病気の話M 

November 29 [Thu], 2018, 15:57
片頭痛 migraine

クリスマスシーズンが近づくとツリーに電飾されチカチカと賑やかに
この辺では自由が丘や二子玉駅にも大きなツリーが飾られていますが、実は苦手な人もいるという話
片頭痛といわれる慢性頭痛の一種ではこの手の光に頭痛発作が惹起されることがあります

臨床的に難しいのは
「私は片頭痛持ちです
といわれる方のたいていは筋緊張性頭痛だったりして片頭痛ではないケースが多い

クラシカルな話をすれば、片頭痛は教科書的に
片側性で発作性のズキンズキンという拍動性頭痛で悪心嘔吐を伴い女性に多い。有名な閃輝暗点(キラキラした光の点が現れ線状、波状に広がる)という視覚的など特徴的な「前兆」が約半数にみられる。カフェイン系薬剤が有効
音や光に過敏で誘発されることもある

つまり、拍動性、女性、片側性、悪心嘔吐
は一般的因子であり
加えて閃輝暗点のような特徴的症状があれば典型例といえるが
残り半分の前兆がない例では
「音や光に過敏で誘発される
という点はほかの頭痛と区別するうえで
大きな拠り所になる
さらにもうひとつは薬剤反応性
背景には片頭痛はセロトニン作動性制御システムの障害であるという説があり、このセロトニンはドーパミンやノルアドレナリンなどとともに知られている脳内の神経伝達物質の一種で疼痛のコントロールにも関与している。なので、セロトニンの作用を促進するアゴニストとしてゾーミッグ、マクサルトなどトリプタン製剤が奏功する
(セロトニンといえばもう一つはパキシルやルボックスなど抗うつ薬SSRIが有名でシナプス間でのセロトニン量を増やすことで働く。)

つまり、前兆がない、音過敏や光過敏はない、ロキソニンあたりで普通に効く、というのは片頭痛というカテゴリーに入れにくい。
さて、
そんな中
前兆があり、LEDのチカチカという光刺激で誘発され、トリプタン系は普通の鎮痛剤よりも少しだけ効く、、、、とうい典型的な60歳台女性の患者さんから、片頭痛にボトックス注射が効果があると聞いたので打ってほしい、と相談されかれこれ3年間、今まで月に何回かあった発作が注射を切らさない限り出ない、という例があります

ボツリヌストキシンは神経伝達が遮断するのでセロトニンほか神経伝達物質に接点はありそうなのですが、片頭痛との関連は文献的にも効果があるとの報告はあるものの、そのメカニズムに関しての見解はなく、不明です
すごいのは、ボトックス効果は約半年間で切れるのですが、切れたら片頭痛発作が出る
また、最近では切れそうになると光に対する過敏性がより増すので「発作が来そうだとわかる」と明らかに効いている。場所は目周囲でも眉間でも関係なく、注射特有の骨膜刺激も違うことも確認

ただ、ほかにもいる片頭痛の患者さんでボトックス注射を行なっている方もいますが、一切そのような効果はありません

この謎、、、
一つの解釈は
片頭痛という疾患にいろんな亜型があるということ
つまり、いろんなタイプの病気がひとくくりに収められている点。
もう少し細分化しないとひとくくりには考えられない
これは例えば、
「四つ足で歩く茶色い哺乳類」
のなかには犬、猫、馬、ライオン、等々学問としては体系化できない。

肝機能のように数値化できたり、腫瘍のように画像化できたりしないこのような疾患はその辺の難しさが常にあります。例えばよくある、鬱、鬱ぽい、落ち込んでいる、、、など案外境界があいまいに包み込まれているケースや自閉症とかでも相当多彩でこのような傾向は精神神経疾患に多い。体系的分類のしにくさは遺伝学的背景の解析を難しくし、結果治療も難しくなる
うーん、頭が痛い


軽井沢






J.S. Bach-The Well Tempered Klavier
Glenn Gould


病気の話KL 

October 29 [Mon], 2018, 13:50
先日、自由が丘の花屋さんの店先で黒板を見ていると
若い店員さん「なにかおさがしでしょうか
「いえ、このAUTUMUフェアと書いてある黒板、それ言うならAUTUMNじゃないかなあと思って。意味は分かるんだけど。」
「えっ?ちょっとお待ちください、いま係りの者を連れてきます。」
(時々若い人のリアクションが読めない
「いやいや、僕はどうでもいいんだけど、、、
「すぐ店長呼んできます。」
「そんな、たいそうな、、自分で辞書調べてみてね、、じゃあ。」
とそのままスーパーに逃げて入る、、、

