「そら色の窓」佐々木美穂

2006年02月28日(火) 21時45分
そら色の窓
佐々木 美穂
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イラストレーター佐々木美穂さんのエッセイ。

次男と行った近所の図書館。恐竜の本に夢中になる息子をおいて、図書室内(小さな分館で児童書が沢山あって図書室って雰囲気なんです)をブラブラ。きれいな水色の表紙がきれいだなぁと手に取りました。うん。正解。

暮らしの中で見つける幸せや過去の記憶。そんな事がゆったりと書かれています。毎日あわただしく生活してる自分を反省。

「満月の夜」が印象に残りました。「もうすぐ満月だね」そういうことを気にして暮らしてる人が、私の周りにはわりといる。と佐々木さんは書いています。私も満月の夜は好きです。電気がついてるかのように明るいんですよね。だけど7月初めの満月だけは切ない気持ちになるんです。私の子供は二人とも6月の中旬生まれ。慣れない育児の不安が子供にも伝わるのか、泣いてばかりだった長男。満月の夜中3時頃。真っ暗な部屋で布団におろすと泣く子供を抱きかかえながら「世界中で起きてるのは私だけなのかもしれない」って不安に途方にくれながら、窓からさす月の光を見ていました。今考えてみたら、夜眠れなかったら昼間眠ればいいのに…って笑っちゃうんですけどね。本当に余裕がなかったんです。満月の夜はそんな日々を思い出します。佐々木さんが本の中で紹介してる映画「満月の夜」を見てみたいと思いました。

佐々木さんの文章と一緒にイラストやコラージュが載ってます。線はまっすぐじゃなくて、時々にじんでる。色は全体をぴっちり塗ってるわけじゃなく、はみ出してたり、隙間があったり。そういうのがセンスなんでしょうね。

「さよなら妖精」米澤穂信

2006年02月26日(日) 22時40分
さよなら妖精
米澤 穂信
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1991年4月。高校3年生の守屋と太刀洗は、雨宿りをしてたユーゴスラヴィアからきた17歳の少女マーヤと出会う。日本の事を勉強する為に知人の所に滞在するはずだったのだが、その知人が亡くなっていて途方にくれていた。守屋たちの同級生、白河のところに居候をすることになったマーヤ。マーヤが去った1年後、消息を知りたいと集まった守屋達はマーヤと過ごした2ヶ月を思い出す。

主人公の守屋は熱中するものもなく淡々と生活する高校生。女を感じさせない気楽な話ができるセンドーこと太刀洗や弓道部の友達以外、友達と呼べる人は数少ない。そんな守屋が出会ったマーヤ。自分たちの国「ユーゴスラビア」を作ろうと世界を旅して回り、日本に滞在する2ヶ月の間に日本について知ろうと、メモを片手に色々質問します。夢中になれるものを持っていない守屋。ちょっと冷たい雰囲気のセンドー。「自分の手の届く範囲の外に関わるのは嘘だと思う」と言う文原。優しい白河。ちょっと高校生にしては知識豊富で大人っぽい部分もあるけど、みんな一生懸命なのが素敵。これ青春物ですよね?ラスト、こうなるんだろうなぁと予想できる範囲でしたが、それでもじんわりと哀しかった。

設定が1991年から92年。携帯は金持ちの持ち物、インターネットもなかった。そんな時代が懐かしくなる物語でした。設定が現代だったら「はぐれた時には携帯で連絡」だなぁとか「調べ物するにはネットで検索」だなぁとか「手紙書くねじゃなくてメールするね」になるんだろうなぁって思いながら読みました。

「執筆前夜」

2006年02月25日(土) 23時45分
執筆前夜―女性作家10人が語る、プロの仕事の舞台裏。
CW編集部
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作家を目指す人、クリエイターとしての活動の幅を広げたい人達に向けて、プロの作家から創作のヒントや、仕事の舞台裏について聞く為にスタートしたWeb連載を本にしたもの。

作家になりたいって思ったこともないのですが、好きな作家さんの名前が沢山登場してたので読みました。

10人の方に「作品を書くきっかけ」「デビューの経緯」「書き続けるこつ」などを質問しています。物を書くことを仕事にしている人達だからでしょうか、みなさん自分をキチンと知っていて、仕事である「書く」事についてちゃんと考えてる。「書き続けるこつ」は作家を目指していなくても、生きていくうえで大切な事なんじゃないかなぁと思いました。

