いのちのすきま〜第四章

March 26 [Wed], 2008, 17:17
*注意*
これはフィクションとノンフィクションを織り交ぜた独り言のような
小説です。登場する人物・団体は架空のものです。
知人の日記から抜粋し着色しており、作者の個人的主観が多く含まれています。



       第四章『本当の自分と向き合う時』


 いつものその喫煙所には意外にも誰もいなくて、私一人だった。
めずらしいなぁと思いつつ、タバコを1本ケースから取り出し、左手で
風をさえぎる様にして火を付けた。深く息と吸い込みながら煙を奥へと
飲み込み、「ふぅ――。」とゆっくり息をはきながら、ふっと空を見上げた。
雲一つ無い位の真っ青な晴天だった。その蒼さは吸い込まれるような、
優しく包まれるような・・・不思議な世界だった。
空ってこんなにも綺麗だったんだなぁ〜と感じると同時に色々な思考が
頭の中を駆け巡り始めた。突然、私の脳に直接電波を通して送り込まれて
いるような感覚であった。
「血液検査なんて何回もしたよな・・・」「統計?データ?どんだけやれば
出るんだ?」「潰瘍ができてるならすぐに手術して治せばいいんじゃない?」
様々な矛盾が頭の奥でぐるぐる回りだした。
 気づくと、一服しかしてないタバコはフィルターのそばまで火が来ていた。
一本目のタバコを消し、二本目のタバコをケースから取り出そうとした。
なかなかタバコをつまむことができない。指が手が震えていることに気づいた。
気にしない振りをして、意地になってやっとのことで二本目のタバコに火をつけ
また、深く息を吸い込んだ。「ふぅ―――。」と息をはきだした瞬間、左の
手の甲にポトリと水が落ちてきた。一瞬、火種が落ちてきたのかと思い
つい「熱っ」っと声をあげてしまった位驚いた。そして、自分の涙である事、
自分が泣いていることに気づいた。

 確かに、ここ最近・・・1年位ついていなかった。急な怪我により両手を上手く
使えなくなったり、過去の足のくるぶしの骨折が要因で歩くことが難しくなったり、
病気になったり、仕事や人間関係でも、ありえないような状況が続いてストレスを
強く感じる生活を送っていた。友人には御祓いに行ったら・・・?なんて事も
言われたりしていた。確かにおかしいと自分でも思っていた。

 でも、大切な人がそばにいてくれたし、神様が私を試してるのかなぁー位に流し
ていた。基本ネガティブ体質なのに、変なところでポジティブだったりする自分
に今更気づいた。大切な人の存在は本当に大きくて、どんなときも私を冷静に
引き戻してくれた。何もしないし、言わないけど、そばにいてくれるだけで私は
私でいられた。まだ彼には病気の話はちゃんとできていなかったし、入院がばれたくなかった
ので、外泊届けを出したりして家でこっそり会ったり・・・結構面倒な生活をして
いた
 医師との相談の上、今やっている仕事を辞める事を前提で、通院に切り替えて
もらえた。

いのちのすきま〜第三章

March 17 [Mon], 2008, 0:16
*注意*
これはフィクションとノンフィクションを織り交ぜた独り言のような
小説です。登場する人物・団体は架空のものです。
知人の日記から抜粋し着色しており、作者の個人的主観が多く含まれています。