さて、その週末の診察。
37歳女性。昨日から風邪様症状があり、やや熱感があったが薬は服用せず、今朝から両前腕にかゆみを伴う小紅斑が多発。


K自家感作性皮膚炎Autosensitization dermatitis

自家という言葉は自家中毒という一般病名(古い先生がよく使う)があります
いずれもあいまいな概念が残りますが、小児に多いストレスから糖代謝亢進、ケトン産生からそうした症状が出ると考えられていることからアセトン血性嘔吐症acetonic vomitingとか周期性嘔吐症cyclic vomiting syndromeなどといいます

さて、アレルギー性皮膚炎の一種、自家感作性皮膚炎における自家というのはここではいろんな抗原となりうる障害、たとえば、扁桃腺炎とかの感染症などにおける細菌感染巣とか、熱傷における変性たんぱく質とか普段存在しないようなものが出現することが背景として存在し、その対抗手段としての蕁麻疹症状が現れるものと考えられています。現実には普通の蕁麻疹と同様に原因物質の特定が現場ではあまりできないように、これといってその周辺的な異常を見いだせない場合が多いです
なので、そうした感染症などの病変と別個の離れた部位に、実際よく見るのは四肢ですが、割と派手なブツブツとした皮疹が見られます

Lコリン作動性蕁麻疹cholinergic urticaria

蕁麻疹の中でもアセチルコリンという化学伝達物質が強く作動することで特徴的な皮疹や症状が出る蕁麻疹をこう呼びます
アセチルコリン系が働く機序に汗(発汗)が指摘されており、何らかの異常発汗で誘発されたアセチルコリン系の伝達路が活性化されるのが発端となる。これは、たとえば、運動して汗をかいたとか、風邪ひいて熱が出てとか、遠回りに発汗を促す行動から由来するものが多いといわれています
このような汗との関係から、
汗アレルギーという概念も提唱されています
(実際のアレルギーという、いわゆる「合わない」、という感覚とは少し違う
皮疹が特徴的で赤いブツブツの周りに外周状に白く抜けて見えます(左腕に顕著)
症状はかゆみと共にコリンが作動した場合の神経刺激症状からピリピリ、ひりひりという痛み症状が伴うのが特徴

この例では、自家感作性皮膚炎のブツブツにコリン作動性蕁麻疹の要素が加わって特徴的な皮疹を呈していました。

いずれにしても
治療法はアレルギーとして同じようなもので
ステロイド剤や抗ヒスタミン薬など教科書的なものになります

病気の概念というのは、
そのほとんどが欧米から導入されたもので
そこに微妙なニュアンスが内包されている場合が多いからです
それを訳して、マニュアル通りに薬を出したり、
手術したり、それが医療の仕事です

このため、病気の概念をとらえるには英語のほうがピンと来たりすることが多くあり、実際医学部でも英文病名を覚えるよう指導するのですが、診療科や学校によってまちまちです

英語は7つの海を制したイギリスの言葉ですが、ノルマン・コンクエストなど、その成り立ちからフランス語、さらにそのルーツになるラテン語を基礎に吸収しており、ヨーロッパ文明の蓄積を表現するに足る表現力があります

なので、自分ではカルテは患者さんに見せたいとき以外全部英語で書きます。どっかの知事のように煙に巻くためではなく、常に病像をより的確にcategorizeするためです

ちなみに、あれからスーパーの入り口のお花屋さん(姑さんみたいで我ながら少し嫌なんだけどついついチェックしてしまう)、黒板のスペルはいつ見てもパーフェクトです

軽井沢


箱根強羅

 
Bach Piano Concerto BWV 1055 A major
David Fray



病気の話J 

September 26 [Wed], 2018, 10:11
ホメオスタシス Homeostasis

「なぜダイエットは成功しにくいか」
「なぜニキビは改善しにくいか」
「なぜ血圧は安定しないのか」 , etc.

