「沼地のある森を抜けて」梨木香歩

2006年02月07日(火) 21時40分
沼地のある森を抜けて
梨木 香歩
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主人公の久美は独身。亡くなった叔母から、マンションとともに先祖伝来というぬか床を受け継いだ。 「気に入らない人に手入れされると呻く」と言われているぬか床。ある日、中に不思議な卵らしきものが出来た。

久美とぬか床。男を捨てた風野。時子叔母さんの苦悩。久美の先祖が書いた記録。そして「シマ」の物語。現在から過去、物語がいろんな所にとびながら、ひとつにまとまっていきます。スケールの大きな物語。だけど、私はちゃんと意味を理解できてるのか心配になります。まるであの島の沼地のある森に入っていってしまって、そこから抜け出せずにいる。そんな気分です。

先祖伝来のぬか床を譲り受けた久美。男の人に頼らず一人で生きている久美。先祖伝来のぬか床を譲り受け、毎日かき回しているうちに、卵が見つかり、やがて人間が現れます。その現象に驚きながらも、その事について調べようと思い立つ。そして叔母である時子が相談していた風野に出会う。風野は男性である事を捨てている。そんな二人がぬか床の出所の島に渡り、化学反応によってお互いを魅力的と思う。梨木さんらしい愛の書き方だなぁと思いました。

久美と風野が話す「優生理論」の話。読んでいて胸騒ぎがしました。前にその話を読んだ本ですごくドキっとしたんですよね。どこかで読んだ事があるって思いました。梨木さんの「ぐるりのこと」に出てきたのかな?

シマの物語が3つありましたが、脳みそをフル回転させて想像力を働かせましたが、ついていけなかった。昨日から何回その章でうたた寝したことか…

「ニート」絲山秋子

2005年12月26日(月) 17時04分
ニート
絲山 秋子
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あぁ、ダメかも。この先絲山さんの本に手を出せないかもしれないです。「海の仙人」以外の絲山さんの本は全部読んでます。今までは苦手だなぁと思う分野の話が出てきても大丈夫だったのです。だけどこの本の最後の短編「愛なんかいらねー」は辛すぎた。途中、これはダメだって思った部分以降は飛ばし読み、ラストを読んでそれからページをパラパラと。失礼な読み方しか出来なかったのですが、目が頭が受け付けないのだか仕方ないです。私の好きな本の基準が「パァーっと楽しい気分に慣れるもの」なんだって事が本当にわかりました。

絲山さんの本の登場人物ってすごく弱くて、危なっかしい。「寝ないほうがいいと思うけど寝ちゃった」「大阪に待ってる人がいるのに名古屋でおりちゃった」「わかっちゃったけど言わない」「イヤだけど言わない」いろんな事に「まぁいいか…」ってゆるゆる流されながら生きていく人達。いいんだけど、楽なんだけど、仕方がないのかもしれないけど、もうちょっと何とかしてもよかったんではないかしらねぇ。と眉間にしわ寄せてしまいます。自分の中にあるそういう部分が嫌いだかでしょうかね。

「ニート」Not in Employment, Education or Trainingの略。「元はイギリスの労働政策に用いられる語で、近年、日本でも「ニート」の語は用いられ、失業者でもフリーターでもない人をさすようになった。」ってあります。ニートって聞くとどうも英語のneatが思い浮かんで「きちんとした」イメージを持ってしまうのです。

「夏のロケット」川端裕人

2005年12月22日(木) 14時00分
夏のロケット
川端 裕人
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高校時代、火星に憧れ、「天文部ロケット班」でロケットの打ち上げ実験に熱中していた主人公の高野。 社会人となった今は新聞社で科学記事などを書いている。過激派のミサイル爆発事件の取材で同期の女性記者芦川純子を手伝う事になり、現場写真を見てみると、見覚えのある部品が写っていた事から、高校時代の仲間が関係しているのではと考える。果たして彼らと事件とは関係があるのか…

高校の時の天文部ロケット班のメンバー。理論的なリーダーで、ロケットの設計図を引く、現在は宇宙開発事業団で働く「教授」こと日高紀夫、いつも汚れた白衣を着ている物作りのプロ、現在は大手特殊金属メーカーで新素材の開発をする・清水剛太、成績優秀な医者の息子、現在は歌手であり事務所を経営する氷川京介、体育会系の身体に強引な話術、現在は一流商社に勤めるの北見、そして文章力からロケット班の広報担当となり、現在は新聞記者の高野。この5人が一度はあきらめた高校時代の「火星に行く」夢の為に一生懸命になる。

荒唐無稽で(本の中でこの文字が2回出てきた)、リアリティの欠片もない。高野以外の4人はヘリコプターの操縦は出来るし、宇宙服を買いにロシアまで急遽飛んだり、その宇宙服を着て自分達が作ったロケットに乗る人まで登場するんだから。だけどそんな事はどうでもいいのです。

