スタンダール「赤と黒」

2007年12月26日(水) 23時28分
 

 もう最高!

 神学生でありながら、次々とお金持ちの女と道ならぬ恋に落ちてしまう美青年ジュリアン。
 貧しく、粗野な家族からもいじめられながらも、神経質で、勉強ができて、野心に燃える策略家でありながら、思わず純な心が溢れてしまうドジな若者。

 そして、ほとんど世間のことなんて知らなかったお嬢さん育ちで、3人の子持ちであるレナール夫人。 はじめて恋というものを知り、生きる喜びと悲しみを同時に知ってしまう。

 そして、またまた今度は令嬢マチルド。高慢で美貌の金持ちの娘。
 ギラギラした美しい瞳。恐ろしく高い自尊心。
 そして、一線を越えてしまったときの大変化。その行動力!

 この3人、恐ろしくも、素晴らしい!

 この本、相変わらず光文社の新訳文庫なのだが、1巻を読み終えて、2巻をどれだけ待ったことか。
 たぶん20回くらいは本屋の棚をのぞいた。

 1巻もワクワクドキドキして読んだんだけど、2巻はまたぶっとぶ。その驚愕のラストーーー!

 スタンダール先生ってのは、ぜんぜん一般受けなんか狙ってない。反道徳、反キリスト教、その中にどうしようもない情熱がほとばしる。これでもか!とばかり。

 今年はほんとに古典といわれる小説ばかり読んだ。そして、どれも面白かった!
 読み返した本もいくつかある。その中でも「赤と黒」はビカ1。
 もう一度読みたい一冊。野崎歓訳。

スティーヴン・ミズン「歌うネアンデルタール」

2007年12月19日(水) 0時29分

 サブタイトルは、「音楽と言語から見るヒトの進化」。
 著者は、言語以前のヒトに、音楽的な思考や行動の様式があったことをこの本で証明している。それって、私が仮説している「芸能は全ての根源である」ってことじゃないか! そう思ってワクワクしながら読んだ。読みながらたくさん赤線を引いた。こんなに赤線をバシバシ引いた本ははじめてかも。

○失語症の人たちは、しばしば音により敏感で、音楽に対してすごい才能を持っていることがある。言語も音楽も、組み合わせシステムであることに変わりない。両者はまったく同じ脳の部位を使っているわけではないようだが、重複している部分もある。(失音楽症というものもある)
 
○音楽は、しばしばヒトを集団性に誘う。また、楽しい音楽はヒトに助け合いの精神を生むという実験結果もある。サルは社会性を保つために多くの時間をグルーミングに割くが、ヒトは唄や語りかけによってグルーミングしているのかもしれない。
→これを「音声によるグルーミング仮説」と言うのだが、これは非常に納得感あり。ヒトのおしゃべりにしたってほとんどはこれだ。

○赤ん坊をあやすときの言葉は、世界中でメロディアスでリズミカル。そうすることで赤ん坊の注意をひく。また、子守唄に対しても赤ん坊は反応する。言葉の意味の前に、音楽を感じている。また、乳児は統計的なパターン認知をするため、繰り返しのフレーズを覚えていく。これもまたグルーミングだ。
ついでに、子供ほど絶対音感を持っており、大人になるに従って相対音感を獲得するらしい。(大人は移調しても同じ曲だとわかる)

○最近、感情についての認識が変わってきた。昔は知性と対立するものと考えられていたが、現在は感情こそがヒトの精神や思考の中心と考えられるようになってきた。知識が不完全で複数の相容れない目標がある状況では、感情がいろいろなことを決定していく。合理的思考に感情は不可欠である。
 動物たちは感情を声に出すものも多く、ヒトもそれをかなり理解できる。また、サルはその声を使って仲間たちと関係性を作る。ヒトにもサルにも脳内に「ミラーニューロン」が発見されおり、他者の行為に対して反応する。

○以上のことから、著者は言語の前の歌を「Hmmmm」と仮説する。これは、Holistic全体的(意味に分割されていない)、multi-modal多様式的、manipulative操作的(他者に働きかけようとする)、musical音楽的、の頭文字を並べた「フムー」だ。フム〜・・・。

○前半は主に最新の脳科学、文化人類学、サル学などの成果で以上のことなどが語られるのだが、後半は著者の得意な考古人類学で、ヒトの進化上に、このHmmmmがあり得たかどうかを探っていく。ヒトでの性選択で音楽が有利だったか、おばあさん仮説での音楽、セクシーなハンドアックス(手斧)仮説、直立歩行で体毛がなくなった上乳児が未熟児であるための母親の困難、ネアンデルタール人と現代人の肉体的、文化的な類似と相違。(ネアンデルタール人は寿命が短く、おばあさんがほとんどいなかった!)
 そして、ネアンデルタール人はおそらくHmmmmを歌っただろうと結論づける。