いろんな病態を考えるうえで大切なメカニズムがホメオスタシスという私たち、あるいは生命に幅広く備わっているシステムがあるのが関係しています

ホメオスタシス(恒常性の維持)は病気ではないのですが、
病気や体質を考えるうえでとても重要な働きをしていて
数学の定理のようなものですから医学部で学習する際もこの辺の感覚がつかめると病気、特に内分泌系疾患についても理解がスムーズにります
血糖を下げようとするインスリンは有名だけれども、逆に上げようとするグルカゴンというホルモンも膵臓から分泌されています
このように必ず身体には右にぶれると左に補正するようなシステムがあるため病気や体質についてその理解や治療が必ずしもこの薬を飲めばすぐに、、、という風に単純ではない理由がそこにあります

そもそも、ホメオスタシスは、例えば、甲状腺が悪くなると下垂体ホルモンがそれを補正し、簡単に体調を崩したり、病気にならないようにするためのもくのですが、それを変化させることが難しいので上記のように困るケースも多くあります
いわばホメオスタシスのホメオスタシスとでもいうべき状態でしょうか
食事内容を減らしてもその吸収効率が上がり
たちまちの体重変化は起きない
ニキビの背景になる脂性肌では皮脂を取り去れば皮膚のセンサーが「乾燥注意」と働いてさらにたくさん皮脂を分泌させてくるので結果としてまたニキビができる、等々

では、こうしたホメオスタシスを大きく変化させることは難しいのでどうすればよいか
ホメオスタシスが効いていれば、身体は「大きな変化を嫌う」ということになります。ということは、徐々に時間をかけて戻りが来ないよう繰り返すことでいわばホメオスタシスの中身を緩やかに変化させるということになります
別の言い方をすれば「習慣を変える」がそれに近いニュアンスです
だから、同じように病院に行って薬をもらうにしても、そうした側面を知っておくことは大切ではないかと思うのです
その辺、感覚的にわかっちゃいるけど難しいというのが現状でしょう

では、さらに、
もっと踏み込んでこのシステムを考察してみますと
ホメオスタシスはものを考える私たちの思考過程でも、つまり、心でも働いているということです
それは具体的には一般に思考は変化を嫌うということになります
見知らぬもの、人、見知らぬ場所、慣れない行動、そうしたものはある意味リスクであり、あるいはリスクを内包している可能性もあります。したがって、避けるという行動原理は当然なのかもしれませんし、そうした行動原理は人間に限らずいろんな動物等を観察してもみられるある種の本能なのかもしれません

関連して、未知なるものに対する畏怖というのは、それが個ではなく集団として機能した帰結としての「いじめ」であったり、さらにエスカレートして「ジェノサイト」の側面心理と解釈されています。だから、古今東西、あるいは動物においてもそのような問題が絶えまなく繰り返されるというのは「生物共通の本能」と考えるととても根深いものを感じます
現代はそれにたいしていろんなアプローチをしているのにもかかわらず、そうした側面を考慮すればなかなか簡単にはいかないお釈迦様の手の中的な生物社会なのかもしれません

いつもは履かないスニーカーなど履いて
いつもと違う道を通って学校や会社に行ってみる
ファッションにも自分なりのテーマを考えてチャレンジする, etc.
少しずつ変化を求め、身の回りの小さな、簡単なところから始めてみるのもいいですね



諸磯湾


John Mayer
In Your Atmosphere



病気の話I 

August 30 [Thu], 2018, 14:16
湿潤療法

このシーズン
海や山へ行って転んでひざにシールを張って病院に来る子供
うまくいっている例も多いのでしょうが
病院にくるのはたいてい化膿していてそこからの治療になるケースが多く見られます
ジョンソンあたりから出ている市販のシールはお手軽なのですが
湿潤療法がこのように普及し始めたのが2000年過ぎてからで
あまり確立されていない部分も多いのが現状です
特に医療サイドから意見が分かれるポイントは
消毒をしないほうがよい、いや、しなくてはいけないなど真逆の展開です

当院での経験の中で確立した
キレイに治す湿潤療法について
そのコツについて書いてみました

擦り傷の湿潤療法
創面の深さなどの確認とデブリ(砂などの除去、掃除)が必要なので消毒します
やや汚い創ならゲンタシンなどの抗生剤を塗って一晩おいて翌日生理食塩水で洗って流し、消毒してから湿潤療法を開始する
消毒すると創面の細胞が痛んだり、浸出液がなくなるという意見もあるのですが、一度は消毒すべきであって、その後の治癒プロセスには影響しない