「ネクロポリス」恩田陸

2005年11月19日(土) 22時32分
オンライン書店ビーケーワン:ネクロポリス 上オンライン書店ビーケーワン:ネクロポリス 下

死者に会える場所、アナザーヒル。そこに一年に一度ヒガンの時期に訪れ、昔からの決まりを守りながら、死者「お客さん」と出会うのを楽しみにしているV.ファーの人達。東京大学で文化人類学を研究しているジュンが初めてヒガンに参加する事になった。未知の不思議な世界に半信半疑なジュン。

一晩ナローボートにゆられ、水門を通らなければ行けないアナザーヒル。そこはいつも雲に覆われていて自分の影が薄い。「お客さん」に出会いやすくするために設計された家や街並み。それらを見て驚き、感心するジュンの姿を読みながら、一緒にアナザーヒルの不思議な世界に入り込んでいきます。

「西の魔女が死んだ」梨木香歩

2005年11月05日(土) 20時57分

「西の魔女が死んだ」ママのママでイギリス人のおばあちゃんが亡くなった。おばあちゃんの家に向かうまいは二年前おばあちゃんの家で過ごした1ヶ月を思い出していた。

中学2年生の5月。学校に行きたくなくなったまいはおばあちゃんのところに預けられます。イギリス人のおばあちゃんは日本に英語を教えに来ておじいちゃんと結婚したのです。今はおじいちゃんも亡くなり、一人でのんびりと田舎暮らしをしています。おばあちゃんは自分が魔女で、まいにも魔女になる素質はあるというのです。朝7時に起きて午前中は家事や畑仕事、午後は勉強、そして11時に寝る生活。野いちごを摘み、ジャムにする。たらいの中で足で踏んで洗濯をする。朝起きたら鶏小屋から卵をとってくる。そんな生活の中でおばあちゃんから色んな事を教えてもらう。

おばあちゃんが言う言葉がすごくいいのです。「一流の魔女になる為には自分の事は自分で決める」「疑惑とか憎悪に心を支配させてはいけない。そういうエネルギーはひどく人を疲れさせる」あぁそうなんだって思えることがたくさんありました。

「2005年のロケットボーイズ」五十嵐貴久

2005年09月17日(土) 16時54分
2005年のロケットボーイズ
五十嵐 貴久
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工業高校に通う17歳のカジシンこと梶屋、急性アルコール中毒で倒れた事を学校に知られてしまい、退学にしない変わりにキューブサットを作るように言われる。もともと文系なのに工業高校に通ってるカジシン、おちこぼれなのでキューブサットがなんなのかも全くわからない。そんなカジシンが友人たちと一緒に過ごす一年。

登場人物がいい。何事にもなげやりなカジシン。パチプロのドラゴン。ムードメーカだけど運のないゴタンダ。頭はいいが友達がいない大先生。ダブリで典型的な悪の翔さん。カジシンのファーストキスの相手、美少女の彩子とオタクで彩子のファンのオーチャン、ひきこもりの天才レインマン。カジシンの倒産寸前の工場を守る職人気質のジジイ、数年間ひきこもってる父親、そんな父親に愛想をつかして家を出て、食事だけ作りに来る母親。それぞれすごい能力を持ちながらも、マイナスになる部分が多くて世の中に上手には適応していない。だけどそんな寄せ集めの彼らがそれぞれの個性を生かして、マイナス面を周りのフォローで少しずつなおしながら、お金も、技術も、時間もないのにキューブサットを作り上げる。誰かがくじければ、誰かが励ます。誰かが失敗すれば、誰かがフォローする。読んでいて元気が湧いてくるような本でした。

タイトルに「2005年」って入ってるくらいなので、今現在の歌手や俳優(韓国)や流行のものの名前が沢山出てくる。10年たって読んだら懐かしいんだろうなぁって思った。そしてカジシンが考えてる事や、台詞に有名な漫画やドラマや映画の台詞が沢山登場する。あっみつけたーって感じで面白かった

「泣かない女はいない」長嶋有

2005年09月06日(火) 13時19分
泣かない女はいない
長嶋 有
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「泣かない女はいない」
物流会社で働く事になった睦美。同棲している彼がいる。職場の同僚に適当な距離を置いて仕事し、ついたあだ名は「観音様」ある日、倉庫で働く樋川さんが気になるって気がつく。そんな会社での人間関係の話。

会社の人間関係って、そこに属している間は毎日会い、話をし、もしかしたら家族よりずっと自分の事を知ってる人達なのに、辞めた途端に全くの他人になってしまう。そんな事を考えた。

