麦ふみクーツェ

2006年03月01日(水) 12時48分
ふめよ、ふめ、ふめ、麦ふみクーツェ。


いしいしんじ著「麦ふみクーツェ」を1月ごろ読んだ。

ガルシア・マルケスの短編を読むような感じ。
おもちゃ箱をひっくり返したようなにぎやかさ。
でも派手ではなくって、シンプルなあたたかみを感じる。
ものすごくはまって、一気に読んだ。
ハンディを負って生きている少し
「普通」からずれている人たちが
困惑したり事件に巻き込まれたりしながらも、
まっすぐに楽しげに生きている様子。
おとぎ話みたいなその物語を読んでいるうちに
人間のあたたかさ、親から子へ孫へと紡がれる
命の流れ、そういったものが心に押しよせてきて
胸がいっぱいになりました。

特に好きなのはチェロの先生と売春宿のくだり。
そしてもちろん主人公の指揮者デビューを伝える
新聞記事とかも。

ネコで借りたんだけど即効で購入。
久々にいい日本人の書き手に出会えて幸福です。


原作の力、ことばの美しさ

2005年12月14日(水) 9時22分
高校2年生の頃、1年間ほど通信添削を頼んでいた。
怠惰な自分にとっては、まったく無駄な時間と
貧しい家計から大切なお金を浪費するだけに終わり、
学力向上にはまるで役に立たなかった。
(まさか、後年その会社でアルバイトをすることに
なるとは思わなかったが、それはまた別の話。)
本気で取り組みさえすれば、
その通信添削にしろ、ラジオ講座にしろ、
かなり役に立つものだったろうけれど、
いかんせん、僕は自分で勉強する意志薄弱だったんだろうな。
もったいない話だ。

けれども、その通信添削をしていたことで、
ほんの一つだけれど、素晴らしい出会いがあった。
そのことだけには、ほんとに感謝したい。
英語のテキストの中の、とある一頁。
不思議な文章だった。
物語の主人公が、内海を越えてたどり着いた島にある庭園の一角で、
全くの沈黙の中、光や風の言葉を理解し、
すべての存在の意味に目覚める。
そうして、また一瞬にしてそれが消え去って行く、
奇跡のような時間を表現した、とても美しい文章。

それが、アーシュラ・K・ル=グウィン著、
「アースシー(多島海)のゲド」。
邦題「影との戦い ゲド戦記1」と名付けられた小説の
ひとこまだった。

読みたい読みたいと思いながら、
実際にその本に巡り会えるまで9年もかかった。
それから何度も読み返し、
いまもって感動が深まる、
素晴らしい出会いであった。

ジブリの映画化にあたって、
ストーリーの改変やキャラの人種の変更などは
あってもしかたがないかと思う。
ただ一つ願うのは、原作の空気、その美しさ、静謐さ、
それだけを守ってほしいということだ。
「銀河鉄道の夜」のアニメ化で、
キャラクターが猫になってても誰も文句を言わないのは、
その文章の美しさを絵で表現していたからでしょう。
「ゲド」にもそれを望みます。

最近読んだ本

2005年09月20日(火) 13時36分

佐治芳彦「義経の正体」KKベストセラーズ

非常に納得できる義経論であった。
以前から義経について感じていたことを
しっかり解説されてすっきりとした。
堅苦しくなく、分かりやすい中世史の書でもある。
ちょこっと引用してみよう

♯「義経記」には、もう一本の糸が通っている。
それは、遊女(常磐)、白拍子(静)、修験者(山伏・天狗・弁慶、常陸坊海尊)、
タタラ(金売吉次)、マタギ(鷲尾義久)、山賊野盗(伊勢義盛)など、
山の民の系列である。

ね。これ読んで面白いと思った人にはオススメです。
義経という時代を変えた風雲児のパワーの源、
そしてそのベクトルの方向や、政治の動きまでひっくるめて、
かなり大胆に解説してあります。
正解かどうかはともかく、一読の価値ありです。

+++++++++++++++++++++++

山口遼子「小笠原クロニクル」中公新書ラクレ

戦後23年間にわたり米軍に占領されていた島、小笠原。
大航海時代に発見され、1830年には欧米系の住民がすみつき、
日本領とされるまでは誰の支配も受けず税金もなかった島、小笠原。
太平洋戦争末期に住民は強制的に本土へ疎開させられ、
戦後すぐに帰島を許されたのは欧米系の住民のみ。
日本への返還は実に1968年(昭和43年)6月26日のことであった。