熱傷の湿潤療法
これも抗炎症剤のステロイドを一晩使って翌日から開始するのがベター。なぜならそれをしないとすると出炎症の赤み、ひいては色沈の頻度が変わる。たいていの適応が2度の熱傷なので色沈になるかならないかは大きいと思います
ちなみに湿潤する直前に水泡は取り除くといいスタートを切ることができます
そして、熱傷の場合も消毒します。ロジックは熱傷であれ、やはりダメージを受けた組織は健全な働きが低下しているので免疫系も不確かなものである可能性があるからです

褥瘡の湿潤療法
まめにデブリを行いつつドレッシング材を張り替えていくことが必要です
血流障害のケースが多く、
場所等のファクターも向いていないケースもあります
ただし、保護することでクッションになるので疼痛の緩和という意味合いではいいかも

ポイントのまとめ
いずれも最少は感染を考慮して消毒はしたほうがいい
それよりなにより、大切なのは浸出液が出ている間なるべく長く閉じ込めること
最低2週間、最長では4週間
(やけどの症例)


そのため、途中で液量が多くて吸収タイプと少なくなってからの非吸収タイプとか、時機を見て張り替えるのもコツです。もちろんそのたびに消毒はする。
終盤、あと少しの地点でにおいや痛みが出て感染が疑われるときは抗生物質の内服を併用してでもできるだけ引っ張る
特に指とか関節とか動きがある部分には時として密封させることが難しく、漏出してしばらくすると感染したりしやすいのでまめにケアしながら場合によってはあきらめる
関節の可動性には常に注意しておく

結局、家庭でこのようなプロセスを見極めながら湿潤療法を行っていくのは無理があると思います
しかも、自分いろいろやって結構時間がたってから来院される患者さんとか案外多い
あくまで浸出液が出ている間が勝負なので早めに受診することです。特にお顔の傷は血管が豊富な場所であるという背景からか、とてもきれいに治る例が多く早めの受診がおすすめです

伊豆の夏休み





Groovin' With Golson
Benny Golson


病気の話H 

July 31 [Tue], 2018, 12:23
ヒ素角化症
指関節の鱗屑を伴う紅斑

ヒ素中毒は急性では森永ヒ素ミルク事件や和歌山カレー中毒事件のような毒性があるのですが、慢性的にじわじわ体内に入ると脱力、食思不振などあいまいな症状がみられるのみで気づきにくいこともあり、蓄積していくので注意が必要です

ヒ素arsenicは生命体の出現以前から地球上に普遍的に存在しており、その起源は火山活動で地表に出たマグマ中の砒素また砒素を含む温泉とかになります
ということは、当然土壌によってその含有量に差があり、とくに地下水脈の流れなど地域差となって表れてきます

地域差といえば、日本で山形県の湯殿山などある地域以外にあまり見られない即身仏があります。修行し、断食し、水だけを口にしながら即身仏になったのはその地域の湧き水にヒ素が多く含まれていたことから腐敗が抑制されたと考えられています
また、古今東西実際に、あるいは小説などでも毒殺に用いられる毒の定番ではありますが、いつまでも体内に蓄積残存し、腐敗しないという点からバレ易い毒でもあります。とくに西洋のミステリーでは土葬した遺体を掘り起こすと腐敗していないという展開も多い

それから、ヒ素流入分布の偏りを説明するうえでもう一つの大切な要素があります
ヒ素という元素(33As)自体は生命が地球に誕生する以前から存在しており、水や土壌などあらゆる経路をつうじて、あらゆる生物、つまり食品に大なり小なり含まれていることになり、それこそは、地域差以外のもう一つ、ヒ素の侵入経路を考えるうえでの重要な点です
現在日本では農薬にヒ素は使われていないそうですが、そうでない海外ものの特に野菜とかそのまま食べる形態のものは注意が必要になってきます。また、野菜類、植物を餌とする家畜の肉など連鎖しているのでそうした食べ物の産地は注意が必要です
 
