原作ジャージ・インタジャージ

August 05 [Tue], 2008, 1:18
さて、なんとなく心から離れない『ジャージの2人』についてまた。

【買い漏らしかけた!ダ・ヴィンチ】

『ダ・ヴィンチ』8月号に『ジャージの二人』インタビュー2本が乗ってたのですね。

また1ページ目の「裸の顔」に白黒の素敵な堺雅人さんのお顔。

また特集1は「『新撰組』から『ROOKIES』までときめくTEAM男子!」という非常に興味深いもので、(これについては後でまた触れたい)。
特集2はハリーポッター。最近気が離れているけれど、一応母子で付いて行ってるのでこれも読みたい・・・というわけで買ってきました。

【長嶋有×長嶋康郎(父親)対談】

この映画に関する基本知識がまるでなかったのですが、やはりあの父子は自分たち父子がモデルだったのですね。
実際の父は古道具店「ニコニコ堂」の店主。エッセイにもなった有名な店です。

別荘も実際に持っていたそうです。しかし映画に出てきた山荘は別物で、撮影終了後は取り壊すとのこと。実際の長嶋家別荘は「はるかにボロい」んですって!

有「あと言っておきたいのは実際はあんなにいつもジャージ着てない」
康郎「着ても上だけです!」
有「ましてや上下では着ない。そこは言っておかないとね」
康郎「ジャージのままスーパーも行かないから」


そして、見る人の素朴な疑問として「小学校のジャージなのになんでこんなに大きいの?」に答えなければと。
「ジャージ会社では大きい子用を必ず作るんだけど余っちゃう」から。

中村義洋さんも囲み記事で出てます。
>映画化にあたっては原作に忠実にしました。
>いろんな状況説明とかたしてみたんですが、面白くなくなっちゃって、元に戻しました。むしろ極端なぐらいに、説明しないことを意図して撮りましたね。


【堺雅人×羽海野チカ(ハチミツトクローバーの作者)対談】

「推敲に推敲を重ねたまるで俳句のような映画」という見出しに一発で納得。
長嶋さんは俳句を作る方だということで、あの映画から立ち上る匂いとか、湿度とかいうものが、すごく今も心に残っている。映像と音しかない映画の中でそこにない匂いや湿度が感じられるとしたら、それは「俳句」に近いかな、と。

俳句って、「詫び寂び」よりも、「軽み」や「発見」が大事なんですよね。
「和小」の読み仮名についてのちょっとしたミステリも、実に俳句的。

羽海野「原作を読んだ時につい読み解こう読み解こうとしてしまって。でもあとがきを読んだら、読み解かなくってもいいんだって書いてあって、本当にそうだなあって反省したんです」
堺「これは何か結論出すんだろうと思って観ていたら、出さない。結論出せと思っていたこっちが浅はかでござんした、みたいな感じになるんじゃないかなあ。


それも全くその通りで、読み解きたがりの私も反省させられることしきりですが、好きに想像を膨らませられるのもいいところですね。
それでいて「感覚派映画」みたいな感じとも違います。理由やドラマはなくとも、ものすごいリアル感はこの映画から感じられるから・・・・。

鮎川さんの破壊力については二人とも同感でした。
羽海野「このお父さんはとても変わっているけれど、堺さんがそのお父さんを「えっ」て思いながらも受け止めてくれるから、お父さんが恐竜のように自由に動いてもこっちも安心して観察できるんですよ」
堺「破壊力ありますからね。僕はだから通訳みたいな感じ?・・・この現場は鮎川さん観察日記みたいなものですから」


私もどうしても鮎川さんの方に目が行ってしまいがちでしたが、そこを(ほとんど1人で)支えている堺さんの演技にももちろん感服です。
基本優しげな堺スマイルでいて、時々傷ついてそれをごまかすような卑屈な笑顔になったりするし、かすかにイラつきを表すときもあるし、なにも考えないでポワッと脱力しているときもいい。
うまく行かない妻への複雑な思いの表現がなんと正確であることか!
今回封印していたブラックなお顔もいいですしね。


【岩松了インタビュー】
この号はちょうど『たみおのしあわせ』監督の岩松さんのインタビューも載ってました。(いろいろと買い漏らせない一冊でした)

岩松「原田さんとオダギリ君に父子を演じてほしいと思って始まった企画です。二人とも細かい芝居をしてくれました」
「(麻生久美子は)闘牛に例えると、彼女が赤い布を持って、父と息子に突っ込ませては、翻すっていう役割なんです「
>登場人物の誰もが、自分の視野から外れたところで起こっていることに気づかないで生きていく滑稽さを、クールに見つめる、視野や懐の大きな映画だ。
岩松「まずは、この映画が、一年間ロングランするような支持のされ方をしたら嬉しいですね。打倒『ニュー・シネマ・パラダイス』って、「勝手」に言っています(笑)」


ムムム・・・「打倒ニューシネ」も良いけれど、まず「打倒ジャージ」はなるか?
というほうに興味が向くちょっと意地の悪い私です。
今のところどうでしょうか・・・・似たような題材を扱っていながらも作為がない分、『ジャージ』に軍配が上がっているような気がするのですが。

映画を製作する側なら当然なことですが、『たみお』は一応そこそこのヒットを狙っているんですね。『時効警察』で話題となったのキャスティングや山手線ジャックに見るように。

