戦わなければ勝利はない

2008年02月06日(水) 17時40分
 当職の読売新聞の記事に関するエントリに対し、小林正啓弁護士から、「『弁護士の生活不安』を全面に出して、負けパターンを繰り返す愚こそ責められるべきであろう」との評をいただきました。しかし、2000年当時、3000人問題に関していえば、日弁連は、そのように主張することすらせず、最初から戦いを放棄していたのですから、批評は当たらないように思われます(と申しますか、小林弁護士自身、中坊公平氏のことを「敗戦処理投手」と評されているとおり、粛々と3000人受け入れに向けて、会内の反対世論をどう押さえつけるかという「内向きの戦い」しかしていなかったのが実情でしょう。)。
 小林弁護士のエントリには、保岡興治議員が急激な政策変更をするべきではないとの意見書を提出しているとの指摘もあります。こうした事実の指摘は、たいへんありがたいことです。何せ、日弁連執行部は、こういう情報を会員に提供せず、自分たちで何とか処理しようとする傾向があるからです。もっと会員を信頼し、会員の声に耳を傾けて運営してほしいものです。
 ともあれ、小林弁護士が指摘されるとおり、保岡議員は、規制緩和の立場から、大増員を含む「司法改革」を推進した人物であり、彼の動きが、朝日、読売にも影響していることは、確実でしょう。しかし、私たちが弁護士自治と国民の権利を擁護する立場から、真実を伝え、メディアの誤りを訂正させなければ、国民の理解など得られません。「業界エゴ」批判に足をすくめて、10年前のトラウマだと繰り返すのでは能がないでしょう。物言わぬリーダーは不要です。
 保岡議員で思い出すのが、上限金利引き下げのたたかいです。保岡議員は、貸金業者から献金をもらい、貸金業者の利益を優先させようと、法改正をねじまげる「特例」などで抵抗しました。保岡議員を解した内外の貸金業者の圧力に与謝野担当大臣も寝返ってしまい、一時は、上限金利引き下げは失敗に終わるかとさえ思われました。
 しかし、それまでに培ってきた世論の後押しが、与党全体の寝返りは許しませんでした。自民党内にも後藤田正純議員などが「特例」に反対し、ついに「例外なき上限金利引き下げ」の実現をかちとることができたのです。保岡議員のような新自由主義者・市場原理主義者の策動を打ち破ったのです。
 小林弁護士は、法務省や鳩山法相などとの共闘を呼びかけます。しかし、鳩山法相の発言を見ると、真に共闘すべき立場かどうか(上限金利引き下げの際の後藤田議員のような役回りを期待できるか)疑問があります。今の段階は、世論の喚起を図りつつ、政府内部の対立・動揺を利用するという段階であるように思います。
 いずれにせよ、戦わなければ勝利はありません。10年前のように、腹を見せて、しっぽふりふりといった迎合主義はごめんです。戦術・戦略の違いはおおいに議論したいところです(もちろん、小田原評定で時機を失してしまっては意味がありませんが。)。
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