               第三章『現実の自分を知る時』


 期待を裏切られるように、そのまま入院となった。
最初の病室は4人部屋だった。高校生くらいの若い子、おしゃべり好きなおばさん。
話題はつきなかった。病院内の噂話を沢山仕入れることができた。もちろん、活用
出来る場所はなかったけど…。
 数日入院生活が続き、色々な検査のみが永遠と続いた。はっきり言って、
「とっとと手術するならするで、早くして欲しい。退院させてほしかった。」一番の
ネックは・・・病室でタバコを吸えない事だったし・・・(笑)
 院内の一番端っこに、ポツンと隔離されたような哀愁の漂う喫煙所が一箇所
あるのみで、テラスのようにお洒落な造りをしていた。前面窓のような構造で
今では見るに耐えない真黄色に染まった壁も、昔は真っ白に輝き、綺麗だった
んだろうなと想像できるようなものだった。
 隔離されたようなその空間は、たっぱり自宅の部屋とは違い、心から落ち着く
ことはできなかった。入った瞬間のタバコ臭さ・・・少し、タバコを吸う気分を無くす
ような気分になるものだった。これも、病院サイドの策略か・・・と思うと、「負けら
れない」と、何故か意地になってタバコを吸っている自分がいた。
 入院生活も何日か続くと、だんだんとすることがなくなり、TVも映画も見飽き
退屈な日々が続いた。あんなにおしゃべりだったおばさんもいつの間にか居なく
なり、少々寂しさを感じていたのだろう。そんな時、パソコンを病院に持ち込んだ。
インターネット上のアクションロールプレイングというのだろうか、ラグナロクという
ゲームに入るようになった。昔よくやったゲームだったが、久しぶりにやると
仕様がかなり変わっていて、本気でとまどった(笑)
 ゲーム内での他人との会話や交流は、昔は気付かなかったが、想像以上に
楽しく、今自分の置かれている状況を忘れることができた。

 その数日後、父と共に医師に呼ばれた。
そこには私のものであろうレントゲンの写真が何枚も、そしてやけに眩しく
並べられていた。
「胃の部分に影があるのがわかりますか?」医師に聞かれた。私には全てが
真っ白でよくわからなかった。後に知った話だが、いわゆる「影」は黒く映る
のでは無く白く映るらしい。医師は続いて告げた。
「血液検査の結果レベル5(?)であった」のようなことを言われた。
全く意味がわからなかった。
影?悪性?どっかのドラマや漫画に出てくるような台詞だなと感じる方が
強かった。何故か少し笑ってしまいそうになる自分がいた。
「はぁ・・・」と他人事のように返事をする私に対し、医師は話続けた。
「胃潰瘍や炎症がひどい状態の時に血液検査で、このような結果が出てしまう
ことはたまにあるから、何度か検査をした上で確率、統計を取らないと、はっきり
したことは言えないから、今すぐどうこうと焦らなくても大丈夫ですよ・・・」そんな
ニュアンスの台詞だったと思う。正確にはあまり覚えていない。
 その台本があるかのような台詞を聞きながら、父の顔を見ながら、少しずつ
自分のことなんだなと感じてきた。
 影ということは腫瘍?悪性ということは癌?これが告知というものなの?
色々考えてみたけど、不思議と、泣き出したり叫んだり、パニックになるような
こともなく、まぁ、なんとかなるだろう・・・とか考えていた。自分の中で受け入れ
られてられないと思ってしまう部分もあっただろう。

翌日、タバコを持って、いつものテラス風を気取った喫煙所へ向かった。
扉を開けた瞬間のヤニ臭さには幾分なれた頃だった。

『いのちのすきま』〜第二章〜

March 11 [Tue], 2008, 0:33
*注意*
これはフィクションとノンフィクションを織り交ぜた独り言のような
小説です。登場する人物・団体は架空のものです。
知人の日記から抜粋し着色しており、作者の個人的主観が多く含まれています。



第二章 「自分の体と向き合う時」

 年に1回くらいのペースで胃潰瘍になっていたので、今までは3ヶ月〜4ヶ月
おきに胃カメラを飲んでいた。しかし、最近はすこぶる体調もよく、1年以上
検査はしていなかった。
 医学の進歩はすさまじかった。胃カメラ=口からというイメージだったが
それよりも苦しくない鼻から入れるという方法が発明されていた…。
画期的な発明だ・・・と、勝手に感動はしたものの、口からの方法に
慣れていた為、突然鼻から入れるのも抵抗があり今まで通りの検査に
してもらった。「時代の流れについていけない私…」少し凹んだ。

