とんぼ☆れくいえむ―「風林火山」第29回―

July 24 [Tue], 2007, 2:20
板垣だるまと甘利将棋駒(というよりモアイ?)。甲斐土産にいかがでしょう・・・?
初め板垣だるまは笑ってなかったんですが、29回を見て笑顔にしたくなりました。



「武田軍、逆襲!」という華々しいタイトルとは真逆に、両雄亡き後の埋めがたい心の空洞が心に沁みる29回でした。
晴信が心の旅をたどり、勘助は立派に軍師に返り咲き、見るほうもなんかいい感じに気も力も抜けて・・・(感想もなんとなく力が抜けてサラサラっと書けます)

・・・・・最後に至ってとんぼが飛んできて・・・・晴信の心が決壊する。
見ている我々も、28回とはちょっと違った、七日経過したの涙の味を味わいました。

【憔悴する晴信】

上田原にグズグズと留まる晴信の顔は青黒く、勘助の顔はどす黒い。
痛恨と、負け戦の疲労と、展望の見えなさに憔悴しきっていて撤退する決意も起きない。

下知に従わなかった二人の想いが、ようやく晴信の中で整理される。
「それではわしが板垣と甘利を見殺しにしたようなものではないか・・・・!」

「板垣様は最後までお館様をお守りしたのです。御本懐を遂げられたのです」
あやすように、諭すように、勘助も必死である。

まんまの晴信。もはや何の虚飾もない。痛々しい姿を晒してしまっている。

母の説教は少々煩いが、それによってようやく撤退を決める。
(甘利殿の霊はやはり大井夫人の下に出るが、「安らかに往生せよ」とやや冷たいような・・・)

今回また、全然違うけれど「組!」33回「友の死」のあとの「寺田屋大騒動」を思い出しました。
・・・あの時は主要登場人物が思いっきりやってくれたけれど、今回は楽しい役回りを全部敵方がやってくれた。小笠原長時(カマキリ将軍今井朋彦)と、高遠頼継(上杉祥三)には、なんか特別賞をあげたくないですか・・・。

暑い日のヨロイカブトのいくさの辛さ、というものをこれだけリアルに見せてくれたドラマがこれまであったでしょうか・・・!多分撮影は、とても暑かったあの今年の五月ごろにあったんじゃないでしょうか。水の少ない異常気象だったあの日々に・・・。

塩尻峠にて、痩せた体を肩脱ぎにしてヒイハア言ってる小笠原。兵たちも裸で水浴びをするほどの緊張感のなさ。
一瞬後には馬上でうなだれて負け落ちて行く・・・。それでもなお暑さが身にこたえるのがアリアリ。

乱れきった陣中で「油断こそ大敵」と必死で言い募る高遠は哀れ。武田の奇襲に無念たまらず「おのれおのれおのれ!」と叫べばそれをネタに笑われる。後に甲府へ送られて切腹に至る。

この軽いタッチの負けっぷりは、なかなか楽しかったかも。

【軍師復活・・・しちゃったね】

しかしながら、この勝利は武田方には非常に重い。負けたらどこまで撤退することになったかわからない。

勘助は見事両雄の抜けた穴を塞ぎ、見事家臣団の信頼を得て反撃の中心となった。

諏訪への進軍を止める策に疑問を投げる野党役の小山田様に対し、晴信の前で堂々自分の策を述べる。
「敵の油断と、七月のこの暑さが我らの味方になりましょう」
小山田「また息を吹き返しおったか・・・」

この直前の相木と真田様のアイコンタクトがキュート。
勘助とのトリオは意外な取り合わせですが、佐久志賀城攻めからいい感じ。今回も策を話すのにいい相手になってました。

小山田様も、勘助を不思議な言い方で認める。
「勘助、諏訪の御料人は息災か」
「美瑠も和子を生んだぞ」
「あれは良いおなごじゃ・・・子が生まれた祝に、このいくさは勝つぞ。勘助!」

小山田様の複雑な感情表現(根は案外素直なのにね)が楽しい・・・。
愛する美瑠が子供を産んで嬉しくてたまらないって、素直に認めればいいのに・・・。
でも微妙なことも言ってますね。「諏訪の御料人(由布姫)」は、勘助の「想い人」だときっちり見抜いている。
ともあれ、小山田が協力してくれるとなると、勘助も心強い。