「センスなし」
本当に普通の主婦の何もない一日。夫には恋人がいる。昔の懐かしい曲聖飢魔Uを聴いていたら、その頃の懐かしい友達から電話がかかってくる。高校時代の懐かしい記憶、夫への気持ちなど、保子が一人でダラダラと考えている事が時間を追って書かれているだけ、といえばそれだけ。

保子が思い出す高校時代。ウォークマンでテープを聴いてる。メタルのテープだとか、鉛筆をカセットの穴に差し込んでくるくる巻くとか懐かしかったなぁ。

二つの話とも、一人の女の人の普通の日々をきっちりと文章にしている。誰かの人生がその人の気持ちと一緒に覗けるテレビ番組って感じ。そして見ているテレビが突然消えるように、物語が突然なんの結論もなく終わります。野心がある訳でもなく、自分に起こる出来事をゆるりゆるりと受け入れる女の人。感情表現が上手じゃないのかなぁ。淡々としてるから、読んでる私ものんびりした気持ちになった。

初出を見たら「泣かない女はいない」…「文藝」2004年秋号「センスなし」…「文藝」2003年夏号「二人のデート」…書き下ろしって書いてある。「二人のデート」が見当たらない??って思ってよくよく見たら、図書館で借りた私には絶対に楽しめない場所に「二人のデート」が書いてあるじゃないですか!これは本屋さんにいって立ち読みしないと。だけどかなり怪しい人になりそうだ。

「ななつのこ」加納朋子

2005年08月08日(月) 22時12分
ななつのこ
加納 朋子


十九歳、短大に通う入江駒子。「ななつのこ」という本を買い、著者の佐伯綾乃にファンレターを書くことにした。ファンレターに自分の周りで起こったちょっと不思議な出来事を書いたら、佐伯からその不思議な事件の謎解きをした返事が届いた。

なんだかもの凄くもったいない本です。本の中に出てくる「ななつのこ」がちゃんと一つの物語として出てくるのです。泣き虫で、おっとりしてるはやて少年が自分の周りで起こった不思議な出来事を、近くにあるサナトリウムで療養中のあやめさんに話す。話を聞いたあやめさんは謎解きをしてくれる。

その「ななつのこ」の話を7話の短編の出来事にうまく絡めながら物語が進んでいきます。全部で14話の話を読んだような気分。誰かが死ぬわけでもなく、二十歳前の女の子がのんびりと日々の生活を楽しんでいる。どこにでもいそうな女の子が出会う、ちょっと不思議な出来事。ゆっくりとした時間が流れる、素敵な本でした。

続編もあるらしい。読んでみようかなぁ。だけど、最近主人公が若い女の子の本がちょっと苦手。うわー甘いって思って恥ずかしくなってしまう。主人公に感情移入できなくて、さめた目で見ている。主人公が男の子だとそうでもなんだけど…どうしてだろう?

「夏と花火と私の死体」乙一

2005年07月28日(木) 20時40分


夏休み。9歳の五月は友達の弥生に木の上から突き落とされて死んでしまう。死んだ五月の視点で死体を始末する弥生と兄の健、まわりの人達が語られる。

タイトルからしてなんだけど、ちょっとぞくっとする夏にぴったりの一冊。乙一さんのデビュー作だそうです。

死体が見つからないようあちらこちらに移動させる健と弥生の二人。見つかりそうになった時のハラハラする感じ、緊張感がすごくよく伝わってきました。いつも冷静で、死体が見つかりそうになると「ニヤリ」とする健がもの凄く恐ろしいって思っていたのに、その健なんてかわいいものだと思えるようなラスト。

もう一つの短編「優子」作家の家にお手伝いとして住み込む清音。奥さんの優子は部屋から出てきた事がなく、夫婦の部屋の扉はいつも閉まっている。

なんだか最後まで読んで、ちょっと意味がわからなくて読み直してしまいました。誰を信じたらいいんだろう?

「ナナイロノコイ」

2005年07月08日(金) 18時40分
ナナイロノコイ―恋愛小説
江國 香織
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ドラジェ(江国香織)
そしてふたたび、私たちのこと(角田光代)
帰れない猫(井上荒野)
これっきり(谷村志穂)
ビルの中(藤野千夜)
くらげ(ミーヨン)
手のひらの雪のように(唯川恵)

アンソロジー。恋愛小説とはあるが、恋愛話半分、女の友情話半分だった。7人の作家さんたち、初めて読むのは井上荒野とミーヨン。「そしてふたたび、私たちのこと」は短編なのになんだか長い物語を読んだような気持ちになった。「手のひらの雪のように」は途中でラストが予想出来たが、きちっと恋愛小説で読後爽快感!「くらげ」は文章が今まであまり読んだ事のない不思議な感じ。誰の想いなのか、現実なのか映画の中なのか…めまいがしたがそれが狙いなのかしら?


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