そんな訳で印象深かった言葉をピックアップ。

恩田陸
気持ちのいいお話は、だいたいもう何パターンかにきまっている…だから、あとはもう演出をどう変えるかだけだと割り切っているんです。

三浦しをん
出版社の就職試験の時に書いた作文がきっかけでエッセイを書き始めた。それが「しをんのしおり」人間は締め切りがないとだめ。

角田光代
「エコノミカル・パレス」以前は「私」と「見えるもの」一枚の絵だったけど「空中庭園」からは彫刻みたいに、足りないものは別の世界から持ってきてつける。作業が全く違う。忘れるような事はたいした事じゃない。覚えている事を大切に。

酒井順子
締め切りを守る。まあいいや、とか思わない。

加納朋子
「ななつのこ」は北村薫さんへのファンレターのつもりで書いた物語。投げ出してしまったら、それきりで終わってしまう。

「空を見上げる古い歌を口ずさむ」小路幸也

2006年02月10日(金) 21時10分
空を見上げる古い歌を口ずさむ
小路 幸也
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10歳の息子・彰が「周りの人の顔がのっぺらぼうに見える」と言い出した。僕は18歳の時家族の前から姿を消した兄が言った言葉「いつか、おまえの周りで、誰かが『のっぺらぼう』を見るようになったら呼んでほしい」を思い出した。20年ぶりに再会する兄が語る子供の頃に出来事。

パルプ工場で働く人達のために町「パルプ町」。昭和40年代後半、恭一が小学校5年生の夏に、熱を出してから周りのみんなの顔がのっぺらぼうに見えるようになった。そして町では友人が行方不明になり、突然人が狂暴になったり、死者がでたりする。

なんだか恩田さんの「エンド・ゲーム」っぽい。あぁ、こっちのほうが先なのか?いや、「光の帝国」の中の「オセロ・ゲーム」が先か?まぁ、そんな事はどうでもいいんです。なんだかまた「誰が正義で誰が悪なのか?」「何の為に存在するのか?」って考えてしまいました。

昭和40年代後半の風景。携帯もテレビゲームもない時代。なんだか懐かしかったです。仮面ライダー自転車に乗って、小学校に上がる前なのに親の付き添いなしで公園に行ってました。今、自分の子供にはそんな事させられないなぁ。物騒な世の中ですね。

「さまよえる天使」柾悟郎

2006年01月31日(火) 19時00分
さまよえる天使
柾 悟郎
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一般人の300分の1の速度で生きる人達と、それに関わる人たちの7つの物語。

私、なんでこの本を借りたのでしょうか?新聞で見たのかなぁ?どんな本なのかの予備知識がないまま読み始めました。いやーすごくよかった。不思議な世界に入り込んでしまいました。

普通の人の300分の1の速度で生きる一族「静物の人」。「エピファイト(着生植物)」って呼ばれたり「カタトニック」と呼ばれたりする。1歳年をとるのに300年かかるので、90歳に年をとるうちに、世の中では2万7千年の時が流れているのです。一度目をあけたら閉じるのにも時間がかかる。だから普段は目を閉じたまま人形のように生活をする。思考能力は普通の人と同じ速度。栄養を取るため植物と共生したり、体を鉱物に変化させたり、クーロンを作ったり、ヘルパーになる人を見つけてお世話をお願いしたりします。一般人との会話は脳内に直接働きかける。いろんな場所で、眠るようにして周りで起こる事を見てるのです。

そんな「静物の人」と一般人の出会いを書いた物語なんですが、時代も場所も色々。少し先の日本だったり、アメリカだったり、中央アジアだったり。ちょっと先の事なんてわからないけど、きっと世の中そんな風になりそうだなぁって思えるような設定。「静物の人」たちもその時代、その場所で呼び方が違うし、生き方も違う。そんなのも長い長い時間生きてたら、各地方での言い伝えとして呼び名が違ったり、その場所にあった生き方を工夫するんだなって納得してしまった。

色んなタイプの物語。ちょっと恐ろしいのもあるし、どこに「静物の人」が?って思えるようなのもあります。そしてラストの物語で長い目で見た一族の話がわかる。私が出会っていないだけであって、そうやって生活する人達は確実にこの世の中にいるんだって思ったりして。入り込みすぎ?