小笠原に興味を持った一人の女性ライターが、
島に通い、島の人々の生活・歴史を聞き書きした書。
読み進むのが少々ダルいが、そんな歴史を持った島だとは
まるで知らなかったので面白かった。
いつか行ってみたい島ではある。

「好き好き大好き超愛してる。」

2005年08月25日(木) 0時55分



舞城王太郎「好き好き大好き超愛してる。」
お盆頃のどっかで読了。
正直、読むんじゃなかった、時間の無駄だった。
舞城王太郎、二度と読むまいぞ。

蒲公英草紙

2005年07月21日(木) 21時08分



恩田陸「蒲公英草紙−常野物語」読了。
そうこれもまた常野物語。名作「光の帝国」と同じく、
特殊な能力を持つ常野一族の物語です。
そうはいっても続編というわけではなく、
今回の舞台は19世紀から20世紀へ変わろうとする、
まさにその時代の東北地方だ。

村一番の名家「槙村家」の隣に住む医者の娘として生まれた峰子、
通称「ねこ」は、体が弱くて学校へ行かれない聡子お嬢様の
話し相手に選ばれる。
その頃槇村家に不思議な一家が客人としてやってきた・・

****************

女性の一人語りという
とっつきにくい文体だけれど、
書かれている内容は平易で、
そしてところどころ深いです。
とくに、これから職業を決める人、
社会人になる前の少年・少女に読んでもらいたい。
働くということはどういうことなのか。
才能とはなにか、天職とはなにか。
自分の才能についての責任について、
しっかり読んで考えてほしい。
素直な目で世界を見、
耳をかっぽじいて周囲の意見を聞き、
気になる本があれば何度でも繰り返し読んでほしい。
この本は、それに足る本だよ。

そしてまたこの国の将来を思う全ての人にもすすめたい。
自分たち、一人一人がこの国をつくり動かすのだということ。
それを知ってもらいたい。

「峰子さんだって、同じだよ。みんな一緒に作っていくんだよ。そうでしょう」

峰子は俺で、君で、あなただ。
聡子お嬢様も、春田姉弟も、廣隆君も、みんな俺らだよ。
よりよく生きることといい国をつくること、
それは同じことなんだと気づかせてくれる一冊です。

「ちょっとピンぼけ」

2005年07月13日(水) 22時10分

ロバート・キャパ著「ちょっとピンぼけ」読了。
キャパの自伝・・かと思ってたのだけど、
第二次世界大戦に写真家として従軍した数年に限っての
エッセイというか私小説だね、これ。
キャパ自身が描くちょっと漫画チックな「キャパ」よりも、
あとがきで友人たち特に川添 浩史氏が書き記す「キャパ」、
いやさ「アンドレ・フリードマン」の姿に泣かされる。
青春時代、パリで共に同じ何かを追い求めた二人が、
戦争によって母国が敵・味方に分かれたこと。
そして戦後、何年もの後に再会し、変わらぬ友情を確かめ
あったのもつかのま、インドシナにて爆死したこと。
日本を訪れ、被写体天国だと狂喜したというキャパ。
その日本の美しさを、自分も少しでも記録できたらな、
と思うよ。
そして、彼らが追い求めた「同じ何か」を、
おいらも追いかけらたらな、と思います。

アーマーゾーーン

2005年06月07日(火) 2時08分

横田増生 著「アマゾン・ドット・コムの光と影」読了。

元、業界紙の編集長だった著者が、確実に成長を続ける
アマゾン・ドット・コムの取材をするために、
アルバイトとして雇われ、物流センターでの
発送作業に従事する、という内容。
内情を知るためには物流から知るのが一番だ、
ということらしい。

そこそこ、いや、かなり面白い。
もっとも出版界に興味のない人には
なにがそんなに面白いのか、と思うだろうけど。
アマゾンの内情ももちろん面白いのだけれど、
それ以上に、日本国内での本の流通の仕組みについて
かなり勉強になりました。
単に図書館員になりたかったというだけでなく、
教科書出版会社で出荷のアルバイトをした経験に
照らし合わせて、納得いく内容でした。