 その結論には決定的な証拠がないのだが、次から次へと知らなかったことが書かれていて、ひえー、フムーの連続。
 もう「芸能の根源」はこの一冊の本で証明されるのかあ、と思いつつ読んだのだが、そそれは証明されたわけではない。とくに後半は状況証拠といったところだ。

 ただ、著者は音楽を少しポジティブに、はじめから楽しいものとして考えているが、私は違うと直感する。音楽はフムーというより、ギャアアとかウワアアとかから始まったのだ。
ヒトは巨大な脳を獲得したとき、まずこの世界の残酷さを知り、震えたに違いなく、同時に、自分自身の死をも知ったはずなのだ。
 この残酷な世界に向けての叫び。そこから唄が生まれた。山で熊に会わないように鈴を鳴らしたり唄ったりするように、集団で叫ぶ唄は敵を怖れさせ、遠ざけた。その恐怖の唄は、勝利の唄にもなった。ジャングルの闇の中では、あらゆる恐ろしい声がコダマしている。自らの頭の中にも、恐怖の声は鳴り響く。それらの声に対抗するためには、自分たちの唄を作り出すことだけだったのだ。唄うことができる者たちだけが、恐怖につぶれずに生き延びることができた。まず、恐怖ありき。このような視点が著者にはない。
 ヒトという種が、生物としては全く不要な、(おそらく二足歩行の結果としての)巨大な脳を持ってしまったときの、恐ろしい恐怖。そこから全てを考えなくてはならない。芸能はそこに根源を持つ。

宮崎祓川の夜神楽

2007年12月11日(火) 2時58分
 金曜夜から一家+一番星さんでフェリーに乗り、翌日志布志着。一番星さんの一家と合流し、実家で朝食をご馳走になり、都井岬で野生馬や猿に触れたり、白蛇様という妖しい社で飼われている白蛇を見たり、断崖のソテツに囲まれた社や、海に面した洞窟の中にあるウド神宮(象の彫刻あり)に立ち寄り、そしてヨウコ姉妹とまた合流して霧島へ。
 そして、祓川での夜を徹しての奉納神楽を体験。スゴイ。いや、凄まじかったというべきか。このことはまた後述しよう。
 翌日はまたのんびりと、あちこちを見物。アートの森でみんなでワーワー楽しんだりして、フェリーで日の出を見て、大阪に帰ってきた。そのまま仕事へ。
 ああ、なんという濃い3泊だったことか! 

 霧島は島ではなく、日本神話による天逆鉾が突き立てられたという山。そこで夕方から夜明けまで続くアマテラス神へ奉納されるという舞を見に行ったのだった。会場のそばの氏子さんの家でソバや焼酎をふるまってもらい、そこから見に行ったり帰ってきたりしながら夜を明かすのだという。

夜になり行ってみると、屋根はあるものの、2方に壁はなく、舞台の周囲に坐れるのは2〜3列ばかり。あとの観客は屋外立ち見。焚き火あり。
 ボクシングのリングのように何本かの縄で囲まれた正方形の舞台は5間四方位。その各辺中央には白布が巻かれた鳥居がしつらえられ(出入りするのは一つだけ)、上には白い切り紙がいくつも風に揺れる。舞台の床はゴザ。中央天井には大きなザル。ここにも切り紙。奥の一辺上方には祭壇が作られ、酒やモチ、米などが奉られ、その下にはタイコ・笛・カネの演奏者が座す。中央上に裸電球2つ、奥からベビスポが左右2発。

 そこに、次々の妖しいモノノケや鬼、神や女や子供が現れ、ノリトを語り、次々と踊るのだ。踊ってはコトホぎ、そしてまた踊る。とりあえず約1時間ほど見たが、かなり寒く、いったん引き上げ、ありったけの衣類を重ね着して再び見物。
 夜がふけるうちに恐ろしく寒くなりつつも目が離せず、笑えるところなどもあったのだが、中盤にさしかかって真剣を使っての踊りとなり、小学生の子供が真剣の刃を握ってでんぐり返り、その次の、真剣を使った青年の激しい踊りの途中、手の平を少し切ったかと思えば、ヒザも切ってしまったらしくかなり出血。ここで怖くなったのとあまりの寒さにもう一度リタイア。なにしろ、演者と2mほどの距離なのだ。

 氏子さん宅で焼酎を飲み、私はまた少し勇気が沸いてきて、また見に行く。今度は少し離れた焚き火のそばを離れられない。ナギナタをすごいスピードで動かしながらの踊りを見物した後、やはり寒さとそのスゴサ、そして酔いでクラクラしてしまい、またリタイア。たぶん、4時くらいだったと思う。もうダメと思いつつコタツで横になって朝まで眠ってしまった。

