非常に特殊な資本主義国・日本
2009.11.12 [Thu] 23:09

社会主義をめざす国、アジアアフリカラテンアメリカの国々‥世界の動きをみたあと、いよいよ不破さんのお話は「日本」のことにうつりました。「マルクスは生きているセミナー」第2回目の続きを紹介します。

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「みなさんが生きている日本という国は、非常に特殊な資本主義です」

「社会的ルールづくりがすすんだヨーロッパと比べると日本は桁違いです。例えば、学費の問題です。教育指標の国際比較をみてみると‥」

不破さんは、文科省が発表した最新の統計を紹介しました。

「日本の学費の平均は、国立81万7800円、公立93万6435円、私立129万8726円。フランスは国立24000円。フランスには私立大学がないそうです。ドイツは州立で10万6400円。大部分が州立で、教会が建てた学校が少しあり、学生数が2%だそうです」

「ヨーロッパでは、社会的ルールづくりが大学にまで及んでいるんです」

「高等教育の財政支出。GDPのうち、どれくらいのお金を高等教育に使ってるかについて、OECD加盟国30カ国中、統計が整備されている28カ国の統計でみると、日本が28位で0.5%。OECDの平均は1.0%なので、平均の半分以下です」

「同じ資本主義でもこれくらい違う。ルールある資本主義国とルールのない資本主義国では学生の生活だけをみても、こんなに違うんです。労働者の生活の農民の生活も違う」

なぜ、こうなっているのか?

「これは日本の歴史に関係しているんですね」

と、まず一つ目の問題として「資本主義のルールづくり」の歴史を振り返った不破さん。

「一つ目の節目となる、工場法がイギリスでできたときで、このとき日本は江戸時代」

「もう一つの節目となったのがロシア革命で、社会保障の旗が掲げられました。貧乏な国だったロシアで、労働者の権利の旗が揚げられたことが世界に影響して、ドイツのワイマール憲法には初めて生活権が入りました。このとき日本は、幸徳秋水の大獄事件があって、運動がものすごい勢いで締め付けられていた時代です」

「それから、その次のルールづくりの節目になったのが1930年代のフランスの人民戦線です」

「労働組合がゼネラルストライキをやって、有給休暇など抜本的な労働条件の改善を勝ち取りました。こうして世界が『ルールある資本主義』に向かいはじめた頃、日本は、満州事変に始まった戦争に突入した最中。絶対主義的天皇制のもとで労働組合も共産党もつぶされて、運動が一番鎮圧された時代でした」

「日本は、1945年にはじめて世界の流れに出会い、8時間労働制などが導入されました」

「しかし、同じ8時間労働制でも、ヨーロッパでは8時間以上労働しない、長すぎるから法律で制限するという考え方ですが、日本では、8時間以上働かせても残業代を払えばいいという考えでの導入なんです」

「日本では、こうした歴史のもとに、戦後も『大企業・財界中心の政府』が長年政権を握って、労働組合も押さえ込んで『ルールのない資本主義』をつくってきたので、あらゆる面で遅れるているわけです」

「ですから『ルールある経済社会』づくりという、大変やりがいのある仕事がこの国には残されています。そういう問題に直面している独特な情勢をもった国だということを見る必要があります」

「もう一つは、アメリカとの関係です」

「そもそも、20世紀にはいるまでは、すすんだ資本主義のあいだに民族的従属、国家的従属はおきませんでした。それが第一次世界大戦から変わってきたんです」

「ベルサイユ条約で、勝った連合国が敗戦国ドイツを支配下におき、これがかなり長い間続きました。ヒトラーはこれを利用して民族独立の旗頭のような顔をしてのし上がったんですね。第二次大戦後にも、戦争の性格は違いましたが、日本、ドイツ、イタリアといった敗戦国が勝った連合国に占領されました」

「しかし、そのときに占領された従属関係を、未だに引きずっているのは日本だけです」

国家・民族の支配と従属の歴史を振り返るなかで、日本の異常さを浮きぼりにした不破さん。日本がアメリカに従属している事例を、軍事、経済の二つの角度から詳しく紹介しました。

「いまでも、アメリカが基地をおいている国はありますが、おいていても独立国らしい置き方をするんですよ」

「1970年代に、イタリアのナポリに行ったときに、ナポリのきれいな海に米軍の第6艦隊の船が並んでいました。イタリアも軍港になっているんだなと思ってみていましたが、当時ナポリに誕生した共産党市長に聞いたら『アメリカの艦隊が、ナポリの海にこのままいていいだろうか、聞いてきた』というんですね。しかも、第6艦隊の母港はアメリカにあって、ナポリには地上施設が一つもない。そして、政府ではなく市長が変わっただけなのに聞きにくるというのは、同じ敗戦国に対する態度でも、日本に対する態度とは大違いです」

「経済の問題でも、日本とアメリカの間に構造改革の協定があり、アメリカの資本が日本に参入しやすいようにと、毎年アメリカから日本に要求が突きつけられるんですよ。そして、日本の各省庁がアメリカの要求をどれだけやったかをアメリカ政府に報告し、アメリカでは、日本との関係ではこれだけ進みましたと、議会に報告する。こういうことが、たしか、1990年代から続いています。こんなことをやっているのは、日本だけです」

日本の異常さについて話した不破さんは、こう締めくくりました。

「『大企業・財界中心の政府』『対米従属』ーーこの二つが、本当に日本の異常さなんです」

「日本が社会を前に進めようと思ったら、この二つの『大悪』を取り払わないと前には進めない。これを取り払うことに日本国民のエネルギーが一番発揮されると思いますし、それが発揮されたら、日本国民は自分たちで国を変えられるという自信を持って、さらに前に進む新しい時代がくるでしょうね。私たちは、さまざまな過程をふみながら、なかなか動かない日本でも動く時代を、これから迎えてくると思います」
 
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