どうでもいいが本気で日記の更新 「劫尽童女」

2005年05月18日(水) 1時18分



恩田陸「劫尽童女」

優秀な科学者だった父親に遺伝子を操作され、
人間でありながら動物並の嗅覚・聴覚・身体能力、
さらに恐るべき能力を持たされた生ける兵器、
伊勢崎遥が、自身の能力や生きている理由に
疑問を持ちながらも、自分の居場所・指名を獲得する物語。


無条件に面白かった!
いわゆるSF的なおとぎ話なんだけど、
そのせいかな、今までの恩田陸の文体とちがう気がした。
恩田陸くささが抜けて、一般的なエンターテイメント小説
という感じだった。
花村萬月の「紫苑」もこんな内容だったが、
もっとスケールでかいです。
そして圧巻のラスト。
素直に感動した。
ああこれは「球形の季節」の、全てを焼き尽くす恐怖に怯えてた
あの少女の物語の発展形なんだな。

作者によれば、70年代の少年少女SFのつもりらしい。
「時をかける少女」とか「夕映え作戦」とかね。
もっとちゃんと現代的です。
というかライトノベル的。
なので、遥の苦悩だとか、パートナー(?)の
アレキサンダーとのからみだとか、
文学的な深さを追求する人からすると、
ちょっと物足りないかもしれません。

文庫になるまで待ってしまったけど、
もっと早く読めばよかったかな。
物足りない部分もままありますが、
面白い小説を探してる人には満足していただけるかと思います。
犬も出るし。

どうでもいいが無茶苦茶な更新の続きその3 ハイム・ポトク「選ばれしもの」

2005年05月17日(火) 23時48分

「ちびっこさん」がニューヨークで敬虔なユダヤ人を見て驚かれていたので、
思い出してハイム・ポトクの「選ばれしもの」を読み返した。
初めて読んだのはまだ10代の頃だったと思う。
ブルックリンのユダヤ人街で育った二人のユダヤ人少年の友情と、
その家族たちとの生活の物語。

主人公ルーヴィンはユダヤ教の学者の息子として生まれ、将来は司祭になりたい
のだが、わりと自由でフランクな、一般的なアメリカ人として生活している。
近所に住んでいながら全く交流のなかったダニエルは、黒っぽい服装、伸ばした
もみあげが特徴のハシドと呼ばれるロシア系の敬虔なユダヤ人。
同じユダヤ人同士でありながら、その生活習慣は大きくちがっている。
たまたま野球の試合で知り合った彼らは無二の親友となる。
ダニエルの父はツァディクと呼ばれるユダヤ教の宗教的指導者。
その地位は世襲制なのだが、あまりにも優秀に頭脳を持ったダニエルは、
父に隠れて心理学やドイツ語(ヒットラーの母国語!)を勉強し、将来は
学者になりたいと思っている。
彼の父はなぜか勉強の時間以外は全く彼と口をきこうとせず、
それを聞いたルーヴィンは全くその関係が理解できず憤慨する。
その沈黙の理由とは何か?何が目的なのか?
直接息子と話のできないダニエルの父は、ルーヴィンを通してその理由を
語りはじめるのだった・・・

うわー、これ何度読んでも泣けるわ。
悲しみ、ではない。真に感動の涙があふれて止まらなくなる。
言葉はごまかすが、心は沈黙をとおして語りかける、という
ダニエルの父の信念、それがどんなに大きな影響をこの自分に
与えたことか。
ツァディクと呼ばれる聖職者は、世界中の人々の苦悩を背負う、
父はそう信じ、息子にもそうあるように望んだ。。

キリスト教やユダヤ教に興味のない人には、とても退屈な小説かも
しれないが、おすすめします。絶対のおすすめです。

どうでもいいが無茶苦茶な更新の始まりその1 やっと帰ってこれたよ。ヒロ

2005年05月16日(月) 1時25分
こんな気分の時だからこそ出会える何かもあるわけで、、
ネット上の小説なんてまじで読む気をおこさないものだが
これだけは面白かった。(小説って決めつけとるし)
長いので読み終えるのに2日かかったけど。

「ぼくとオタとお姫さまの物語」
とりあえずとりまとめサイト
http://tana.pekori.to/tear/log/A008.html

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