週末を東京で

2009年02月25日(水) 0時47分
土曜日には、再び井の頭公園の下見をした。屋根なしならどうなるだろうか、と。予定地の測量やスケッチ。劇場の空を覆うような木はないのだが、屋根がなければ木の姿は見えるだろう。風があって結構寒かったのだが、どうも桜が咲いていたようだ。ずっと梅だとばかり思っていたのだが、札を見るとナントカサクラと書いてあった。少し寒くても公園は人でいっぱいだった。広い井の頭公園、ちょうどジブリ美術館の裏手なので、通称「ジブリの森」と呼ばれるところ。駅からは一番遠いところだ。

その後、映画「マンマ・ミーア!」を見る。久しぶりに賑わっている映画館。そして客席の笑い。すごくうれしい映画だった。実は日曜にまた見てしまったんだけど、なんといっても主演のメリル・ストリープがスバラシイ。もう60歳? シワもあるが、この人はそういうちょっとした醜さを全部プラスにして、結局輝きはじめる。いつもそういう熱い役者だ。今回ほど思い切りやっている芝居はないかもしれない。ABBAの曲、当時私は20代前半でもちろんディスコなんかにも行っていたが、あの頃はそれほど思い入れがなかったのに、歌詞を見ながら聞いているとすごくいい! よく覚えているもんだよな。名曲ばかり。でも、当時のディスコは皆が鏡に向って同じように踊っていてガッカリしたなあ。あと、暴走族華やかなりし頃だった。うれしかったのは、色んな記憶が蘇ったためもある。

そして夜、なんと昔楽市にいた女優・紫ら妃(昔は白日と書いてシラヒと読んだ)の一人芝居を見に行く。高円寺アローンは小さなライブハウスで、30人も入れば一杯になってしまう。音楽もなしの自作自演、赤い襦袢で妖しく語った。ううむ、ここまで好き勝手にやっているとはアッパレだろう。じつに10年以上の久しぶりに会ったのだった。年に4回、こうして一人芝居をしているという。なかなかできることじゃない。

展覧会に行く

2009年02月21日(土) 1時11分
このところ、展覧会にいくつか行った。

「加山又造展」(新国立美術館)
こういう工芸的な作家、好きだなあ。とくに印象に残ったのは、秋の風景。なんと華やかな秋の花々が咲き乱れているのだ。西洋美術の代表モチーフはヌード、中国は龍、そして日本は秋草と言った美術史家がいて、とても感銘を受けたのだが、こんなに明るい秋草が描かれたことはあまりなかったんじゃないだろうか。
水墨画はなんとも言えず不思議。「良い」とはよう言わんけど、エアブラシを使ったり、ホワイトを使っている水墨画なんて、「アリかい!」と、驚く。

「文化庁メディア芸術祭」(新国立美術館)
ついでに見た。というより、階を間違えて先に見た。駆け足。あまり興味を持てず。若者でいっぱいだった。 

「文字の力・書のチカラ」(出光美術館)
展覧会としては、ちょっと物足りなかったのは書の見方がまだまだわからないからだろうか。けれども、書の歴史が通覧できて興味深かった。最近、書にすごく興味がある。篠田桃紅という書家の本を2冊読んだため。私はやはり一休の書にすごいパワーを感じる。「心」という字が天地ひっくり返し、鏡文字で書かれていた。あと、白陰禅師の書とか、棟方志功の文字、池大雅とかもいい。もっともっと書が見たいと思っている。誰か一人のちゃんとした書の展覧会を見た方がよさそうだ。

「華麗 大正浪漫―渡文(わたぶん)コレクションの着物たち―」(神戸ファッション美術館)
着物というのも、まだよくわからない。柄、色、糸、織、そして形。いろんな要素が交じり合っていて複雑。

「杉本博司 歴史の歴史」(金沢21世紀美術館)
写真家、だと思う。ただし、写真よりも、考古学的な収集物の展示の方が多かった。一時ニューヨークで古美術商もやっていたらしい。なんともいえない。まったく期待せずに行って、どちらかといえば美術館を見に行ったという感じだったのだ。けれども、なにかもらった。時間があまりなくて、駆け足で見たのだが、できればもう一度見たい。世界のあちこちの海と空と水平線だけを撮った写真。最後の部屋だったし。これだけでも、大阪に来ないかな。

