とも自分が好きって思うことを仕事にして生活している。そういう女の人の芯の強さが見えるし、素敵です。角田さんなんて7歳の時に作家になりたいって思って、そして実際になってる。

漫画家・魚喃キリコさん。「なななん」と読むらしい。最初からすごいです。旦那の地位が自分の地位って思っているような女の人を「バカ女ども」と罵倒してます。ハマリやすいタイプはミュージシャン系のヤサオ。収入はもちろん女である角田さん魚喃さんの方が多い。

小説家・栗田有起さん。妄想の中で暮している。「恋愛するより、一人で妄想しているほうがいい」みたいな事書いてありました。同業者の対談なので文章を書くことについて話してます。栗田さんは「ものを書くことは苦しい。体に言い聞かせてる最中」って言ってます。そして「小説を書くひとには、これは絶対に書かないという意思があるらしい」って。へぇー知らなかった。作家の角田さんも「最近気がついた」そうですが、そういうのがあるから本を読んでいて「あう、あわない」があるんだなって思いました。

エッセイスト・石田千さん。テレビも見ない、本も読まない。不思議な人。これはエッセイを読んでみないと。そして角田さんは「朝起きて、ご飯、仕事、昼、ジム」と30歳頃から自分の行動を決めて生活しているとか。

写真家・長島有里枝さん。すごく自分の感情にまっすぐな人なんだって思いました。「自分が楽しくなかったら子供のことを幸せになんて出来ない」って。すごくよくわかるけど、日本で暮すの大変そう。

「夢について」吉本ばなな

2005年10月06日(木) 19時21分
夢について
吉本 ばなな



吉本さんが見た夢、大切な人々の記憶などについて書いたエッセイ。

吉本さん、小説は全部読んでいるけど、エッセイはまだ読んでいないものがけっこうあります。少しふるい本で「サリダ」という雑誌に1992年3月から1994年3月まで連載されていたようです。

24のお話。一つずつはとても短い。その中に吉本さんが見た不思議な夢や、大好きな人たちの事が、吉本さんらしい文章で書かれています。一つずつ読んでは、自分の見た夢や今は亡くなってしまった大切な人を思い出したりしました。

夢…私、芸能人で夢に出てくるのは決まってSMAPの木村拓哉なんです。ファンだった事、一度もないんだけど…恋愛関係だったり、私の片思いだったり…携帯の番号を手に書いてもらったこともあります。その時は起きてからもその番号を覚えていました(さすがにかけたりはしませんでしたが…)ファンでもないのに、夢を見た後にはテレビに顔が映るとドキドキします。

後、よく見る初夢は夫に「他に好きな人が出来たから」って言われる夢です。付き合い始めてからもう16年。結婚する前から何度となく見てるんです。一番最近は「実は俺ホモなんだ。だから別れてくれ」って。

「陽気なギャングが地球を回す」伊坂幸太郎

2005年09月20日(火) 14時58分
陽気なギャングが地球を回す
伊坂 幸太郎
4396207557

どんな嘘でも見破る、一を聞いて十を知る成瀬、大嘘つきで演説係響野、動物が大好きで無邪気なスリの青年久遠、秒単位の体内時計を持つドライバー雪子。綿密な下見に作戦会議、ロマンある銀行強盗を繰り返す4人だけれど、今回はどうも雪子の様子がおかしい。

5分で人を傷つけることなくお金を奪う銀行強盗。そもそも4人は偶然爆弾を仕掛けられた映画館にで出会い、1ヵ月後に銀行強盗現場で人質として再会。響野をはじめ、みんなの会話や雑学にいちいちフーンってうなずいてみたりして。銀行強盗実行中の響野の演説も面白かったし、学生時代の雪子が変人と言われてる男の子に「変人が感染するよ」って言われて「大丈夫、変人は蚊を媒介にして寄生するから。マラリアと一緒で。」って台詞も好きだなぁ。ラストで泣き叫ぶ赤ちゃんが泣き止んだのも、あとから読み返してみたら、田中に会いに行く広瀬と久遠が電車の中で泣いてる赤ちゃんを前に会話してました。「穏やかな人が寄っていくと、泣き止む」「穏やかな人って何だ」「人生を楽しんでいる人かも」って。4人とも人生を楽しんでいるんだ!

ストーリーはもう伏線だらけ。響野の言う「『冒頭に登場した拳銃は映画の後半で必ず発砲される』というルールと一緒だな」あって言葉だって、後からあー来た来た!って思いました。。そしてひきこもりに田中。彼がいなかったら、このラストはありえない。そんなのあり?って物だったり、会話だったりするんだけど、後からぴたりとはまって気持ちがいい。