ヒ素と食品の関連でいえば、日本で有名なものはやはりヒジキです。その含有量が高いためイギリスでは食べないよう勧告されています(確か以前は輸入禁止と聞いた)。ただし、日本で使用するように水で戻せば半分くらいは流出するらしいのですが

検査所見はヒ素が毛髪に蓄積することから毛髪検査でその定量ができます
慢性に蓄積した場合の症状は上記皮膚炎のほか、皮膚がんや肺がんの背景にもなります
慢性蓄積に対する治療は水銀と同様、重金属を体外に排泄するキレーションchelation があります



Minor mishap

Tommy Flanagan, John Coltrane, Idrees Sulieman & Kenny Burrel

病気の話G 

June 30 [Sat], 2018, 16:04
発熱、咳、鼻水、のどのような痛みという
風邪のような症状での来院した20代男性
咽頭炎所見とともに1p程度の頸部リンパ節の腫脹があったので血液検査を行ったところ異型リンパ球とともに抗VCA抗体というEBウイルスに対する抗体が検出された。抗体のパターンからEBウイルス初感染による伝染性単核球症と診断しました

伝染性単核球症Infectious mononucleosis
伝染性単核球症EBウイルスの初感染によって生じる急性感染症です。
全身けん怠感、発熱、のどの痛み、リンパ節の腫れというかぜが少し重たいような症状と検査所見では特徴的な異型リンパ球という普段見られないタイプの白血球やウイルス感染を示す抗体などが検出されます

とくにウイルス感染症なので特効薬等はなく、自然経過でほとんどが改善する病態なのですが、約半数に脾腫が見られるのでケアが必要になることがあります
かぜ症状や腹痛症状には実際いろいろな背景があり、なかなか一筋縄ではいかない兆候です
例えば、老人のかぜは肺炎、さらにその背景には肺がんを想定するというのは教科書的な基本です
なので俗に「風邪は万病のもと」という要因の一つはそこにあります
安易に「これはこうだ」と結論にもっていこうとせずにデータを収集するべく
最初は先入観を持たずに、なるべくフラットに診る
心がけが診断の正確性を上げるのに大切です

形式的な誤謬(論理学)で言う
「早まった一般化」
とは、少ない例から一般的な結論を導こうとし、一部の個別の事実から全体を判断していて、それ以外のものが存在する可能性が全く考慮に入れられていないため、誤りになる
医療、サイエンス、相場、ところ変われど私たちは日常気を付けていなくてはなりません

結局、アクティビティがある患者さんなので超音波検査も施行せずに脾臓破裂のリスクを考慮して早めに入院施設へ紹介したところ1週間安静のため入院となり、その後無事退院しました

Louis van Dijk Trio
Frank Mills

病気の話F 

May 29 [Tue], 2018, 15:46
カルシウム他ミネラル

このようなトラブルがカルシウム不足に関連しているということは
加齢よりも日常のケアの問題であり、
すなわち予防することができるかもしれないということです。
そこに病気や医療を考えるうえでおおくのヒントがあるように思えます

さて、
戦後日本人で唯一不足している栄養素といわれているカルシウムですが
通常の食事ではあまり極端に不足することはありません
では、なぜ自分では不足するかというと、
「炭酸のとりすぎ」
ということもわかっているので
しっかりと補充するよう心がけています(が、時折忘れてしまう)。
炭酸はカルシウムと化学反応して体内の貯留カルシウムを取ってしまうのでカルシウム不足になります

特にペリエやシャンパーニュなど泡密度が高いものはわりとすぐに歯の症状が起きやすい
たとえば遊びに行くときにラウンジでソーダ割をさんざん飲んでカルシウムを忘れて行って向こうでシャンパーニュを飲んで戻ってくる頃には、、、
(コントレックスは毎日飲んでいますがそういうレベルっじゃないらしい。血中カルシウム濃度を測定することもできますが、体内をめぐっているミネラルは足りなくなるとカルシウムのように骨や歯から動員されて補われるので正確に把握することはよほど変化しない限り難しい

この手のミネラルの働きは細胞内外でのレベルで多岐に及ぶためビタミンなどに比べわかりにくい側面もあります
例えば、カルシウムでは骨や歯、筋肉のけいれん以外に高血圧や動脈硬化、糖尿病の進展などにも影響します。ちなみに高血圧の治療薬の内で現在メジャーなものはカルシウムの流れを制御する抗カルシウム薬、カルシウム拮抗薬として知られています