 喉の麻酔を受け、横になると口の中に異物が入ってくるのを感じる。
その異物をいつも通りゴクリと飲み込んだ。
「あ〜荒れてるね〜」
いつも通りの医師の台詞が聞こえる。
「ですよね〜」と言いたかったが、まぁ喋れる状況ではない。
話がずれるが、良く、医師が「苦しかったら言ってください〜」と言うが
どうやって言うのだろうかとか、苦しかったらどうやって苦しくないように
するのか、そうできるならなぜ最初からしないのだろうかとつねづね
疑問に思ってしまうのは私だけだろうか・・・。
 胃カメラの検査は大きい病院で受けるので、いつもの主治医とは
違う医師であった。予約を取らない限り、検査の医師が変わることは
いつものことだったが、言われる言葉や台詞は大体同じものだった。
 その日もその台詞を言われ、どういう対応をすればいいのか
わかっていた。
 しかし、その医師の態度は想定外だった。
 普段、胃カメラからの映像を見せられ「ここが潰瘍の痕」とか
「ここが荒れてるね〜」等の台詞を言われながらボーっとしながら
その映像を見ていた。
 その医師の台詞は「荒れてるね〜」という一言から一切無言
であった。無口な人なのかとも思ったが、私の目の前にあるモニターを
「見づらいから少しこっちに向けて」と、近くにいる看護士に指示した。
私の場所からは見づらい方向へと向けられた。頭はボーっとしているし
普段からとりわけ気にしてモニターを見ているわけでもないので
そのときはあまり気にもならなかった。
終始無言の中、一言「ちょっと組織とるからチクッとするよー」と言われた。
「また潰瘍ができてたかぁ…」と自分の中で納得していた。
 胃カメラの検査の後、麻酔が切れる頃に状況の説明が行われる。
言われることは大抵決まっていて、胃の状態から始まり、食事やタバコ
等についての注意をされる。「はい。はい。」と、うんざりしながらも
返事をする私。いつもの光景である。
 しかし、説明より先にレントゲンを取ろうということになった。「レントゲン
あんまし取ってないよね?」そう医師に言われた。確かにレントゲンは
殆ど取っていない。「そんなに悪いですか?」素直に尋ねてみた。
「いやぁ・・・潰瘍になってるね。痛かったでしょう。これはちょっと入院
してもらわないと治療は難しいから入院の手続き取るからその間に
レントゲン撮っておけば楽でしょ?」確かに、食事を抜いて、また
レントゲンのためだけに病院に来るのは面倒だと思った。
 初めて「バリウム?」というものを飲んだ気がした。まずかった…
殆ど味というものはしないのだけれど、ただ不味かった…。
「ゲップしないようにね」と言われた。人間とは意識すると余計に
したくなるものである。言われた瞬間に出た…。音を出さずに
こっそりやったつもりだったが、何故かバレタ…。もう二度とアレを
飲みたくないので2回目は必死で我慢した。
レントゲン、採血と無事に終わり、また医師のもとへと戻った。

 やはり胃にできている潰瘍が思わしくないようで、入院の話へと
進んだ。子供の頃から心臓と胃が弱かったため入退院が多く、
小学校さえまともに通えず、病院内に設立された学校に通って
いた事をふっと思い出す。
 ベットの関係上、即入院では無く、2日後に空く予定なのでそれまでに
入院の手続きや親への説明等をするので後日親と一緒に
来て欲しいといわれた。
「仕事どうしようかなぁ・・・」なんて考えつつ承諾した。入院っていっても
結構早く退院できそうだし、まぁなんとかなるかな…なんて能天気に
考えてる自分も居た。
 親に相談するにも、母親はアルコール依存症だし、父親はとてつもなく
忙しい人物なので、どうしようかと悩みながら、とりあえず父親に
話してみた。返答は思いがけず、翌日の午前中に時間をあけてくれるという
ものだった。違和感を感じつつも翌日、父親と一緒に病院へと向かった。
もちろん、入院の準備など何もしていなかった(笑)
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(●'ω'●)プロフィールみたいなもの
お名前:のあ
趣味 :ダンスとかネイルとか歌とかROとか・・・(`ω´;)
特徴 :遊んでくれる人になつきます
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