鬼美濃も、馬場も勘助に戦略を聞きに来る。

勘助が、みんなの信頼を得て軍師らしくなっている。
板垣甘利が死に、自然にみんながリーダーを求め、それが勘助だったのか・・・?良かったねぇ・・・。

しかし勘助は、このいくさを勝たせてくれるのは板垣だと知っている。
板垣の作らせた諏訪の旗が、諏訪を平定するのに強力なのだ。

突然板垣が登場。
「これでこのいくさ、お館様の勝ちにござぁる!!」

懐かしい笑顔のセリフだ・・・ああ、いいなあ・・。この明るい頼もしさは・・・。
血まみれの最期のシーンなど出されるよりずっといい。

勝った後の皆の様子もしっとりして感慨深かった。
信繁は「わしはこれより兄を兄とは呼ばぬ。お館様じゃ。我らが選んだ主君じゃ!」
諸角「それがしは恥ずかしい・・・。板垣殿甘利殿が死に、それがしのようなうつけた老臣が生き残るとは・・・不覚を取り申した・・・!」
諸角じいちゃんも、武田家臣団はみんな素敵だよ・・・。

そして陰の方でいつも泣いてばかりいた伝兵衛。このいくさに勝ったら死んで板垣やミツのところへ行こうと思っていた伝兵衛。
「拾った命は存分に生かさねば。まだまだ板垣殿のそばにはいけぬぞ伝兵衛」
ここの勘助の説教はちょっと学園ドラマのようにクサイけれど・・・・まあいいか。

【とんぼれくいえむ】

今回はやはりこれでしょう・・・。
由布姫に労わられても、「守ったのはわしではない」・・・と『南無諏方南宮法性上下大明神』の書を見上げる晴信。
「諏方」の文字が、「信方」にちょっと見える・・・と思った人は私だけではないだろう・・・。

晴信が「生涯、甲斐に城は作らぬ」と約束し、武田節の一節となる「人は城、人は石垣、人は堀、情けは味方、仇は敵」(短歌の形のほうが武田節よりずっといいなぁ・・・と思った)を口にする。

座敷にふと、大きな青いとんぼが輝いて入ってくる。
晴信「板垣・・?」
とんぼが消えて板垣の姿になる。
「わ〜か〜〜、よき歌にござりまするのぉ〜〜」
トンボはCG。幽霊は大河の常套手段。だけど、良かった。

大目玉でニッコリしている板垣。
野太い声だけどいつもよりさっぱりして、油っこくない板垣。
明るい障子をバックに、トンボ柄の白い着物を着ている。
戦を終えて風呂に入って、糊の利いたトンボ浴衣を着ているみたい。
信長か!と突っ込みたくなるように「人は城〜〜」でひとさし舞い、扇を開けばそれもトンボの柄。可愛い演出に思わず微笑まされる。

「板垣・・・・そちはわしを褒めてくれるのか・・・」
手を伸ばす。笑って消える板垣。トンボが飛び去る。

そしてあとは。

「板垣〜〜。
なぜ死んだ。なぜ死んだ。
なぜ死んだ板垣。
なぜ死んだ。なぜ死んだ。なぜ死んだ。板垣。なぜ死んだ。
なぜ死んだ。なぜ死んだ。なぜ死んだ」


苦しく号泣する晴信の姿が今回の全てかも知れず。
「おぬし幾たび『おのれ』と叫べば気が済むのじゃ」の迷セリフは、これの伏線だったのか・・・。高遠頼継の「おのれ」より聞こえただけで3回多い。

そして幾たび叫んでも気など済まない。「なぜ」と理由を問うてはいるが、どんな答えをもらっても納得できない。

絶対的な喪失。二度と戻らぬ愛するものの死。

座敷をのた打ち回る晴信の二度と見られぬあの姿に、やっぱりはらはらと涙してしまいました。



・・・・さぁて、晴信も勘助も両雄の死によって立派に迷いを脱して体勢を整えてしまったし・・・。
バラバラだった武田家臣団もチームワークを立て直してしまったし・・・。
私は25回、26回みたいなのにゾクゾクするひねくれものだから、磐音殿が始まったし、来週から又しばらくサボろうかな・・・?
(とか言ってまたムラムラと書きたくなったら書くんですけど)

5人も描いてしまった「イタズラ描き」の方も、喜んでもらえると(いえ、厳しいご意見でもOKです)他の登場人物も描きたくなる性格なので、できればどうぞよろしくです。
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>「板垣〜〜。
なぜ死んだ。なぜ死んだ。
なぜ死んだ板垣。
なぜ死んだ。なぜ死んだ。なぜ死んだ。板垣。なぜ死んだ。
なぜ死んだ。なぜ死んだ。なぜ死んだ」

「板垣死すとも自由は死せず!!」

「自由民権運動かっ!」
ちゃんちゃん。

by id July 24 [Tue], 2007, 11:20
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