タイトル未定 Next *2

January 26 [Wed], 2011, 15:13
「ルベール!見てみて!似合う?」
ライラは、立ち寄った市場に展示されていた首飾りを首元にあてて、はしゃいでいた。
一方のルベールは、落ち着いた様子でライラに目を向けるとクスっと笑って「似合うよ。」と微笑んだ。
「本当にとってもお似合いだよ!お兄さん、可愛い彼女にプレゼントしてやったらどうだい?」
二人のやりとりを見ていたのだろう。
店の店主が二人に声をかけた。
「そうですね。じゃあこれを・・・」
そう言ってルベールが財布を取り出すと、ライラは慌てて彼の手を抑え、首を横に振る。
「いらない。欲しいわけじゃないの。」
そして持っていた首飾りを元の位置に戻すと、逃げるようにその場から立ち去った。
「ライラ!」
後ろでルベールの呼ぶ声が聞こえたけれど、彼女と呼ばれた気恥ずかしさと、首飾りをねだる形になってしまった申し訳なさで、振り向く事ができずに足の向くまま人ごみの中へと入って行った。

タイトル未定 Next *1

January 26 [Wed], 2011, 14:47
住み慣れた街を離れ、二人はしばらく各地を点々としていた。
自分たちの痕跡を残さないためにも、ひとつの場所に長く留まることは出来なかったし、住んでいた街から離れる為にも必要なことだった。
そんな生活は、ライラにとって苦痛ではないか。とルベールは心配していたけれど、ライラはどこへ行っても楽しそうに笑っていた。
「あたし、観光旅行なんて初めて!どうせなら、もっと色んな所に行きたいわ。」
街を出てすぐ立ち寄った村で、ライラがそう言ったこともあって、二人は楽しんで旅を続けていた。




タイトル未定 First Love*16

December 28 [Tue], 2010, 16:41
あの満月の夜から数日。
朝早く、二人は住み慣れた街を去ろうとしていた。
「ライラ!」
二人が街の入口に差し掛かると、入口で待つ人影が二つ。
「本当に、行っちゃうの?」
シルビアはその瞳を潤ませ、ライラの両手を握った。
「うん。迷惑、いっぱいかけて・・・ごめん。」
ライラが俯くと、シルビアはライラの細い体に抱きついた。
「何言ってるの!迷惑って思ったことなんて、一度だってないんだから!」
シルビアは、声を震わせて叫んだ。
彼女達が、別れを惜しんでいる間、ショーンが静かにルベールに近寄った。
「結局アイツを連れて行くんですね。」
「結局・・・ね。君たちがライラを支えてくれたこと、本当に感謝しているよ。」
「俺達、あなたを本当に恨みました。」
なんのためらいもなく、ショーンは告げた。
ルベールは、その青年の物怖じしない物言いに、少し驚いて、微笑んだ。
「それは、仕方ないな。」
しばらくの沈黙が続いた頃、シルビアがこちらを見て手招きした。
ショーンが、そちらに向かおうと足を動かしたとき、ルベールが口を開いた。
「ライラのことは、もう手放さないから。」
その鋭く放たれた言葉に、驚いてショーンは振り返る。
ルベールは優しく微笑み、首を傾げた。
「少なくとも、僕からはね。だから安心して。」
ショーンは、ぎこちない笑顔で応えると、彼女達の元へと駆けた。
同世代の三人は、笑顔と涙を器用に使い、別れの時を惜しんだ。
「二人とも、本当に大好き。また、会えるって信じてるから。」
「新しい街が嫌になったら、いつでも帰ってきてよね!」
「落ち着いたら、連絡しろよ。」

そして二人は、その街から姿を消した。

タイトル未定 First Love*15

December 28 [Tue], 2010, 14:08
ルベールは、ライラを抱えながらゆっくりと歩いた。
一歩一歩、地面を踏みしめるように。
長い間、沈黙が二人の支配していた。
そして最初に口を開いたのは、ルベールだった。
「諦めろと、言ったのに。」
それは、話しかけたつもりだったのか。ただの呟きだったのか。
けれど、彼女の沈黙を破るのには十分な言葉だった。
「諦める?何を?」
「今日、君は死ぬところだった。」
「でも、死ななかった。それに、探しものも見つかった。やっぱり、満月の夜は最高に素敵な日になるのよ。」
その言葉にクスっと、ルベールが笑う。
「ライラは、月に愛されているのかも。」
「それは、最高に素敵ね。」
ライラも、クスクスと笑った。
「ねぇ、ルベール。・・・あたしの命、二度も助けたんだから、責任取ってよ?」
クスクスと、彼は嬉しそうに笑っている。
「・・・返事は?」
「君には、敵わないなぁ。」
ルベールは、嬉しそうに顔をほころばせた。
ライラは鼻を鳴らし、得意気な表情を浮かべる。
「今頃気づいたの?大人しく観念して、あたしの傍にいてよね!」
「仰せのままに、お譲さん。」

タイトル未定 First Love*14

December 28 [Tue], 2010, 13:39
「え・・・。」
ふわっと体が抱き寄せられ、浮き上がる。
一瞬すぎて、何が起こったのか理解できないまま、嗅覚が懐かしい香りを捉える。
ルベールは右腕でライラを抱きよせ、左手で狼男の振り下ろした手を掴み、睨み合う。
「おいおい。良いとこだったのに、邪魔すんなよ。なぁ、お譲ちゃん?」
狼男は、相変わらずニヤニヤ笑っている。
「黙れ。・・・なんでお前がここにいる?」
「あ?お前に関係ないだろうが!離せや!」
狼男は、腕を振りほどこうと腕に力を込める。
ギリギリと、ルベールの左手にも力が入る。
「今日のお前は、面倒だ。冷静さを欠いている。」
「はっ。今夜は無礼講なんでな!お譲ちゃんもろとも、あの世に送ってやるよ!」
「申し訳ないが、遠慮しておくよ。今の俺に、お前は敵わない。」
そう言うと、ルベールの金の瞳が、赤く変わっていく。
「ライラ、ごめん。少し耳をふさいでいて。」
「てめぇ・・・。この卑怯者の吸血鬼野郎!絶対ぶっ殺してやる!」
狼男の叫びを無視して、ルベールは掴んでいた腕に噛みついた。
「うあ・・・・。ぐぅ・・・。」
噛みつかれた男は、うめき声をもらし、苦痛に顔を歪めた。
そして男の体から力が抜けると、喰らいついていた腕から口を離す。
「君の血は、僕にとっても毒だからね。一滴ももらっていないから安心してくれ。」
倒れた男は、視線だけをルベールに向け、憎悪を隠しもせず睨みつけた。
「ライラがいるから、殺しはしないよ。君に流した、僕の血から逃れられたら、また会おう。」
ルベールは、その視線を冷たく見下しながら言い放つと、ライラを抱えてその場を立ち去った。
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