販売慣習の改善を待つより、投資家が先に変わろう LMマネープールファンドニュース

August 03 [Fri], 2012, 1:06
販売慣習の改善を待つより、投資家が先に変わろう LMマネープールファンドニュース


毎月定点観測をしている12か月継続して資金純増している人気ファンド(注)のランキングです。5月は前月から9本減少、5本増加して差し引き4本の減少で、全部で50本でした。

 6月に新たにランク入りした5本は、7位「新光ブラジル債券ファンド」(新光投信)を筆頭に、同じシリーズで通貨コースの異なる二本の投資信託である「日興ピムコ・ハイインカム・ソブリン・ファンド、毎月分配型(円ヘッジコース)」「同、ブラジルレアルコース」(21位・28位、ともに日興アセット)、「ピムコ・エマージング・ボンド・オープン Bコース(為替ヘッジあり)」(35位、三菱UFJ投信)、そして「年金積立 Jグロース《DC Jグロース》」(47位、日興アセット)でした。


(注)「1年間継続して資金純増」について。「資金増減額」とは、1か月に購入(設定)された額の合計から1か月に売却(解約)された額の合計を差し引いた額です。購入のほうがが多ければ資金増加(純流入)、売却のほうが多ければ資金減少(純流出)と言います。このランキングでは、12か月連続して資金増加を続けた投資信託を1年間の資金増加額が多い順にランキングしています。評価対象は、追加型株式投資信託のうち6月末の純資産が30億円以上あり、機関投資家の資金で設定解約される上場投資信託(ETF)と、毎月の積み立てが中心となる確定拠出年金専用、および特定の口座保有者のみに販売されるSMAやラップ専用の投資信託は除いたものです。


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円高で投資家は、外国資産を円ヘッジで運用

新たにランク入りした投資信託の投資対象資産を見ると、7位はブラジル債券に投資するもの、続く21位、28位、35位の三本は新興国債券に投資するものです。ただし、同じ新興国債券型でも、21位と35位は、日本円に対して為替ヘッジを行なうもので(21位は通貨選択型ですが、円ヘッジコースのため、実質的には「為替ヘッジあり」と同様とみなします)、28位は通貨選択型で、ブラジルレアルで運用するものです。最後の1本は日本の大型株式に投資をするものです。

注目すべきは、利回りの高さで伸びている新興国債券型での変化です。従来人気のあった新興国の通貨にそのまま投資をするものではなく、対円で為替ヘッジを行ない、円高局面で基準価額の下落を防衛するものへのシフトです。

投資家はほとんどあらゆる通貨で「円高」の局面を経験し、今後もいつまで円が相対的に買われ続けるか疑心暗鬼になっています。それは、新興国通貨といえども、例外ではありません。6月末までの過去1年の為替を見ると、インドルピーは25%、ブラジルレアルは23%、南アフリカランドは23.6%も円高になっています。苦肉の策として、「為替ヘッジコース」「円ヘッジコース」といった、為替リスクを低減するコースを選択しているのでしょう。

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手数料収益の魔力

ランキングから脱落したものは9本もありました。5月には4位だった「大和日本国債ファンド(毎月分配型)」(大和投信)のほか、6本の通貨選択型投資信託、(同5月の6位「UBS世界公共インフラ債券投信 (通貨選択型)円コース」(UBSアセット)、7位「PIMCO ニューワールドインカムファンド<豪ドルコース>」(三菱UFJ投信)など)や、各1本ずつあった世界リート(不動産投資信託)型、新興国債券型などです。

新たにランク入りしたところでご紹介した日本円ヘッジコースですが、ランクからはずれた6本のうち3本が円コース、2本がブラジルレアルコース、1本が豪ドルコースでした。つまり、日本円コースでも資金流出に転じている投資信託がり、必ずしも日本円コースや円ヘッジなら買われるというわけでもありません。

投資家は、これだ!という決め手に欠けるまま、少しでも安定的な資産、あるいは安定的な分配が期待できる投資信託へと、移動したがっているようにも見えます。一方で、販売する立場からは、毎月決算型投資信託のうち、分配金が減った、または近々減りそうなものがあると、それを理由にお客様に別の投資信託を勧めるという姿勢がいまだにあるようです。新しい投資信託を購入してもらえば、その分の販売手数料(購入時手数料)が投資家から支払われるからです。

例えば販売手数料が購入代金の3%かかる投資信託を売れば、販売会社はその3%がまるごと収益になります。一方で、1年で合計1.5%信託報酬がかかる投資信託があったとして、そのうち半分が販売会社の取り分であるなら、0.75%が信託報酬からの収益になります。販売手数料と信託報酬では収益に4倍の開きがありますから、お客様に投資信託を保有し続けてもらうより、売買を繰り返してもらうほうがずっと「効率よく」収益を挙げられるわけです。もちろん、そのように売る側の都合だけで投資信託の売買がすべて行なわれるわけではありません。しかし、この「販売のインセンティブ」がある以上、長期投資やコストを考えた投資が根付くのは、かなり困難でしょう。その点では、販売現場の慣習(乗換えでも何でもいいので、投資信託を保有し続けるのではなく、新たに購入してもらう方がいい)が改善されるのを待つより、投資家が「勧誘されても言いなりに乗り換えることをやめる」ように変わる方が早い気がします。



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形式的なルールでは変わらない

投資信託の販売や運用には金融商品取引法や投資信託法などの法律のほか、投資信託協会の自主ルール、そして各金融機関の社内ルールなど様々な次元で、ルールや、書類の収集、確認などが義務付けられています。たとえば、リスクの高い投資信託を販売する場合、一定の年齢(70歳、80歳など)以上の投資経験の浅い人には、支店長の許可が必要であったり、親族の同席が必須であるなど、金融機関ごとに社内で独自のルールを定めているでしょう。ところが、お年寄りの方は、「せっかく支店長さんまできてくれたので、買う」といった当初の目的とは正反対の行為を行なうこともあるようです。

ただ、そもそも、何度も言いなりに投資信託を売買した「よい」お客様は、年齢が高くても「投資経験者」として扱われる場合もあります。また、いくらルールで縛ろうとしても、投資家の心がより多い分配金を求めて、より高いリスクの投資信託の山を登っていく場合もあります。

現状の販売慣習を変えるには投資家自身がかしこくなるとともに、販売会社や、できれば運用会社との間で、投資家が理解できる言葉でコミュニケーションが必要だと思います。


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