練炭で死ぬ前に僕たちを見てくれ

January 30 [Tue], 2007, 0:11
練炭で死ぬ前に僕たちを見てくれ

インターネット心中をする前に僕たちを見てくれ
七輪で死ぬ前に僕たちを見てくれ
練炭で死ぬ前に僕たちを見てくれ



現実の痛みの中で
生きながら立ちすくんでいる
僕たちを見てくれ
そして痛みから逃げだすことができない
僕たちを見てくれ
手首を切る前に僕たちを見てくれ。
十三階建のビルの屋上から身を投げる前に僕たちを見てくれ
車の中で排気ガスにまみれる前に僕たちを見てくれ

痛みと共に生きていく僕たちの姿を見てくれ

「僕は死にたかった」

少年の城は崩れ去り
僕はとまどいに出会った
運動会の行進で
クラスメートと足並みを揃えて歩けなかった
同級生の目を見ることができない
僕の視線は曇り空を泳いだ
部屋から出られなくなった僕は
いつも壁のシミを見ていた
世の中から締め出されるような気持ちだった、
世界が僕に悪意を持っていた
生きることが苦痛だった
苦しみの果てに何があるのか僕には見えなかった。

七輪で死ぬ前に僕たちを見てくれ
練炭で死ぬ前に私たちを見てくれ
現実の痛みの中で
生きながら立ちすくんでいる僕たちの姿を見てくれ
そして痛みの中から
逃げだす事ができない僕たちを見てくれ

「誰かを殺したかった」

僕は恨んでいた
人を憎んでいた
幸福は誰かに与えられるけれど
僕には与えられないと思い込んでいた

薬と酒が切れて目を開いた時に
少しづつ現実が見えてきた
人々は皆、痛みと苦しみを持ち
それでも歩いているのだと
死んでいく共同体じゃなく
もだえ苦しみながらも生きていく仲間の中で
僕は生きていたい

苦痛の中で歩いていたい
苦しむ人たちと共に

インターネット心中をする前に僕たちの姿を見てくれ
七輪で死ぬ前に、ありのままの僕たちの姿を見てくれ
練炭で死ぬ前に、ぶざまな僕たちの姿を見てくれ

現実の痛みの中で
生きながら、なすすべもなく、
立ちすくんでいる僕たちの姿を見てくれ

月乃光司詩集「仲間」より(1000番出版)
  • URL:https://yaplog.jp/koware/archive/23
プロフィール
  • プロフィール画像
  • アイコン画像 ニックネーム:月乃光司
  • アイコン画像 誕生日:1965年2月3日
  • アイコン画像 現住所:新潟県
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高校入学時から対人恐怖症・醜形恐怖症により不登校になる。引きこもり生活、通算4年間を過ごす。24歳よりアルコール依存症になる。自殺未遂、アルコール依存症により精神科病棟に3回入院。27歳から酒を飲まない生活を続ける。自伝的小説「窓の外は青」(新潟日報事業社)を平成13年に出版(新潟市民文学奨励賞・新潟出版文化賞受賞)。新潟日報にて「心晴れたり曇ったり」5年間連載。 ネットラジオ「月乃光司のハート宅配便」司会を務める。新潟薬科大学応用生命科学科非常勤講師。

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