「ショートカット」柴崎友香

2006年01月28日(土) 21時47分
ショートカット
柴崎 友香
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20代前半の大阪の女の子の普通の日をそのまま文章にした4つの短編。

主人公に共通するのは大阪に住む20代前半の女の子。好きだった人は東京にいる。新幹線で3時間、近いようで遠い場所。そんな事が共通してるのかな。本当にある女の子の合コンの話だったり、一緒に居ると楽しい男の子との帰り道だったり、どこにでも、今この瞬間にでもどこかで起こっていそうな物語です。四捨五入すると40歳になってしまう(恐ろしい)私には「あぁ、そんな事もあったよなぁ。一瞬、一瞬が楽しかったなぁ」とただただ懐かしい物語です。

文章はすごく柴崎さんらしいです。主人公が今思ってること、今見えてる景色がただ淡々と文章になってる。なんとなく映画っぽいんですよね。後までずっと心に残る物語ではないと思うけど、読み心地がいいです。原宿駅から表参道を246までの道は知ってる道なので景色が見えます。どこを歩いてるのかがよくわかる。って事は大阪の人は街の風景が見えるのでしょうね。

そしてすべて読んでみて気がつきました。どの話にもなかちゃんが登場する。順番は前後するんだけど、なかちゃんの一日の行動がわかるのです。この日、なかちゃんはマリーナで女の子二人を撮影し「パーティー」合コンで酔っ払い「ショートカット」手を切って救急車に乗り「やさしさ」東京に住んでる友達に電話をかける「ポラロイド」んです。なかちゃん、一日お疲れ様でした。

東京と大阪、日没の時間が30分違うそうです。鳴くセミの声も違うらしい。物語が「夏」だったのが少し残念でした。夏に読めばよかった。 

「砂漠」伊坂幸太郎

2006年01月23日(月) 22時25分
砂漠
伊坂 幸太郎
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仙台の大学に入って最初のコンパ。遠くからみんなの様子を見ていた北村に声をかけてきた、鳥みたいな頭でお調子者の鳥井。不思議な能力を持つ南、愛想のない美女の東堂、前進あるのみの西嶋、5人の大学生活。

大学時代ってホントくだらない事が面白かったなぁって思い出しました。合コン、学食、休講、麻雀(したことないけど、男子は授業も受けずにやってましたね)帰り道のお買い物。懐かしいなぁ…携帯電話があまり登場しないのもなんとなく自分の学生時代を思い出せてよかった。

だけど、私にしては珍しく3日間もかけて読んでしまいました。なんだか「鴨とアヒルのコインロッカー」と「魔王」がチラチラする話で、先が気になるって気持ちが全然もてなかったのです。途中でなんでだろ?伊坂さんってだけで期待しすぎたのかな?とか色々考えました。主人公の北村君が好きじゃなかったからかもしれない。ボーリング場とか夜の張り込みとか、北村は周りの状況から「やばいかも」ってわかってるのに流れに身を任せる。それが許せなかった。鳥瞰型だから仕方ないんですかね?私もどちらかというと鳥瞰型だからかなぁ。

「春」からの時間のずれを変って思いながらも見破れなくて、色んなところで文章に引っかかっちゃったのもいけなかったのかもしれない。「冬」の終わりまでなんだかとても退屈だったんです。「セドリック」あたりからは読む速度が加速しました。(遅いって!)時間のずれの意味がわかってからもう一度読み返してみると、もやもやしてた部分が全部そのせいだってわかって、2度目のほうが楽しめました。

「女王様と私」歌野晶午

2006年01月20日(金) 23時03分
女王様と私
歌野 晶午
4048736280

主人公真藤数馬は無職で引きこもりでロリコンで、話相手は人形の妹「絵夢」だけ。ところがある日、女王様のように我侭な「彼女」に出会ったことで事件に巻き込まれていく。

うーん。歌野さん始めて読みますが、どうなんだろう?選択間違えましたか?「葉桜の季節に君を想うということ」を先に読んでみるべきだったでしょうか? 色々書くとすべてネタばれになってしまうようで、書けないのですが、こんな設定ありなんでしょうかね。

文章はすごいって思います。主人公の真藤さんがどんな人なのかが少しずつわかってくるのです。え?44歳なの?え?デブなの?え?ロリオタなの?って自分の中でイメージしてる真藤像をちょっとずつ修正しないといけない。

そして、想像上の妹絵夢の言葉使いがすごい「なにぃ。それぇ。ふるぅい」「おにぃちゃん大変だぉ」「ゎたしは」ですから。中学生が書くブログでは自分のことを「ぅち」2回を「A回」って書いてあったりします。なんでわざわざ○をつけるのかが理解できない私は親の年代なんですね。メールもこういう文章なんですかね?中学生の子供を持ってる人に聞いてみようって思いました。