同様なミネラルとしてマグネシウムと亜鉛があります
マグネシウムは身体中のほとんどの酵素、例えば消化酵素などが触媒として利用するため様々な機能に影響することが考えられます
亜鉛は細胞レベルではZnフィンガーとしてDNA合成に不可欠な構造に用いられ、特に盛んに分裂する生殖細胞などの活性に欠かせません

ですから、カルシウム、マグネシウム、亜鉛は食事以外からも処方箋で出せる分量くらいは摂取していても悪くないのではないでしょうか

ここで、カルシウムの場合、よく言われているビタミンDと(時間はずらせて)摂取したほうが吸収効率において優れているということは周知です。骨粗しょう症の場合によく処方されるお薬がその類になります

ビタミンなので不足するといろいろ問題が起きる性質のものですが、ビタミンDに関して特に興味深いのはそのメンタルへの影響です
いまだあまり多くの裏付けはないそうですが、
うつ病などの発生率が下がるなどの報告があります。
もちろんうつ病ではないけれども
それなりに日々神経を使う仕事なので
(こう見えて)
時折、あれでよかったかなあ、、、
などと後から気になったりすることはあります

「ビタミンDでくよくよしなくなる」
とかないかなあ、、、
一定期間飲んだり飲まなかったりして
その辺をモニターしていますがここまで結果は割と良い感じです

様々なカルシウム不足症状の改善、維持とともに
気分がアップすれば、、、言うことないですね

But Beautiful
Tommy Flanagan Trio


病気の話E 

May 29 [Tue], 2018, 15:37
足底腱膜炎

不意に発生する
階段を上り下りするときに気づいた足裏中央部あたりの痛み
わりとしっかり痛くて
まるでレゴを踏んだ時のような、、、
と表現できるでしょうか
こんなところが傷んだことは初めてだし、、、
痛みが生じるようなうんどうもケガとかしていない
調べてみるとこれしかない

もともと足の骨はアーチ状に構成され手織りその中ほどにいわゆる土踏まずなどあまり接地しない部分があります。この部分には、足底筋膜と呼ばれるアーチ構造を支える腱として足底筋膜(足底腱膜)があります
炎症が起きる原因として腱断裂などスポーツで激しい動きをしたり、長時間の立ち仕事で生じる場合もあるとありますが、自分の場合は断裂するような動きは全然していないし当てはまらない
それとも、、、またまた「加齢」ですか、、、
確かにそれも書いてありますが

でも、実際困るのは場所的にもシップを張るわけにもいかず、、、
歩かないわけにもいかず、、、

しばらく考えているうちに直感的にこのひきつった感じは断裂というよりも腓腹筋が攣った時のようなむしろ痙攣に近い感覚、、、
もしかしてカルシウム不足か、、、
そう考えた背景は、そのころちょうど歯の詰め物が浮いていて
経験上カルシウムを摂取するのを少しの間忘れたり、さぼったりした場合てきめんそのようになるので感覚的につかみやすい
その線で調べてみるとやはりそうした説もあります
(自分のことだとやはり必死になる
ということで足底の痛みも
カルシウムを若干多めに内服したところすぐに改善しました
そんなにもともとひどくなかったので偶然かもしれませんので
そのあたり検証が必要ですが。


病気の話D 

May 29 [Tue], 2018, 15:21
年とると、いろんな身体トラブル出てきます
ホントいやになっちゃっう
D-Fの症例は自分自身の体験になります

良性発作性頭位めまい症

朝起きがけにベッドの上で回転するめまいがあり
右下で起きようとすると起き上がれないくらい強い
起きても立てないくらいにめまいがするのだけれども徐々に楽になる
そのまま仕事に行ける程度なのだが午前中あたり何となくふわふわしている

良性発作性頭位めまい症はもともと内耳のバランス機能をつかさどる三半規管の中に石器から耳石が入り込むことによって生じると考えられています。耳石器はカルシウムの結晶が存在し絨毛細胞の感覚を刺激することで重力方向の加速度を感じることができますが、耳石が三半規管に入ると、頭を動かしたときに耳石に動きが生じてそれがそのままめまいとして感じ取られます

