上野の一日

May 30 [Sat], 2009, 8:54
関連記事 『阿修羅像の顔に思うこと』

ウィークデーはどうしても眠いのと、家族共有デスクトップなのとでどうも調子が出ません。

共有PCはなかなか占有できず、テレビも見られないところにあるので億劫がっているうちにいつも眠ってしまう。

それでも書きたいことはどんどん頭の中に溜まっていきます。(ドラマ以外のことでも・・・)。

【中島梓さん逝去】

ところで、作家の中島梓(栗本薫)さんが逝去されました。
栗本薫さんの作品は『僕らの時代』以降読んだこともなく、『グイン・サーガ』が120巻越す大作になっていたことすら知らなかったので、とても読者とはいえないのですが、中島梓名義の評論には大変大きな示唆を受けました。

当館旧館でもたびたび取り上げた『コミュニケーション不全症候群』『タナトスの子供たち』がそれですが、これであのテーマが解明し尽くされたわけではない。
その後、やおい(JUNE小説、BL)の本質についての謎は解かれたのか解かれなかったのか・・・・?

その後もBLについて書かれた本は何冊も読みましたが、結局この二冊ほどこのテーマに肉迫した本はなかったので、不謹慎ながらそれだけが気にかかります。
生前の膨大なお仕事に敬意を表します。どうぞ安らかに。


【阿修羅に会いに行く】

昨日は理由作って有休取って、雨の中朝から上野に行き、土日よりは見やすいだろうと東京国立博物館の『阿修羅展』を観に行きました。
耕史君に似ている説を現物で確かめるのが主目的・・・・ではなく、はじめから行くつもりだったのがどんどん遅れちゃったんです。

甘かった・・・・11時前に着いたのに上野駅の前からはなにごとかあるのだと思わせる混雑振り。
阿修羅展はすでに70分待ち。時間があったらこっちも・・・と思ってたルーブルも60分待ち。さらにチケット購入に40分待ち。
それでも暑い日よりははるかにマシ。トイレを済ませてペットボトルと非常食まで買い、他人の傘のしずくがボタボタ落ちる中列に並んだまま文庫本を読んだら読書がはかどりました。

なかなか凝った展示で、阿修羅像は十大弟子像や他の八部衆とは違った展示室です。
以前「○○寺名宝展」に行った時は、お堂の中で手を合わせて拝むべき仏像を美術品のように展覧するということに非常に違和感を感じたのですが、興福寺の中とはまったく違うけれど、阿修羅の見せ方、出会い方を工夫してあるので感心しました。

照明も落としてスロープで回りながら下っていき、阿修羅を中心とする空間にたどり着くという感じ。
スロープの上から始めて目にしたときの光景は忘れられません。
やや暗く赤く感じられる光の中、すっくと高くそびえる阿修羅像を取り巻いて、異様なほど膨大な人々がぎゅうぎゅうにひしめいてもがいている・・・おお、ちょっとした地獄絵図。

とにかくその地獄図の中に入り、少しでも阿修羅に近づこうとするともっとすごい。平均年齢高いのに、「押さないでください」「あなたの方jが押してるんですよ」の言い争いや、「前の人がずっと動かないから悪いのよ」と聞こえよがしな声。
私は像を見るのに油断していて、バックが人混みにもぎ取られるところでした。手から離したら絶対かがんで探したり拾ったりできるはずもない。あの6本の腕があっても・・・こんな衆生を救う気になれないでしょう。

それでも、後ろの方でぴょんぴょん飛び上がっても絵の半分しか見られなかった某○○展と違い、満員地獄図状態ながら目当ての阿修羅像は至近距離でじりじりと一回りできたし、見上げる絶妙な位置にあったので、爪先までしっかり見られましたし。
そう、心に響いてくるものは非常に大きいのに、不思議と「救う」イメージのない仏像です。何かに悩み苦しんでいるらしいけれど、援助も拒否している。
どこから見てもけして目が合わない。遠くを見ているようでもあるけれど、やはり自分の内面を見ているのでしょうか。
一度取り付いたイメージに支配されるのか、どうしても山本磐音や山本土方との表情の類似を見つけてしまいます。

ネックレスやブレスレットなどの装飾品も華麗だし、衣装もなんとも言えず優雅ですね。回り方は、NHKの「ワンダーワンダー」等で見たように、時計回りでしたが、半歩歩くごとに表情が違って見えてくるのが不思議な像です。

耕史ファンのために・・・真後ろから向かって右の顔を見上げるときと、そこから回って正面の顔の左側を見上げるとき、はっとするほど耕史君に似てると思える瞬間があります。憂いを含んだ眉や目の表情はまさに。
真正面から見るとやはり貴花田に近いでし、写真だけ見てると似てる角度が入っていないので、テレビ番組の映像か、あとは直接ご尊体を一周してくるしかない。

どんなに長時間並んで待ってもいい、どんな姿勢でぎゅうぎゅう詰めになってもいいというのなら、きっちりしっかり360度見られると言う点では、あと一週間ですが行く価値は「あると思います」!