 いまだ何を見てしまったのか、言葉にならない・・・。

ファンダンゴでライブ、と、路上ライブ

2007年12月06日(木) 0時06分
 さてと、公演からもうほぼ2ヶ月。そして、もう今年も終わりかあ。

 先月の飲み会で、キング堀内氏と話していて、ライブハウスでライブをやろうということになってる。はじめてのライブ。憧れのファンダンゴ。十三の大好きなライブハウスさあ。こりゃあ、たまりませんな。

 そもそも、音楽CDを作りたいと思っていたら、音響の大西氏が、「それならライブをやってライブ盤を作るのが一番早い」という意見をくれたのがはじまり。前のCDは、カラオケとして作った音に、いっこいっこボチボチと唄を入れていったのだが、今は生演奏になったのでカラオケもないからねえ。

 しかーし! このあいだの「たっちゃんの金魚」とその後のミニライブでけっこうあがってしまった私は、まだまだ演奏を楽しむとこまでいっていないと気がついた。そこーで! 路上ライブをやることを決心したー!

 路上芝居は何度かしているが、路上ライブははじめてー。50近く(来年1月でシジュウクじゃ)なっての路上ライブ、やってええんやろーかいなー。ええやんなー。もー好きなことして生きぬくねん。キリコに話すとぜひ参加さしてくれと言う。しかも、金魚姫の衣裳メイクつきで。そんなんしたら、メインはあっちに持っていかれてしまうやんとちょっと心配もするが、まあすっごい大きな応援がついたと考えて、それなら楽市の劇団員やら出演者やらバンドやらにも声をかけつつ、ボチボチと、あちこちに出没するのもええなーと思ってます。(田口さんとギンカはかなり引いてたが・・・)

 来年の1月くらいから、楽市オリジナルソングの数々を唄うのだー。一緒にやってみたいなーという人、連絡待ってます。こっちからも声かけるけど。ギンカがいないときは、オイラが蛇ダンディーの唄うたおうかな。自動的に萌もついてくるので、なんかやらせたり唄わせたりして、大道芸人として仕込んだろか。

 4月のファンダンゴに向けての宣伝にもなるしね。ちゃっかり。そんで、それも含めて全部来年秋の宣伝になるしね!

ありがとうございました!「たっちゃんの金魚」

2007年12月02日(日) 19時32分

 もう1週間もたってしまったのですが、「たっちゃんの金魚」にご来場頂いた方々、ありがとうございました。大阪から奈良の桜井まで遠路はるばる来てくれた方々もおり、感謝感激雨あられ。約1時間のお芝居と30分のライブ、楽しんで頂けたようでほっ。
 しかし、あたしゃミスばかり。楽市では楽団メンバーがミスをカバーしてくれるんですが、たった一人じゃどうしようもない。自分のミスに思わず顔が熱くなることも。顔が熱くなるなんてのは、久しぶりの純情ぶりぶり。
 思えばこの私が芝居で生演奏をしたはじめてだったのが、この奈良の見感倉庫での佐野キリコの演劇「月夜のおさかな」。稽古では、ここ数年いつもギターを片手に演出してるわけですが、舞台では役者をやっていた。役者をやっていなかった時期も少しあったんだけど、エンドンをやる劇団員がいなくなってしまい、それで役者に復帰。しかし、メイクもいらないし、セリフを覚えなくてもいい(台本を見ながらできる)ギターマンはなんと楽なことか。それに、出番がないとき以外はソデに引っ込んでいる役者より、ずっと舞台の横にいて見ていられるしね。なんかちょっと舞台への指揮者(指揮はしないが)みたいな気分でもある。舞台や客席と一体化できるような気にさえなれるのだ。まあ、ドキドキするのは役者のときと同じですが。
 今回の「たっちゃんの金魚」は、設定は単純なのだが、展開はじつはとても複雑で、何度も流れを入れ替え、そのたびに音楽プランも差し替えになった。特に後半。だから、本番のときも、即興的に少し変えたりした。演技プランも稽古の最終段階でガラリ、ドッタン、バッタンと七転八倒し、そして当日の昼間に現場でやってみてまたひっくり返るという展開で、結局ライブの稽古時間がちょっと少なくなってしまい、役者二人はじつに見事な唄と演奏でしたが、バックの私はお恥ずかしいとこがたくさんありました。ハイ、ごめんなさいです。来年のライブはガンバルぞ。ていうか、もっともっと本番なれしなくてはならんのお。
 写真は、奈良新聞の記事より。
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