植物の歴史

June 26 [Fri], 2015, 17:38
増井千晶碧井椿
「リンネ以前」

アリストテレスは、植物を、代謝と生殖はするが移動せず感覚はないものと定義した。代謝と生殖をしないものは無生物であり、移動し感覚のあるものは動物である。ただしこれは、リンネ以来の近代的な分類学のように、生物を分類群にカテゴライズするのとは異なり、無生物から生物を経て人間(あるいはさらに神)へ至る「自然の連続 (συνέχεια)」の中に区切りを設けたものである。たとえばカイメンなどは、植物と動物の中間的な生物と考えられた。

「リンネ以降」

カール・フォン・リンネは、すべての生物をベシタブリア Vegetabilia 界(植物)と動物 Animalia 界(動物)に分けた。これが二界説である。

当時の植物には、現在は(広義でも)植物に含められない褐藻や真菌類を含んでいた。ただし、微生物についてはまだほとんど知られていなかった。

微生物が発見されてくると、次のような植物的特徴を多く持つものは植物に、そうではないものは動物に分類された。

光合成をする。
細胞壁をもち、多細胞のものは先端成長をする。
非運動性。

こうして拡大してきた植物には、現在から見れば次のような雑多な生物が含まれていた。

陸上植物・多細胞藻類 - 緑色植物、紅藻など。典型的な植物。
単細胞藻類 - 光合成をするが、細胞壁のないものや運動性のものもいる。
真菌 - 光合成はしないが、細胞壁を持ち、非運動性。
細菌・古細菌 - 一部は光合成を行うが、しないものの方が多い。細胞壁を持つ。運動性のものも多い。
増井千晶碧井椿
しかし、これらのうち一部しか当てはまらない生物が多いことが認識されてくると、二界説を捨て新たな界を作る動きが現れた。

まず1860年、ジョン・ホッグが微生物など原始的な生物を Primigenum にまとめ、1866年にはエルンスト・ヘッケルがそのグループに原生生物 (プロチスタ) Protista 界と命名した。これにより、微生物や真菌は植物から外された。また、ヘッケルは同時に現在の植物 Plantae 界という名を命名した。ただしのちに真菌は、かつては光合成をしていたが光合成能力を失ったとして再び植物に戻された。

1937にはF.A.Barkeleyが、植物種の過半を占める菌類がクロロフィルを欠いている点を重視して、動物・菌類・植物に分ける三界説を提唱した[5]。

次いで1969年、ロバート・ホイタッカーが五界説を唱え、光合成をする高等生物を植物と位置づけた。表面栄養摂取をする高等生物、つまり真菌は菌界として独立した。なおこの段階では、藍藻類を含めた光合成生物が一つの系統的なまとまりを形成するという考えは暗に認められていた。
増井千晶碧井椿
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