阿修羅と同じ作者の手になる(と素人目にも良くわかる)八部衆はとても見ごたえがありました。異形の姿なのに非常にリアルな人間の顔を持ち、教え諭すというより内省的です。一体一体に出会っていく感じなのが嬉しい。十大弟子像も表情や動きが細やかです。

これら天平の繊細でスリムな像を見てきたあと、次の展示室の大きな四天王像は対照的なインパクト。「おお、セントマッスル!」と感嘆しました。これは鎌倉時代の運慶派の康慶作。運慶本人の手になると言われる大きな釈迦頭部にはデカイなくらいしか感じませんでしたが・・・。

時々思うのですが、仏像の美しさって不思議ですね。美しさを第一に狙って作るのではなく、宗教的な動機が意図されると思うのですが、その意図がいっそう作品を美しくしている。科学と宗教が通じるように、真実と美は通じるものなのかと思います。

奈良遷都1300年行事の目玉として、興福寺中金堂再建がなされるそうですが、そのための資金集めとしても阿修羅様一座、八面ならぬ三面六臂の大活躍じゃないでしょうか。これだけの人が1500円ずつ落として行ってくれるのですから。
皆々様、もう少しだけ頑張って頂いて、どうかご無事に平城京へお帰りになれますよう、お祈りいたします。

渋谷駅にある岡本太郎の大壁画『明日の神話』も、もう少し別な場所に展示すればよかったのに・・・。少し前ようやく目にしましたが、全体を鑑賞しようとして通路の端まで下がっても、人並みの向こう端に作品はあるのでうるさいし、絵の大事な場所に大きな柱はあるし、結局どこに作品説明があるかもわからなかった。
朝夕の通勤風景に溶け込むような作品じゃない(溶け込んじゃ困るよね)、ピカソ『ゲルニカ』的テーマの作品、入場料をとって三ヶ月展覧会の目玉にしたら相当稼げそうなのに・・・。という世俗的な話はともかく、「この作品に会いに行く」「この作品と一対一で向き合う」と思わせる場所に展示してあげれば良かったのに。近代博物館だっていいじゃないですか。

脱線しました。

【科学館のあの部屋・・・】

西洋美術館のルーブル展(阿修羅展を出たときはさらに長蛇の列)はあきらめたのですが、もう1つ、国立科学博物館に寄ってきました。

これも『アタシんちの男子』の時田さんが何度も降りてくるあのスロープを体感するのが目的ではなく・・・いや主目的だったんですが、結構科学好きなので小学六年生的気分で楽しめるかなと。

小学生グループと一緒に360度シアターを見たり、楽しかったですが、なんだかこの施設はスケールが中途半端で、展示順路もわかりにくくて見づらいなあ。特に古い建物はレトロでいいんですが「科学館」と言うにはちょっと。個人的には多摩六都科学館とか、仙台市科学館の方が楽しかったかも。まあ好奇心旺盛だったころの自分の子供達と行ったからね。

問題の恐竜骨格を展示したスペースは宇宙館の地下。ここをあのドラマで使おうとした人は面白いなぁ・・・・。いつも耕史君が回りながら降りてくるあのスロープの上は実は行き止まりでしたが、何度か降りながら気分は「ミラクル」。高島さんや、要君や、山本裕典君たちと並んで降りてきてましたよね。撮影は何回くらいあったのかなあ。

科学博物館は初めて行ったのですが、子供たちはそれぞれ小学生のとき行ってます。当時の息子のような、かん高い声で一人走り小理屈を語る5,6年生の科学少年たちにデジャブ。久しぶりに小学生たちの中に入ると、なんだか取り残されたような気分になってしまいました。それぞれ自分の道を探している子供たちと比べ、ドラマ視聴その他に膨大な時間を費やしてる自分がちょっと寂しい。

中島梓や忌野清志郎など、自分よりほんの一世代上の人々の死の報に接することも増えた今、なんとなく自分の人生の「元気でいられる残り時間」や、来し方行く末を思ったりするこの頃です。

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