ところが『ジャージの二人』は本当に「そこそこの客が入るような仕掛け」がまるでない。そんなんで公開しちゃってイイの?とこちらが心配になるくらい。
たまたま、堺さんが『篤姫』でブームになって後押しになったけれど、企画はそれ以前だし。ましてや鮎川さんは「えっ?」という感じ。
映画通書籍通ならともかく私には、作者の長嶋有も、監督の中村義洋も数ヶ月前には未知の人でした。

ただし今回のインタビューで、「このタイトルは使えるって、あざといんだよ」と言ってますね。「題名に食いついたところがあるんじゃないか」と言ってるし・・・・。
だけど余計「ショボイ映画」のマイナスイメージになる可能性だってあるし。
満員の劇場に座って、しみじみ良かったなぁ・・・と思いました。

でも、どちらもこれぞ日本映画ならではの傑作だと思います。

【原作ジャージ】

原作読み終わりました。あっという間に終わってしまう話です。
だいたい、原作のテイストに忠実に作られている感じでした。
しかし、「説明を極力省いた」ということで、映画ではわからなかったこともいろいろと明らかになりました。
でも、強いて「わからなくてもいい」ということなのでしょう。

映画にない部分として、私には懐かしいマンガの話がたくさんでてきました。
花輪和一、つげ義春、大島弓子など。
特に花輪和一・・・・日本の平安時代あたりを舞台にしているようなのですが、怪奇でグロくて奇妙なガロ系の感じの漫画です。冒頭で、買った「ビッグコミックオリジナル」に新作が載っているといいますが「えっホントに?」と驚きました。
古いものをありがたがってるだけでなく、往年の個性派の今の作品に注目しているところが本格のマンガ読みだなぁと感心。康郎さんはつげ義春さんの『無能の人』のモデルだという説もあるそうで。

でも映画では、そういうカルチャー知識的な部分をバッサリカットしてましたね。
世代違いのカルチャー談義は映画の客層を狭めかねませんから。
かなりの本好きの父親(モデルのまま)で、布団を並べていろんな作家や作品について語ったりしてるらしいのですが、そこもカット。
そのかわり、今のフツーの日本人ならたいてい知っている「アルフォート」とか「コアラのマーチ」とか「ジャイアントカプリコ」とか、そっちの方は残してました。

鮎川さんは寡黙な方が謎めいていていい。

小説で印象的だったのは、映画以上に布団がずっしりと湿っていて重たいこと。
古い木綿布団の重さ、湿気は捨てるのも簡単ではない人生そのものみたいに思えてくる。これを捨ててから死のうかと思うと死ぬのも面倒くさくなってくるほどに。
山荘にあるハサミも爪切りも湿気でさびかかっているのかよく切れない。
1年経って訪れる山荘は、畳が緑がかって見えるほどカビがうっすらと生えている。
なんだか滅入る。しかし窓を開けてブレイカーを上げて、休眠していた「家」を目ざめさせ、「住むんです」。
なんで。涼しいから。でもそれだけでもない。

小説の中の妻はもう少し変わった女性です。一世一代の恋の悩みをつい夫に話すような。水野美紀さんみたいな美人じゃなく、こんな人が不倫?とびっくりするようなボソッとした奥さんでもいいかな・・・?と思いました。

映画で謎の多い遠山さんは作詞家で地元の名士で、とても料理が上手で、モデルをしていたという噂もある。死んだ旦那さんも芸術家らしい。

映画でも小説でも印象的なのは、やはりレタス畑で携帯を持った手を空に伸ばすシーン。小説でもものすごい美少女が自転車で風に吹かれて登場するし、映画ではヘルメットをかぶった制服の自転車少女。まさに「宇宙と交信する祈りの場所」みたいになっている。
また『たみお』とかぶせて言えば、あの二人の自転車のシーンに相当するような感じもする。
・・・・・ちょっと意地悪く言えば、ほとんど圏外の山荘暮らしの間までもどうしてそんなに携帯依存なの?
少女が友達からの交信メッセージを待つのはまだしも、妻からのメッセージをいじましいまでに待つ男の姿はどういうものなのか。

映画の中で(小説やドラマでも)の携帯電話というのはかなり扱いにくいものだと思うのですが、『ジャージ』や『たみお』のように重要アイテムとしてこだわって使ってくると、何か意図があるのかと思ってしまう。

またしてもまとまらないままですが。思いついたらまた。
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rukaさん、また素敵な情報届けてくださってありがとうございます!浮気性でアンテナの低いオーナーとして、本当に感謝しております

>9月3日発売のNHK雑誌「ステラ」で
時代劇ドラマ「陽炎の辻2」特集が
のるそうです


双葉社ムックの直後にステラですか!!
嬉しいですね!!
昨年も二度も表紙を飾ってくれましたが、今年も期待です。昨年以上にきりっとして麗しくてセクシーな磐音様が見られますように・・・。

私はもう少し涼しくなったら『小説推理』の「歩いて楽しむ『居眠り磐音の世界』の通りに深川べりを歩いてみようかなぁと思っています。

by きのこ August 06 [Wed], 2008, 23:43

きのこさんこんにちわ
雑誌「ダ・ヴィンチ」に
堺さんのインタビューが
出てたんですね
お話しのほうも
盛り上がっていたのでは
ないでしょうか

今日他のブログの方から
聞いたのですが
9月3日発売のNHK雑誌「ステラ」で
時代劇ドラマ「陽炎の辻2」特集が
のるそうです
作家の佐伯さんと山本さんの
インタビューもあるようです。 

by ruka339 August 06 [Wed], 2008, 15:52
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