原因としては、外傷などもありますが、一般には加齢やカルシウム不足ではがれやすくなるということです
「良性」と付くくらいなのでさほど長期化せずに治る例がほとんどらしいのですが、結構めまいというのはつらい。二日酔いのひどいときよりもう少し回る感じが強いものです
(でも朝一でこういう展開はちょっと何事かと、最初はちょっとビビる
朝起きがけの症状と左右の動作によって出方に差があるがあるのが特徴でメニエルとの違いです
もちろん手足のしびれや言語障害等が伴ったりする場合は全然別の脳血管障害を想定します

昨年は1週間くらい長引いたのですが、今年はカルシウムを多めに内服して2日間で改善
ベッドの上で頭位を変換する耳石を摂るための体操も有効だったと思います

病気の話C 

April 29 [Sun], 2018, 13:28
インフルエンザ

毎年騒動になるのがインフルエンザ
クリニックでの統計ではワクチン接種したにもかかわらず
罹患した人は3割、平均的な数字でした
、、、にもかかわらず(encore)、
ワクチンの需要は高く生産が追いついていない状況は例年のごとくでした
なぜ足りないのか
毎シーズン患者さんからの質問で多いのは
「なぜ足りないのか」

世界で
3株混合(異なる予想される流行株、昨年あたりから4株に)
3億5000万本、1株では12億本分が例年製造されています
元来ニワトリのウイルスなので鶏卵に摂取して作るのですが
種類によって増えにくいものでは
卵1個に1ワクチン分が作れないのでその分、あるいはそれ以上の鶏卵が必要になります
普通に製造過程はスムーズに進んで半年かかります
ここで、よく知られている変異という問題が割り込んで来る
ウイルスが自己生存のために変異をする、生き延びる術といえます
卵の中で増殖中でも変異するし当然変異したウイルス株は使えない
しかも、ニワトリの間で流行れば
ニワトリにもlethalなので
卵の供給がままならない
鶏卵の供給という生産体制は実はとてももろい土台の上に成り立っているのです
対処するには
別の製造方法を考案するしかない

さらに、
仮にうまく予防接種がいきわたったとしても、
半年前に流行株が予測されて製造されているものだから
当然そうして苦労して作られたワクチンでも
今度はニワトリの間で変異した株、例えば数年前のH5N1のように突然人に感染するものが出てきて、割り込まれた場合には既存の交代で対処できない

様々なジレンマ

https://www.pasteur.fr/en/institut-pasteur

留学していたパスツール研究所ではレトロウイルス研究部門に在籍していましたが
ここは世界で最初にB型肝炎のワクチンを開発したところです
ここは教科書にも出てくるヤコブ・モノーを記念したウイルス研究所の建物の3階で、
上の4階のフロアにはのちにエイズウイルスの発見でノーベル賞を受けたLモンタニエの研究室でした
モンタニエは当時から賞を意識してか、パリではめずらしいスウェーデンのサーブに乗っていたのですが、実際にエイズウイルスを電顕で最初に確認したのはよくエレベーターで出会うパスツールの肖像にそっくりな威厳のある技師さんだと教えてくれました

さておき、この間に
薬剤治療が進展したというのはありますが
当時からC型肝炎やエイズのワクチン開発が盛んだったにもかかわらず、
技術的にも大変難しくいまだに進展が見られないのはひとつには
この変異という問題に対処できないからです

もし、それをブレイクするならば
変異しないパーツに対応する部分を抗原にしてなおかつ
免疫原性の強い、たとえば結核菌のたんぱく質とのハイブリッドという方法論しかないように思うのです

さておき、
そうした問題を考えれば、
ワクチンはいろんな側面があることを考慮しなくてはなりません。
最近帯状疱疹ワクチンが登場して時折問い合わせがあるのですが
もともとエイズのようにlethalではない疾患に対してウイルスに対する変異圧を高めるような環境の変化はどういう結果をもたらすかも考えなくてはならないと思うのです




ギターのエフェクター類完成

Eclypso
Tommy Flanagan Trio


P R
プロフィール
  • プロフィール画像
  • アイコン画像 ニックネーム:lapinciel
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自由が丘のドクターナガイクリニック院長。広島大学医学部卒業、大阪大学医学博士。大阪大学助手、フランス・パリ・パスツール研究所客員研究員、日本医科大学助教授を経て現職。自社コスメブランドはLapin Ciel。
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