執行部案と会員提案 どこが違うのか?

2008年07月27日(日) 23時22分
 朝日新聞毎日新聞が8月6日に開かれる大阪弁護士会の臨時総会で採択される法曹人口見直し決議について、執行部提案と会員提案の2案が提出されていることを報じています。決議が採択される前に報道されるのは異例といえば異例ですが、日弁連の緊急提言もあり、弁護士人口の急激な増加という方針をどう転換するのか(しないのか)に関する注目が寄せられているといえるでしょう。
 問題は、執行部案と会員提案のどこが違うのか、という点です。
 記事では、(1)2010年までに3000人という政府の目標を「すみやかに」見直すのか、「ただちに」見直すのか、(2)今年度の司法試験合格者数について昨年(2099人)を上回らないように抑制するのか、「当面の合格者数について昨年よりも大幅に削減するのか、とまとめています。(2)はそのとおりなのですが、(1)はやや不正確です。
 提案会員の1人である坂野真一弁護士のブログにも記載されていますが、執行部のいう「上記数値目標」というのが「2010(平成22)年頃に3000人程度とする数値目標」なのか、「3000人」なのか不明確です。執行部は常議員会では、後者の意味であると説明していたのですが、通常であればむしろ前者の意味に理解してしまいます。きわめてあいまいで、玉虫色というほかありません。
 また、(2)について今年度のみに限定したのは、来年度の執行部をフリーハンドにするためではないかと勘繰ってしまいます。
 いずれにせよ、根本的な違いとしては、遅まきながら無謀な弁護士人口急増を見直し、基盤整備及び実体面での改革と調和のとれた法曹人口政策を模索する方向に転じた日弁連の動きに対し、これに追随するだけのか(執行部案)、さらに現実に発生している弊害を是正し、将来起こりうる崩壊を食い止めるための対応に着手することを迫るのか(会員提案)にあります。
 会員提案に対しては、日弁連の緊急提言だけでも反発があるのに、さらに見直しを打ち出すのは得策ではないとの声も聞きます。しかし、今起こっている質の低下と、利用者である国民へのしわ寄せをストップさせるためには、緊急提言では間尺に合わないのです。また、この問題においては弁護士会は当事者であり、利害調整役ではありません。当事者が自らの立ち位置をわきまえつつ、国民の権利を擁護する立場から、言うべきことを言わずに、誰が代弁してくれるというのでしょうか。最初から、「この範囲であれば政府も納得するだろう」とか、「マスコミからたたかれないだろう」と気を回してしまえば、弁護士自治が崩壊し、国民のための司法の基盤が危うくされてからでは、取り返しがつきません。
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