よーく考えてみたら、人間嘘発見器の成瀬が雪子の嘘を見破らないはずがない。横取りされてしまった港洋銀行の強盗はわざとなんだね、きっと。成瀬はすべてお見通しなんだ。

「幽霊人命救助隊」高野和明

2005年08月18日(木) 10時06分
幽霊人命救助隊
高野 和明
4163228403

断崖絶壁を受験の為に勉強した世界史の年表を暗唱しながら登る裕一。頂上には何もなく老齢のヤクザ八木、気弱そうな中年男の市川、倦怠感を漂わせた二十歳過ぎの美晴の3人だけだった。それぞれ死んだ時代は違うがみんな自殺した人たちだった。そこに現れた神様が「ここは天国と天国の中間地点で、バカな死に方をした4人に償いをしてもらう。7週間で自殺志願者を100人救え」と言う。訳がわからないまま地上に戻された4人。レスキュー隊のオレンジの服を着て、暗視スコープ、メガホン、携帯電話に無線機をもっていざ出陣。試行錯誤しながら少しずつやり方を心得ていく。

読後、さわやかな気持ちです。年齢も死んだ年代も全然違う4人。それぞれの得意分野を活かして自殺志願者を思いとどまらせます。100人の中に自分と同じような気持ちで死を選ぼうとしてる人がいて、その人を客観的に見て立ち直らせながら「自分はなんて馬鹿な事をしてしまったんだろう」って思う主人公達。

「自殺」について考えさせられました。自殺する人ってほんのちょっとの心の揺れで死んでしまうのかもしれないですね。そこで誰かがちょこっと声をかけてあげたら助かるのかもしれない。だから自殺した周りの人は「どうしてあのとき…」ってすごく悩むんだと思います。人間っていつも人恋しいから、誰かに優しく抱きしめてもらえたら温かな気持ちになれるんだって。ちょっと自分の事を考えてみて、子供をぎゅーって抱きしめてあげようって思いました。

出てくるのは自殺したい人ばかりなのですが、文章は笑っちゃうのです。4人が死んだ年代が70年80年90年そして2003年なので4人の「ずれ」が世代の差だけではなく小さい笑いが沢山あります。70年代に死んだ八木が最高。しゃべる言葉が「がちょーん」 「冗談はよし子ちゃん」とか死語ばかり。あぁそんな言葉あったかもって懐かしくなりました。

「ユージニア」恩田陸

2005年06月19日(日) 14時22分
ユージニア
恩田 陸


ある夏、地元の有力者の家で起こった集団毒殺事件。その家族で唯一生き残った盲目の少女。その事件に関わった人たちの回想録のような形で物語が進んでいく。

事件の関係者が誰かの質問に答えてる形をとっている章が多かった。話しているのが誰で他の人とどんなつがなりがあるのか、その人から見た事件がどうだったのかを理解すると、他の人との関係、他の人との見方の違いを確認したくなって前のページに戻ってみたり。犯人は最初のほうでわかっているんだけど、なぜそんな事になってしまったのかを知りたくて、どんどん先に読み進みたい。そんな気持ちにさせる本でした。が、色々考えながら読んだのに知りたかった事は明確にはされていない。「あとはご自分で」ということでしょうか。

本がとても凝ったつくりだった。開いてすぐのメモのような紙。事件の日においてあった手紙とプロローグが書かれている。そして文章のフォントも普通ではない。最初自分の目がおかしいのかと思って他の本と見比べてしまった。「フォントディレクター」という人がいるらしい。

「優しい音楽」瀬尾まいこ

2005年06月05日(日) 22時24分
優しい音楽
瀬尾 まいこ著


瀬尾さんの短編集。なぜかタイトルを「優しい時間」と勘違いして覚えていましたが、読み終わって思いました。優しい時間が流れている。間違えでもなかったのかもしれない。短編だとあっという間に読み終わっちゃって、もうすこし瀬尾さんの世界にひたっていたかったなぁ。

「優しい音楽」駅で女の子に見つめられ、恋人になった。女の子が見つめていた理由は亡くなった兄にそっくりだったからだった。
「タイムラグ」不倫相手の子供を24時間預かる事になる。
「がらくた効果」同姓してるはな子はガラクタを拾ってくるのが好き。ある日拾ってきたのはホームレスのおじさんだった。

「がらくた効果」は何となく川上弘美さんの本っぽい設定だった。気が付いてみたら、この本が1月に入ってから読んだ本100冊目でした。 

「四日間の奇跡」朝倉卓弥

2005年03月30日(水) 13時32分
四日間の奇蹟
浅倉 卓弥


市川拓司の「いま、会いにゆきます」に似ていると教えられて読んだ本。 東野圭吾の「秘密」にもよく似た感じ。

本としては分厚かったのに今現在の他に如月さん、千織の出会いや真理子の過去の話になったりと、どんどん引き込まれていったのであっという間に読み割った。

真理子がいなくなる時のあたりの話はファンタジーぽくて好きではなかった。

読み終わった後センターに係わっている全ての人がとても魅力的に見え、如月さんと千織がずっとセンターにいたらいいのにと思ってしまった。
■プロフィール■
■なな■
■新しいブログに移転しました。ブログ名はおなじナナメモです。どうぞよろしくおねがいします。■
にほんブログ村 本ブログへ
プロフィール
  • プロフィール画像
  • アイコン画像 ニックネーム:naomi703sugar
読者になる
Yapme!一覧
読者になる