登場人物がリアルなんです。主人公は最近世間を騒がせてる事件の犯人の一人の事なのかもしれないって思えます。世の中にはこうやってゲームをリセットするように、自分のしたことなかった事のようにしてしまう人。そして後半部分に出てくる親子。バカ親なんです。子供のために何でもしちゃう。何でも許しちゃう。いるんですよね。

いつもだったらカバーをびっちりとシールしてる図書館の本なんですが、今回は裏表紙に書いてある文章を全部見せる為にカバーの端を切ってあります。ってことは、この裏表紙にも意味があるのか?って途中で読んだのですがその時には気がつかなかった。読み終わってから読んだら「あぁ!」って思いました。

「精霊探偵」梶尾真治

2006年01月17日(火) 19時50分
精霊探偵
梶尾 真治
4104402028

事故で妻を亡くしてから引きこもりの生活をする新海。事故前後の記憶は曖昧で、人についている背後霊が見えるようになった。マンションの1階にあるレストラン「そめちめ」のマスターには自分の母が、ママには父親が憑いてる。背後霊の話を聞いて小さな問題を解決していた新海のところに、失踪した妻を捜して欲しいと依頼が来た。

梶尾さんの本初めて読みます。「黄泉帰り」(映画も見ていないけど)の人なんですね。

面白い設定です。人についた背後霊と会話して事件の真相を解明する。普通の人にはいい背後霊がついてるけど、ホームレスの男の人にはいい背後霊のほかに邪悪な背後霊が二つも取り憑いている。だから不幸ばかり起こってホームレスをしてる。母親が急に虐待を始めたのは、母親に憑いた黒猫が娘にやきもちを焼いてるから。なんとなくあるのかもしれない…って思えます。子供の頃京都の叔母が「去年娘に猫の霊が憑いて般若心境を読んだら出て行った」って言ったのを聞いて、うわー大人になったら般若心境を覚えておかなければいけなんだ!って思ったのを思い出しました。

猫が憑いた母親に虐待されていた小夢ちゃん。新海に助けてもらったお礼にと探偵助手を務めます。このチビ探偵がよく働くのです。小夢がいなかったら事件は解決しなかったのでは?

舞台は熊本です。小夢はラーメン屋で豚足を食べるのが夢だったそうですが、二人が入ったラーメン屋に「豚足」ってメニューがあります。茹でたものを火で炙ってるって。豚足といえば焼き肉屋で茹でた足にコチュジャンをつけてあるのを食べる夫を眺めるだけです。熊本ではラーメン屋で豚足を売ってるのでしょうか?

ミステリーなかと思ったら後半部分はSFの方向に話が行きます。で、ラスト。え!そうなの?あぁだから「精霊探偵」なのかって思いました。もう一度最初から読んでみるとあの場面も、この場面も、この台詞もそういう仕組みなんだって納得です。

「作家の読書道」

2006年01月11日(水) 22時38分
作家の読書道
WEB本の雑誌
4860110536

現在活躍中の作家さんたちに、子供の頃に出会った本、影響を強く受けた作家の本、最近読んで面白かった本などについて尋ねたインタビュースタイルの本。

登場する作家が豪華です。恩田陸・伊坂幸太郎・本多孝好・大崎善生・角田光代・歌野昌午・貫井徳郎・綿矢りさ・北方謙三・北村薫・みうらじゅん・戸梶圭太・金原ひとみ・藤田よし永・村山由佳・長嶋有・吉田修一・森絵都・逢坂剛・椎名誠・金城一紀・垣根涼介・岩井志麻子・奥田英朗・東野圭吾・あさのあつこ・唯川恵・横山秀夫・石田衣良・小川洋子の30名。それぞれの人が気になる本、好きな本の名前をあげてるので、私の「読みたい本リスト」が増えるばかりです。

子供の頃には江戸川乱歩シリーズをよみ、それからアガサ・クリスティ、エラリー・クイン。日本の作家さんなら赤川次郎。そして村上春樹に村上龍なんかが多くの人が若い頃に読んだ本としてあげていました。

森さん、吉田さん、戸梶さん、貫井さんなど同い年の作家さんが多いことに驚きました。歌野さん貫井さんの本を読んでみたくなりました。
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