美術を見に行くと、不思議となにか言葉をもらう。

井の頭公園のラフレシア

2009年02月15日(日) 22時59分
今年9月の東京、井の頭公園でのラフレシアは、今までとずいぶん違うことになりそうだ。
まず、客席の屋根をなくそうと思う。今までも、舞台の上は吹き抜けだったのだが、その穴をもっと大きくして、客席の上も吹きぬけにする。
それから、照明はほとんど投光器でやろうと思う。いわゆる舞台用のスポットはほとんど使わない。つまり、照明効果をあまり期待しないということでもある。
屋根がないから雨の日は大変だが、だいたい野外というのはそもそもそんなもんだから覚悟すればいいだけだ。

屋根がないと、じつは木立なんかを客席の中に自由に入れることができる。今年の井の頭公園には木も多いのだが、その1本とか2本を劇場の中に取り込んで、公園と一体化するのも狙いの一つ。以前、中之島ではやっていたが、これでまた劇場に木が戻ってくることになる。ホント、こうすればどこでもできるなあ。森の中とか。そして、その場所に溶け込んでしまうような姿になるだろう。

投光器でやることになれば、電源もかなり節約できるし、機材も少なくて済む。音楽も生演奏だし、ドンドン原始的に、シンプルになってくるのだ。シュートはいらないし、仕込みも楽。多少、あっちを点けたりこっちを消したりするつもりなので、照明の人は必要だろう。

これはまだ検討中だが、客席後ろの壁もなくしてしまうかもしれない。
それから、音響席・照明席が、出入り口2箇所の上にブースとしてあったのだが、これも客席の後ろにひっこめることになるだろう。客席の屋根がなければそうできるし、たぶんその方が見やすい。四方のフレンチドアは残し、照明タワーもかなり低くなることになるだろう。
基本的には、舞台に池と盆。その周囲を階段状の客席が取り囲むだけでいい。

ドームテントのラフレシアがほぼ5年、それから今の透明テントでほぼ5年。今度のシンプルなラフレシアは、3代目ラフレシアになりそうだ。

ヴァールブルグ「蛇儀礼」から考えたこと

2009年02月14日(土) 0時45分
 本屋で偶然見つけた。1923年に入院していた精神病院での講演なのだが、最近、岩波文庫になったらしい。インディアンの蛇儀礼とギリシア神話に出てくる蛇などを論じている文化人類学の古典。蛇が世界中の神話に登場するのは、蛇から受ける恐怖のためで、それをヒトが解決しようとして神話化するのだという論。蛇は破壊の象徴でもあり、救いの象徴ともなる。ギリシャでは医学の象徴でもある。講演だけあってすごくわかりやすいのだが、この考えは私の芸能に対する考えと基本的に一致するし、とても刺激を受けた。

 ヴァールブルグもそうだと思うのだが、私は現在の合理主義的な文化をあまり進歩とは思っていない。現代の楽観性と虚無感は、じつは同じことの表と裏だと思う。恐怖が神話(私なら芸能というが)として共同化される代わりに、一神教以降の世界(そこから合理主義は生まれた)では不合理な感情として退けようとした。こんなことは書いていないのだが、「芸術」は、近代科学の誕生と同時に生まれたんじゃないか。たとえば、「芸術」における蛇は、もはや薄っぺらい内面しか持っていないので、本当の恐怖も救済も与えることはできない。誰も蛇の絵を見て、騒いだり踊ったりはしない。「芸術」は内面的というよりも、むしろとても「外面的」なのではないだろうか。それをヴァールブルグのように「脱魔術化」とも言うこともできるが、共同性を失った恐怖は、個人の内部で意味を失い、現代のむき出しの暴力や、現実の空虚感として噴出しているような気がしてならない。

 個人の内部で意味を失うというのは、言葉として名づけられることを失ったと言いかえることもできる。共同性を失ったということだ。だから、たとえば「占い」や「まじない」などの言葉によって、少しでも言葉を、共同性を求めようとする。けれども、その努力は圧倒的に薄っぺらでしかない。言いかえれば、本気ではなかなか信じることができない。その共同性がじつはすごく薄いからだ。ひょっとすると、「芸術」だってそのようなものでしかないかもしれないではないか。

 一神教からはじまった合理主義は、共同性を持った芸能性をどんどん失いつつある。そのもうひとつの結果が、「数」への信仰だ。典型的なのが金銭だが、民主主義における投票数、統計的な数字、支持率などの政治世界にも数というのは圧倒的な力を持っている。もちろん、経済世界にも。「数」だって、もともとピラゴラス派に代表されるような魔術的信仰の対象だったものなのだ。「数」は一神教世界をもう一歩おし進めたもの、つまり偶像を排除して抽象となったものかもしれない。「数」と「芸術」もまた、現代的魔術の表と裏なのだろう。いや、魔術の現代性の表と裏というべきか。
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